エレベーターの構造と用途 ロープ式エレベーター(マシンルームあり)
ロープ式エレベーター(マシーンルームあり)
建物の屋上に機械室を設置するタイプのエレベーターです。
概要/基本構造
ロープ式エレベーターは、かご室とつり合いおもりがワイヤーロープによってつるべの原理で引き合う力を利用し、電動式の巻上機で効率よく昇降させるエレベーターの基本型です。
その中で、最も広く普及しているのが巻上機と制御装置を屋上の機械室内に設置するタイプです。
1.巻上機
ロープ式エレベーターを駆動するのは屋上機械室に設置された巻上機で、ギヤードタイプとギヤレスタイプがあります。
ギヤレス巻上機は最新のインバータ制御により、減速機を用いるギヤードタイプに比べスムーズな加速・減速を行い、機械室機器の小型化とともに省電力化や快適性の向上にも大きく寄与しています。
2.制御装置
制御装置はエレベーターの動きをコントロールする装置です。エレベーターの頭脳とも言えます。スムーズで安全な運転・停止・加減速を行うとともに、インバータ制御によって精密に停止位置を調整します。
エレベーターが複数台ある場合は、群管理システムによって効率的な輸送のための運転を割り振ります。のりばとかご室内で運行状況を表示したり音声によるガイダンス等も行います。
群管理システム
複数台のエレベーターを、変化するかごの位置や運転方向、かご呼びとのりば呼びの状況などを自動的にコンピューターで演算処理し、交通需要の変化に対応しながら効率的にコントロールし運行管理するシステムです。
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3.地震時管制運転機能
地震発生時に地震感知器が揺れを感知し、エレベーターを安全に最寄り階に停止させます。 初期微動を感知する「P波感知器」と主要動を感知する「S波用の感知器」があります。
この他にも、機械室機器の転倒、ロープの脱落や昇降路内の突起物にロープやケーブルが引っかかることを防止する対策を施すことが推奨されています。
4.調速機/非常止め装置
万が一エレベーターが何らかの原因で定格速度を超過したり、ロープが切断した場合でも、かご室が落下しないための安全装置。仮にロープが切断しても、かご室が一定速度で降下すると調速機が作動し連動したロープが引っ張られます。
そして、かごに設置された非常止め装置の楔がガードレールの隙間に瞬間的に挟まり込み、かごを停止させる仕組みになっています。
5.ロープ
かご室とつり合いおもりを結ぶワイヤロープ。
鋼線をより合わせたメインロープを2本以上用いることで、建築基準法に定められた安全率(強度)を確保しています。
6.ガイドレール/室内装置
かご室とつり合いおもりの、安全で正確な走りを支えるのがガイドレール。
エレベーターを導く軌道で、このレールに沿ってかごが昇降します。
ガイドレールとかごの接点にはガイドシューと呼ばれる潤滑油が用いられ、潤滑油を供給することで摩擦を抑えます。高速エレベーターの場合には、より摩擦特性に優れたローラーガイドが採用されます。
7.緩衝装置
かご室が予期せずオーバーランした際に、衝撃を吸収する緩衝装置が設置されています。
定格速度が毎分60mの場合は「オイルバッファ」が、毎分45m以下は「スプリングバッファ」が一般的に採用されています。