
●健康面だけでなく人との交流でも一役を担う日本茶ですが、国内の消費量と生産量は減少しているようですね。
そうなんです。国内の茶葉の生産量は、この15年で見ると約2万トン減って現在約7.5万トン。このうち家庭でよく飲まれている煎茶は3.8万トンで、これも約4割減っています。それだけ日本人が日常的にお茶を飲まなくなった一方で、海外で人気の抹茶用の輸出は増えています。ただ、お茶農家の実情としては、二番茶以降は値段が下がるため、一番茶だけ出荷するところも増えており、私たちはこれを何とかできないだろうかと考えてさまざまな研究を行ってきました。そんな中、二番茶以降の茶葉を加工した特殊なお茶が開発できたんです。これは、野菜の鮮度を損なわずに運搬する保存法をヒントに茶葉で応用したところ、GABAの含有量がなんと一般的な緑茶の20~30倍に増えたんです。少しでも茶農家の収益の支えになればと、これを私たちの研究グループで「ギャバロン茶」と命名して商品化しました。

大森先生が監修したギャバロン茶。話題のGABAがティーバッグで手軽にとれる健康茶です。
●日本茶の消費を活性化するために私たちにできることがあれば教えてください。
核家族化やコーヒー文化の浸透などもあり、そもそも家に急須がないという方もいると思います。そんな方でも手軽にお茶を淹れて飲むことはできます。まずは100グラム500~1,000円ほどの商品でいいので煎茶を購入してみましょう。今はインターネットでも手軽に買えます。急須がなければ水出しがおすすめです。夜寝る前に冷水ポットなどに茶葉15グラム(大さじ3杯ほど)と水1リットルを入れ、軽く混ぜて冷蔵庫に保存するだけです。翌朝、茶葉を漉してグラスに注ぐと、とてもスッキリした味わいの水出し緑茶がいただけます。特に暑い季節にはおすすめです。
それと併せて私が提案するのは「お茶のフルコース」です。お茶を飲むだけでなく、茶殻まで全部いただくことで、食物繊維もとれます。ぜひ一度試してみてください。また、他にも一度試していただきたいのが、お茶を直接食べること。大さじ2杯がおすすめですが、1杯でもいいので葉っぱを口に含み、5分くらい噛み続け、最後に全部飲み込みます。寝る前にこれを行うと、翌朝、口の中がスッキリしているはずです。フラボノイドやフッ素の働きもあり、口腔ケアや口臭対策にもなります。ただ、問題なのがカフェイン。敏感な方は寝る前にはおすすめできません。


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まるで出汁のようなコクと優しい喉ごし
冷やした水を湯呑に注ぎ、茶葉約15グラムを入れた急須にそれを注ぐ。そのまま15分置いたら、蓋をしっかり押さえ、湯呑に最後の1滴までしっかり注ぎきる。
最後の一滴まで注ぎきる際、急須の中で茶葉がポンポンと音を立てるのがコツ。
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渋みが加わり、味わいも爽やかに
湯呑にぬるま湯(40~50度)を注いだら、1服目の茶殻が残る急須にそれを注ぎ、1分置いたら湯呑に注ぎます。
お湯を注いだ湯呑を持つことができるくらいが湯温40~50度。熱ければ水を足して調整しましょう。
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渋みの他に、苦みが加わります
湯呑に熱湯を注いだら、2服目の茶殻が残る急須にそれを注ぎ、そのまま1分置いたら湯呑に注ぎます。
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茶殻も捨てずに最後まで楽しむ
茶殻(適量)をちりめんじゃこや胡麻、醤油などで和えます。
いろんな素材と調味料でアレンジを楽しんでみましょう。
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好きな飲み物にお茶の風味をプラスして
茶殻(適量)、リンゴジュースと豆乳(それぞれ200ミリリットルほど)を、約1分間ミキサーにかけて撹拌します。グラスに注いで出来上がり。
茶葉には茎の多いものや粉茶状のものなど違いがあるため、撹拌時間を調整しましょう。
牛乳やバナナなどもよく合います。その他、お好みの飲み物や材料でアレンジも楽しめます。
お茶屋さんはもちろん、日用雑貨店やインターネットでも購入できます。
煎茶や玉露なら蓋を抑えて最後の1滴まで注ぎ込むことができることがポイントで、
下の写真でいうと2と3がおすすめです。また、番茶やほうじ茶、釜炒り茶など
大量に熱いお湯を入れて飲む場合は1がおすすめです。

大森先生の事務所にあったさまざまな急須。4の手の形をしたユニークなものと、5と6の素焼きのものは中国や台湾で入手されたそう。