エスカレーター

安全安心

エスカレーターの挟まれ事故・転落事故防止を目指して2024年4月1日から
エスカレーターの安全基準が変わりました。

2024年1月31日にエスカレーターの挟まれ事故・転落事故防止へ向けた対応として安全基準の見直しが行われ、「通常の使用状態において人又は物が挟まれ、又は障害物に衝突することがないようにしたエスカレーターの構造及びエスカレーターの勾配に応じた踏段の定格速度を定める件等の一部を改正する告示」(令和6年国土交通省告示第57号)が公布されました。

改正される主な安全基準

エスカレーターの安全基準

ハンドレール停止検出装置の設置義務化

ご利用者が転倒しないよう、左右のハンドレールのどちらかが停止したり、速度が異常に低下した場合に、エスカレーターの運転を自動的に停止させる装置の設置が義務付けられました。

転落防止柵とハンドレールとのすき間

これまで
2024年3月以前の定期検査では、すき間140~200mmが判定基準となっていました。

これから
ハンドレール外縁から500mmの範囲において、転落防止柵とハンドレールとのすき間を160~200mmにする必要があります。

※誘導柵で十分な挟まれ防止を行っている、デッキボードが高い位置にあり人が入り込むすき間がない等安全上支障がない場合は、この限りではありません。詳細は保守会社にお問合せください。

ハンドレール停止検出装置

進入防止用仕切板と外側板、
ハンドレール下面からのすき間

これまで
2024年3月以前の定期検査では、外側板とのすき間100mm以下、ハンドレール上面からのすき間50~150mmが判定基準となっていました。

これから
外側板とのすき間を110mm以下、ハンドレール下面からのすき間を25mm以上にする必要があります。

※登り防止用仕切り板を含む。

進入防止用仕切板と外側板、ハンドレール下面からのすき間

踏段上直部の障害物の状況

踏段から鉛直方向2100mm以内に障害物を設けてはいけません。
(天井、はり、広告体、照明灯、配管、仕切りの柱、上階のエスカレーター等)

踏段上直部の障害物

交差部可動警告板

交差部固定保護板に近接した位置に取付鎖等で吊り下げ、前縁を円筒形にする必要があります。

登り防止用仕切り板

ハンドレール下面からのすき間を25mm以上にする必要があります。

誘導柵とハンドレールとのすき間

これまで
2024年3月以前の定期検査では、すき間140~200mmが判定基準となっていました。

これから
ハンドレール外縁から500mmの範囲において、誘導柵とハンドレール外縁とのすき間を160mm以上にする必要があります。

誘導柵とハンドレールとのすき間

改正される主な安全基準

●今回の改正は、2024年4月1日以降に着工したエスカレーターに適用されます。
●2024年3月以前に着工したエスカレーターには適用されませんが、これらの安全基準に満たない場合は定期検査で「要是正(既存不適格)」の判定となります。詳細は保守会社にお問合せください。

※「要是正(既存不適格)」の判定:最新の法令の規定に適合していないことを示しており、遡及されるものではありません。

けがや事故防止への取り組み

緩衝踏段

エスカレーターの救急事故のほとんどは「ころぶ」「落ちる」事故によるものです。東芝では転倒時のけがのリスクを軽減する踏段先端部に緩衝材を採用した踏段に交換します。

エスカレーターの事故種別ごとの救急搬送

エスカレーターの事故種別ごとの救急搬送

出典:東京消防庁 急搬送データからみる日常生活事故の実態(2018年)

踏段先端部に衝撃を吸収する素材を採用

緩衝効果を得るための「柔らかさ」と、変形によるはさまれを防止するための「硬さ」のバランスを考慮して最適な素材を選択しました。
(特許第5717814号)

踏段先端部に衝撃を吸収する素材

万一転倒した場合でも、緩衝材なしの踏段と比較して、軽度の頭部損傷の発生リスクを約50%低減します。(弊社調べ)

※意識障害のない頭部の外傷、歯や鼻の骨折と顔表面上の外傷

●利用者の頭部が踏段先端部に衝突した場合を想定し、頭部傷害基準値
HIC※1を弊社独自の方法により実際に測定。インジュリー・リスク曲線※2を用いた結果。

インジュリー・リスク曲線

頭部が踏段先端部に衝突した場合を想定
(上昇運転時衝突角度:45°、落下距離1mの場合)

頭部が踏段先端部に衝突した場合

※1 HIC(Head Injury Criterion):衝突加速度から算出し、頭部の傷害の程度を示す基準値。頭部を模擬した被試験体の落下試験により算出が可能。主に自動車業界で用いられている。
※2 インジュリー・リスク曲線:HICとけが発生の確率を関係付ける曲線。
(注)温度、衝突角度、落下距離や経年変化などにより緩衝効果に差が生じる場合があります。

安全性を高める

利用者の安全を守り、事故防止に効果的なオプション

スカートブラシディフレクター

ブラシ状のガードをスカートガード部にそって設置し、スカートガードへの足の接近を防ぎます。スカート、ズボンの裾、長靴や樹脂製サンダルなどの巻き込み事故を防止します。

●「ロングスカートはさまれ防止」との併用はできません。

頭部が踏段先端部に衝突した場合

ロングスカート
はさまれ防止

エスカレーター乗降口下段部の左右スカートガードに設置します。エスカレータ―を降りる際、ロングスカート等が巻き込まれる事故を防止します。ロングスカートだけでなく、丈の長い衣料やサンダルなどのはさまれ、巻き込まれ事故の防止にも役立ちます。

ロングスカートはさまれ防止

●「スカートブラシディフレクター」との併用はできません。

※はさまれを完全に防止することを保証するものではありません

「ロングスカートはさまれ防止」なし

「ロングスカートはさまれ防止」あり

ロングスカートはさまれ防止

インレットブラシディフレクター

ハンドレールのインレット部(入り込み口)にインレットブラシディフレクターを設置。手などの挟まれ事故を防止し、安全性の向上を図ります。

インレットブラシディフレクター

オートアナウンス

乗降中の利用者の安全確保をはかるため、音声合成装置を設置し、「お子さま連れの方は手をつないでお乗りください」など、注意を促すメッセージをアナウンスします。

オートアナウンス

飛散防止フィルム

エスカレーター側面のガラスパネルに特殊フィルムを貼付し、地震など万が一の災害でガラスが割れた場合でも飛散や落下を防ぎ、被害拡大の抑止に役立ちます。

飛散防止フィルム

フッ素樹脂加工スカートガードパネル

ステンレス製のスカートガードパネルをフッ素樹脂加工したパネルに交換することで、摩擦係数が小さくなり、より挟まれにくく、事故を防止する効果が高まります。

フッ素樹脂加工スカートガードパネル

運転モニター「ESNAVI」

エスカレーターの運転方向などをお知らせする運転モニターです。省エネルギー運転中や低速・停止待機中は運転方向と交互に「ECO」表示を行い、省エネルギーをアピールします。また、安全装置作動時には作動した安全装置をお知らせします。

運転モニター「ESNAVI」

乗降板延長工事(14耐震用改修工事)

14耐震に準拠させるため、かかり代の長さと支承部用品に求められる強度が大幅に強化されました。本改修は14耐震基準を準拠するための工事と、構造上それに付帯して必要となる工事とに分かれます。

乗降板延長工事