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第6回(2012年)
未来エレベーター
コンテスト

テーマ

「スマートエレベーター」

30年後の都市で活躍する、都市と移動を一新する斬新で実現可能性のあるエレベーターおよびエスカレーター利用のアイデアを募集します。

受賞作品紹介

最優秀賞

Con vator ─ビルとビルをつなぐ─

Con vator ─ビルとビルをつなぐ─

柳下義博(東京工業大学)
桑原宏介(東京工業大学)

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優秀賞

FREE FLOOR

FREE FLOOR

横井浩明(千葉大学大学院)
西村 隆(千葉大学)

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審査員賞

ゴミのライフライン

ゴミのライフライン

黒主大樹(武蔵野美術大学大学院)

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コミュ箱

コミュ箱

田原 拓(日本大学)
山川大喜(日本大学)
善財寛之(日本大学)
川崎 将(日本大学)

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Carbon nano-tube Transit Network

Carbon nano-tube Transit Network

出口智也(北海道大学+UAA)
種村和之(京都工芸繊維大学+UAA)
中東壮史(東京理科大学+UAA)
青島昂大(東北大学大学院+UAA)

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応募資格

大学および大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校の在学生。
複数人でチームとして参加する場合、チーム全員が応募対象の条件を満たすものとします。また、各種連絡は電子メールを通して行われます。このため、代表者の方(チームで応募される場合には代表者等最低1名以上の参加者)は、東芝エレベータのWebサイトに接続できるネットワーク環境と、連絡可能な電子メールアドレスが必要となります。

審査員の注目ポイント

今村 創平 氏

都市・建築の視点から

今村 創平 氏

建築家、千葉工業大学創造工学部建築学科准教授、アトリエ・イマム主宰

環境への配慮は、ここしばらく大きな関心事であり続けていますが、昨年の東日本大震災以降、とりわけ私たち日本人にとっては、身近かつ切迫した問題となっています。エレベーターやエスカレーターは、動力を使い私たちの移動に利便性をもたらす装置ですが、今後都市内の交通において、エネルギーを考慮しないわけにはいきません。環境やエネルギーに配慮した地域の「スマートなエレベーター」として、どのような提案ができるでしょうか。エレベーターが外部エネルギーなしに自走したり、果てはエネルギーを生産することはあるのでしょうか。
また、スマートフォンとは、遠くの相手と話すことだけを目的とした従来の電話から、まったく異なる次元のツールへと進化したものです。来るべきスマートエレベーターとは、これまでのエレベーターを多少バージョンアップしたものではない、新しい〈何か〉となるでしょう。それによって、私たちの日常の光景が変わるような。
私は、自由な発想による、大胆な提案を求めています。

IMAMURA Souhei●1966年東京生まれ。1989年早稲田大学理工学部建築学科卒業。1990年から1992年までAAスクール(ロンドン)、1993年から2001年まで長谷川逸子・建築計画工房(株)勤務。2002年(有)アトリエ・イマム一級建築士事務所設立。ブリティッシュ・コロンビア大学大学院兼任教授、芝浦工業大学大学院、工学院大学、東京理科大学、桑沢デザイン研究所で非常勤講師を務める。主な建築作品に「富士ふたば幼稚園」「神宮前の住宅」、「大井町の集合住宅」。著書は『Archi lab 2006 Japan』(共著)、『現代住居コンセプション』(共著)、『ヴィヴィッド・テクノロジー』(共著)など。

辛島 恵美子 氏

安全学の視点から

辛島 恵美子 氏

関西大学社会安全学部教授、NPO法人安全学研究所理事

「スマート」という情報の共有と見える化を可能とする技術の登場により、これまで使いづらかった自然エネルギーのような分散型エネルギーを安定して使う道が切り拓かれました。
未だ試行錯誤のさなかではありますが、新しい都市の形を提案するまでにその概念は広く応用されつつあります。新しい社会のあり方を想像するところからスマートエレベーターのイメージも膨らんでいくものと期待しています。
安全学の観点から注文したいのはふたつ。ひとつはIT技術と情報共有のかかえるセキュリティ問題です。すでに顕在化している問題もありますが、デザインにし難い面も多いと思いますので、説明などで触れてもらえると評価しやすくなります。もうひとつは人の生き方、社会のあり方の原点に一度立ち戻り、想定した未来社会における新しい移動手段の可能性をデザインしていただきたいことです。いつの時代でもどこの社会でも、人は24時間のリズムをもち、過度や長期の緊張およびその反対の弛緩は共に健全さを害する原因になる、そんな微妙なバランスの上で力を発揮する存在です。

