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第5回(2011年)
未来エレベーター
コンテスト

テーマ

テーマ

「空港と未来交通」

キーワード

「防災」

「交通ノード」

受賞作品紹介

最優秀賞

ROOT ─Urban Transport─

ROOT ─Urban Transport─

井上大平(法政大学大学院)
森 博史(法政大学大学院)

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優秀賞

ソラメトロ

ソラメトロ

木戸次郎(千葉大学)
遠藤生萌(千葉大学)

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審査員賞

airplane concierge

airplane concierge

田村竜也(法政大学大学院)
立松昭彦(横浜国立大学大学院)

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Sora Mobility

Sora Mobility

平賀俊孝(慶應義塾大学大学院) 
根本正樹 (慶應義塾大学)

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EENA

EENA

井上統一郎(関西学院大学)

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応募資格

大学および大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校の在学生。
複数人でチームとして参加する場合、チーム全員が応募対象の条件を満たすものとします。また、各種連絡は電子メールを通して行われます。このため、代表者の方(チームで応募される場合には代表者等最低1名以上の参加者)は、東芝エレベータのWebサイトに接続できるネットワーク環境と、連絡可能な電子メールアドレスが必要となります。

審査員の注目ポイント

今村 創平 氏

都市・建築の視点から

今村 創平 氏

建築家、千葉工業大学創造工学部建築学科准教授、アトリエ・イマム主宰

空港は、小さな都市になりつつある。
今世界中で作られている巨大空港には、延々と続くショッピングモールが必ず組み込まれている。様々な国籍、人種の旅行者が行き来する国際空港は、ひとたび出国手続きを済ませれば、そこはどこの国にも属さない空間である。市内に移動するのに時間がかかる空港では、空港でビジネスをしたり、用事を済ませてしまったりすることも起きていて、空港にあるオフィスの賃料の方が、都心よりも高いというケースもある。空港は、グローバル・シティーの縮図となりつつあるのだ。
一方で、巨大で複雑な空港内では、人と物の移動の問題が起きている。これまでは「いかに効率よく人を流すか」というのが空港設計のポイントだったが、今日では「空港内の売り上げを伸ばすために、いかに長時間人を滞在させるか」が課題となっている。
長旅の途中で、大きな荷物を引きずって長時間歩くのは苦痛である。未来の空港には新しい移動装置が求められている。

IMAMURA Souhei●1966年東京生まれ。1989年早稲田大学理工学部建築学科卒業。1990年から1992年までAAスクール(ロンドン)、1993年から2001年まで長谷川逸子・建築計画工房(株)勤務。2002年(有)アトリエ・イマム一級建築士事務所設立。ブリティッシュ・コロンビア大学大学院兼任教授、芝浦工業大学大学院、工学院大学、東京理科大学、桑沢デザイン研究所で非常勤講師を務める。主な建築作品に「富士ふたば幼稚園」「神宮前の住宅」、「大井町の集合住宅」。著書は『Archi lab 2006 Japan』(共著)、『現代住居コンセプション』(共著)、『ヴィヴィッド・テクノロジー』(共著)など。

辛島 恵美子 氏

安全学の視点から

辛島 恵美子 氏

関西大学社会安全学部教授、NPO法人安全学研究所理事

都市機能を備えた巨大空港となれば、これまで以上に多種多様な人々が集まり離散していく基点となるに違いありません。安全学の立場からいえば、言葉の壁、文化の壁を超えることがこれまで以上に強く要求されます。日本人にとっては当然だと思うことも、「それは日本的慣習や常識かもしれない」と、改めて見直すことが必要になると思われます。
平時は「誰もが確実に便利に使える」工夫が大切ですが、非日常である緊急時には、別の配慮が必要です。異常事態の種類にもよりますが、共通するのは、“訓練をしていない施設関係者以外の人々を、安全と考えられる地区や場所に、いかに速やかに落ち着いて避難誘導するか”です。
移動手段は、日常時も非日常時もすべて「速やかで安全な誘導」の鍵となるのです。そして誘導する側である施設関係者にとっても、「日常的に利用していない道具類を緊急時に適切に使うことはかなり難しい」ことも頭の隅に入れ、未来交通のアイデアを工夫してもらいたいと願っています。

