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第7回(2013年)
未来エレベーター
コンテスト

テーマとキーワード

テーマ

「エネルギー自律都市」

エネルギーを自給自足する未来の都市とエレベーター

キーワード

「都市全体でのエネルギーの自給自足」

「ライフラインとしての垂直移動」

趣旨

近年、創エネ・蓄エネ・省エネを実現するビルや住宅が注目を集めています。しかし、ビルや住宅という単体だけで考えるのは限界があり、都市というシステム全体で「エネルギーの自給自足」を実現できれば、エネルギーマネジメントの最適化につながり、ひいては災害にも強い都市になります。
今回のコンテストでは、エネルギーの観点から未来の都市とその都市にあるエレベーターのアイデアを募集します。

受賞作品紹介

最優秀賞

NITROGEN MOBILE STYLE

NITROGEN MOBILE STYLE

三武  良輔(東京理科大学)
野村 健太郎(東京理科大学)

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楽しい街 TANO CITY<br />~エレベータでつながる都市~

楽しい街 TANO CITY
~エレベータでつながる都市~

野崎  海(宇都宮大学)
園田 勝正(宇都宮大学)
山﨑 美穂(宇都宮大学)
福田 聖也(宇都宮大学大学院)
佐藤 実紅(宇都宮大学大学院)

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審査員賞

海中200メートルに沈む海中都市 UMIDES

海中200メートルに沈む海中都市 UMIDES

大松  駿(東京工業大学)
近藤 舜介(東京工業大学)
金  相殷(東京工業大学)
二階堂 睦(東京工業大学大学院)
村上 勇樹(東京工業大学)

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WATERING CITY

WATERING CITY

細谷 奈央(名古屋市立大学)
長谷 直樹(名古屋市立大学)

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ENNOSITOR

ENNOSITOR

吉田 直人(法政大学大学院)
高橋 翔太(法政大学大学院)

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BIO CITY LIFE<br />─近未来の新しい移動のかたち─

BIO CITY LIFE
─近未来の新しい移動のかたち─

福井 大典(神戸大学大学院)

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応募資格

大学および大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校の在学生。
複数人でチームとして参加する場合、チーム全員が応募対象の条件を満たすものとします。また、各種連絡は電子メールを通して行うため、代表者の方(チームで応募される場合には代表者等最低1名以上の参加者) は、東芝エレベータのWebサイトに接続できるネットワーク環境と、連絡可能な電子メールアドレスが必要となります。

審査員の注目ポイント

今村 創平 氏

都市・建築の視点から

今村 創平 氏

建築家、千葉工業大学創造工学部建築学科准教授、アトリエ・イマム主宰

今日においては、何をするにしても、環境やエネルギーへの配慮は、あまりにも当然なことといえるでしょう。未来の移動装置について考えるにしても、効率のよいものを提案することは自明といえます。とはいえ、単体のエレベーターのエネルギー消費を減らすだけでは、将来への対応としては不十分であって、エレベーターと関わる建物、ひいては都市と合わせて、トータルで換算してエネルギーの収支を考えなくてはいけません。そのためには、移動空間と建物・都市との有機的関わり方そのものを見直す必要があるでしょう。また移動は、従来のようなエネルギーの消費ではなく、生産となるかもしれません。
一方で、都市といった大きなものを扱うと、様々な要素のバランスを考えて、結果として無難な提案となりがちです。そうしたものは、大企業などがすでにいくつも計画していますから、そうではない、創造性豊かな大胆な発想を期待しています。

IMAMURA Souhei●建築家。千葉工業大学創造工学部建築学科准教授。1966年東京生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。AAスクール(ロンドン)、長谷川逸子・建築計画工房(株)を経て2002年(有)アトリエ・イマム一級建築士事務所設立。ブリティッシュ・コロンビア大学大学院兼任教授を経て現職。東京大学大学院、芝浦工業大学大学院などにて非常勤講師を務める。主な建築作品に「オーストラリア・ハウス」「神宮前の住宅」、「大井町の集合住宅」。著書は『現代都市理論講義』(オーム社、2013)、『日本インテリアデザイン史』(共著、オーム社、2013)など。訳書として『20世紀建築の発明』(鹿島出版会、2012)。

辛島 恵美子 氏

安全学の視点から

辛島 恵美子 氏

関西大学社会安全学部教授、NPO法人安全学研究所理事

今回のテーマには、その副題からも明らかなように、外部からのエネルギー供給に依存しないという意味がひとつあります。しかし、エネルギーの“自給自足”は一つひとつの装置や施設単位では難しく、可能な場合でも、事故や事件等々の外乱要因の吸収までを考慮すれば不安定さを伴います。安全・安心な社会も、事故・事件ゼロの社会というより、実際に発生した乱れに伴う被害を最小限にとどめる実力ある社会を実現する方が現実的です。そのためには、創エネ、蓄エネ、省エネなどの目的の異なる装置や施設、さらには生活スタイル(この中には生産活動・消費活動を含む)等々を上手に組み合わせること(システム構築)で、日常的エネルギー需給の変動や想定外の事態発生にも柔軟に対応できるシステム化が必要です。そして、その基礎、この課題に則していえば、未来都市のあり方を深く考えることも重要です。
未来都市のあり方を描き出す中で、新しい未来エレベーターのあり方、役割等を若い柔軟な発想で形にすることを期待しています。