KANOSHIMA Emiko●1949年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科基礎法学専攻修士課程修了、東京大学大学院工学系研究科学際工学専攻博士課程満期退学。薬剤師。三菱化成工業株式会社、三井情報開発株式会社総合研究所を経て、NPO法人安全学研究所を設立し、現在、理事。2010年より現職。著書に『薬と食べ物と水』(安全学入門シリーズ(理工図書、2007)など。

田中 浩也 氏

新領域デザインの視点から

田中 浩也 氏

慶応義塾大学環境情報学部准教授

「スマートかつファンキー」なエレベーターはあり得るかのだろうか。
「スマート」と聞くと、無駄を省き、洗練された都市型の工業技術というイメージがわいてくる。一方で、人やコミュニティーの力を重視し、不器用ではあるが、いざというときにも役立つ農村型の生活技術もある。それに言葉をつけるとしたら、例えば「ファンキー」だろうか。現代の私たちは、「スマート」な技術と「ファンキー」な技法、そのふたつを携えながら暮らしているのだ。
私が今年問いたいのは、「スマートか、ファンキーか」の安易な二者択一では決してない。デザインの力で、そのふたつを高次につなげ、融合させてみてほしいのだ。これまでも、デザインは常に生活と工業をつなげる役割を担ってきたのだから。

TANAKA Hiroya●1975年生まれ。東京大学工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。
2005年より慶応義塾大学環境情報学部講師、2008年より同准教授、現在に至る。

田柳 恵美子 氏

知識デザインの視点から

田柳 恵美子 氏

公立はこだて未来大学社会連携センター 特任教授

急速に人口が減り独居世帯や高齢者の割合が大きく増えるといわれる未来の地域社会ですが、その分人々がアクティブな生活を送ることができるような賢い(スマートな)工夫が随所にこらされれば、楽しく明るい未来を描き創り続けることができるはずです。そのための要素技術は充分すぎるほど整ってきていますが、では技術を何のためにどう組み合わせどう活かしていくのか──すなわち「知識の体系をデザインする」発想力こそが鍵を握ります。
スマートグリッド、スマートシティと言われる最近のトレンドも、エネルギーの流れ、人やモノやクルマや情報の流れを、「知識の流れ」として捉え直し、賢く体系的に制御しようとするものです。「移動」「モビリティ」とは一体どのような知識の流れなのか──強くしなやかでスマートな洞察力と発想力に期待します。

TAYANAGI Emiko●1959年生まれ。北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科博士後期課程修了。博士(知識科学)。フリーランスにて企画・編集、研究広報・研究評価コンサルティングなどの分野で活動したのち、2008年より公立はこだて未来大学特任准教授、2010年より現職。専門分野は知識科学、組織論、認知社会学、サイエンスコミュニケーション、社会情報論。著書に『踊る大捜査線に学ぶ組織論入門』(共著;かんき出版、2005)ほか。

吉次 達夫

メーカーの視点から

吉次 達夫

東芝エレベータ株式会社 取締役執行役員上席常務 統括技師長

昨年の東日本大震災以降、日本の地域の防災やエネルギーに対する考え方は一変し、国や地方自治体は新たなビジョンを模索しています。その答えは都市のあり方にあり、今、注目されているのがスマートシティ構想です。
スマートシティやスマートグリッドは日本でも実証実験が進んでいますが、小社でも非常用電源(蓄電池)を搭載したマンション用エレベーターシステムの開発や中小規模ビル施設に対してBEMS(ビルエネルギー管理システム)を導入して、エネルギー使用の効率化や電力需要の抑制を実現する「スマートエレベーター」の開発に取り組んでいます。
今回は、応募者の住む地域を対象に、どのような技術やシステムが実現すれば、スマートなエレベーターや交通機関が活躍し、その地域独自のスマートシティが実現するか、応募者の地域に貢献できるようなアイデアを募集します。
また、アイデアには技術的な裏付けの視点を取り入れてほしいと思います。

YOSHITSUGU Tatsuo●1955年生まれ。武蔵工業大学(現東京都市大学)工学部卒。東芝エレベータ株式会社技術企画部長、技術部長、神奈川支社長、技術本部長を経て現在にいたる。