KANOSHIMA Emiko●1949年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科基礎法学専攻修士課程修了、東京大学大学院工学系研究科学際工学専攻博士課程満期退学。薬剤師。三菱化成工業株式会社、三井情報開発株式会社総合研究所を経て、NPO法人安全学研究所を設立し、現在、理事。2010年より現職。著書に『薬と食べ物と水』(安全学入門シリーズ(理工図書、2007)など。

田中 浩也 氏

新領域デザインの視点から

田中 浩也 氏

慶応義塾大学環境情報学部准教授

発想を広げてみて欲しい。
例えば2009年、私が訪問したインド・ニューデリーでは、車道を、野良犬、野良牛、野良豚、野良山羊、車、人、人力車、三輪タクシー、馬車などが共生していた。
また2010年、私が滞在したアメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)では、折り畳み式の電気自動車や、一人乗りの小型電気自動車がすでに実験段階に入っていた。全方向移動を許容する車椅子用のタイヤを発見し、私自身もこのタイヤを用いた工作機械の研究を行った。
いま2011年、私が事務所を構えた鎌倉市では、観光用人力車とシェア自転車がフル活用されている。久しぶりに「神輿」も見た。
この3年間、私は世界各地で、ローテクからハイテクまでいろいろな移動体を見た。
世界は一様ではないし、そうあってはならない。
今年は「空港」をテーマに、多様でユニークなアイデアを期待している。何かのメディアで見たようなものではなく、まだ世界のどこにもないオリジナルのアイデアが出てくることを楽しみにしている。

TANAKA Hiroya●1975年生まれ。東京大学工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。
2005年より慶応義塾大学環境情報学部講師、2008年より同准教授、現在に至る。

松岡 利昌 氏

ファシリティ・マネジメントの視点から

松岡 利昌 氏

名古屋大学大学院 環境学研究科 施設計画推進室 特任准教授

ファシリティ・マネジメントのコンセプトの中に、「インサイドアウト」という考え方があります。都市環境を不動産、建物、設備などの外側から考えるのではなく、そこを使う人間(内側)からファシリティ全体を考え、中長期的に最適化していく方法論です。なぜなら、その都市の中で息づく人間の活動とパフォーマンスを最大化させることが必要だからです。
未来都市に集う人々が、最も使いやすく、快適で知的生産性を刺激し合える空間。その空間は、安全・安心かつスムーズでスピーディに目的の場所へ移動することが可能です。
グローバリゼーションが進み地方都市を結ぶ空港において、様々な思いを胸に人が出会うことができ、そして、機能的でかつ何より美しい未来のエレベーターを考えていただければと思います。大いに期待しております。

MATSUOKA Toshiaki●1959年生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。ハーバード大学留学を経て、慶應義塾大学ビジネス・スクール修了。外資系コンサルティング事務所などを経て、1991年より株式会社松岡総合研究所(MRI)にて独立。日本的ファシリティ・マネジメント(FM)コンサルティングサービスを実施。2005年より名古屋大学大学院環境学研究科施設計画推進室特任准教授に就任。大学キャンパスFM戦略モデルの研究開発を進めている。主な著書は、『ファシリティマネジメントハンドブック』(監修訳・産業情報センター社、2010)、『総解説ファシリティマネジメント追補版』(共著・日経新聞出版社、2009)など多数。

吉次 達夫

メーカーの視点から

吉次 達夫

東芝エレベータ株式会社 取締役執行役員上席常務 統括技師長

現在、日本の空港は100を越え、世界では約4万4000カ所以上もあり、文字通り「空の港」として、国内外の重要な交通を担っています。 空港は、旅客や荷物の積み降ろしにともなう施設のほか、商業施設やレストランなど、小さな都市機能を擁する巨大建築物です。空港を交通という視点で見ると、飛行機の離着陸のほか、多くのエレベーターやエスカレーター、そして動く歩道が活躍しています。
今回は、この小さな都市としての空港の未来の姿を考え、経済や文化交流の場として人や物流を担う新しい交通手段を考えていただきたいと思います。アイデアの対象は、単に空港内だけではなく、空港と都市を多様な交通手段で結ぶ「交通のノード(結節点)」として技術的な裏付けのあるアイデアを期待しています。
また、東日本大震災以降、防災は重要なテーマとして見直されているので、ぜひアイデアにも防災の視点を取り入れて欲しいと思います。

YOSHITSUGU Tatsuo●1955年生まれ。武蔵工業大学(現東京都市大学)工学部卒。技術企画部長、技術部長、神奈川支社長、技術本部長を経て現在にいたる。