KANOSHIMA Emiko●1949年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科基礎法学専攻修士課程修了、東京大学大学院工学系研究科学際工学専攻博士課程満期退学。薬剤師。三菱化成工業株式会社、三井情報開発株式会社総合研究所を経て、NPO法人安全学研究所を設立し、現在、理事。2010年より現職。著書に『薬と食べ物と水』(安全学入門シリーズ(理工図書、2007)など。

田中 浩也 氏

新領域デザインの視点から

田中 浩也 氏

慶応義塾大学環境情報学部准教授

現在話題となっている「メイカームーブメント」「パーソナルファブリケーション」「オープンデザイン」は、個人がものづくりをできるようになることであり、別名「ハードウェア革命」とも呼ばれている。ハードウェアがソフトウェアやコンテンツと根本的に異なる点は、物理的な安全性への十分な配慮が必要になることだ。3Dプリンターの登場により、文房具、玩具、家具などは誰もが扱える対象となりつつあるが、高度な工業製品や大型の移動手段の分野にまで適用するにはまだ時間を要する。しかし、そうであっても、この機会にこうしたムーブメントから果敢に想像力を伸ばし、エレベーターについて根本から再考してみるのもよいのではないだろうか?
それは、色や形、表面、装飾だけを、人に合わせて「着せ替え」するような小さな話ではない。例えば、海外では、電気自動車をオープンソースで開発するプロジェクトも多数存在している。「今までとは違う何か」を、もっともっと妄想することが必要なのだ。
私は、今までとは違う、エレベーターの「つくりかた」を見てみたい。エレベーターそのもののデザインというより、どんな「つくりかた」が可能なのか。上記のキーワードを参考に多方面をリサーチしたうえで、生産システムまで突っ込んで提案してもらえたらと思う。

TANAKA Hiroya●1975年生まれ。東京大学工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。
2005年より慶応義塾大学環境情報学部講師、2008年より同准教授、現在に至る。

木村 英樹 氏

エネルギーの視点から

木村 英樹 氏

東海大学工学部教授、同大学チャレンジセンター次長

地球に埋蔵されている化石燃料には限りがあり、その燃焼によって排出される二酸化炭素は、地球温暖化を引き起こす可能性が高いといわれています。無尽蔵なエネルギー源である太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーに期待が集まっていますが、広い設置スペースを必要とし、天候の変化に対応できるようにするなどの課題を抱えています。このような背景から、エネルギーを効率よく創り出すテクノロジーと、省エネルギー、省資源、省スペースなどのアイデアを融合させることで、新しいシナジー効果を生み出すことが期待されています。
人々が生活する都市には様々な地理的条件が与えられており、そこにはその地域固有の多様なエネルギー源と、それを上手に利用する無数の技術があることでしょう。上下方向に移動できるエレベーターが活躍する、未来のエネルギー自律都市が数多く提案され、私たちに大いなる希望と感動を与えてくれることを期待しています。

KIMURA Hideki●1964年生まれ。東海大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程修了。博士(工学)。東海大学工学部助手、講師、助教授を経て、2007年に現職。東海大学ソーラーカーチームの監督を務めており、World Solar Challenge(WSC)、Solar Challenge South African(SCSA)などの世界大会で5連覇を達成した。著書に『太陽エネルギーがわかる本』(共著、オーム社、2012)、『ソーラーカーで未来を走る―太陽光がつくる自然エネルギーについて考えよう』(くもん出版、2011)など。

吉次 達夫

メーカーの視点から

吉次 達夫

東芝エレベータ株式会社 取締役執行役員上席常務 統括技師長

昨今、エネルギーに対する考え方が変化し、自治体の中には「エネルギーの地産地消」を模索するところが増えてきました。こうした潮流を踏まえ、幣社でも創エネ・蓄エネ・省エネをトータルに考え、例えば、太陽光発電とリチウムイオン蓄電池を組み合わせた新築マンション用エレベーターシステムや、回生電力機能を搭載したエレベーターなどを発売しています。
しかし、真の意味で「エネルギーの自律」を実現するには、ビルや住宅という単体で考えるだけでは限界があり、都市全体でエネルギーの自給自足を実現する必要があります。今回は、どのような技術・システムを取り入れればエネルギーの観点で自律した、創エネ・蓄エネ・省エネを追求した都市を実現できるのか、そうした都市にふさわしい未来のエレベーターはどうあるべきかに関して、アイデアを募集します。
アイデアには技術的な裏付けを盛り込み、近未来における実現可能性を示していただくことも大いに期待しています。

YOSHITSUGU Tatsuo●1955年生まれ。武蔵工業大学(現東京都市大学)工学部卒。東芝エレベータ株式会社技術企画部長、技術部長、神奈川支社長、技術本部長を経て現在にいたる。