編集:有限会社バース
皆さんは、夜空に星を見つけてなんだかホッとしたり、旅先で満天の星空に感動したりといった経験はあるでしょうか。今回は、天文学者である国立天文台の小久保英一郎教授にお話を伺い、星の輝きに癒されたい方から天体に詳しい方まで、星空の魅力をお届けします。無限に広がる宇宙を想像しながら、夜空を見上げてみてはいかがでしょう。
小久保 英一郎さん
Eiichiro Kokubo
profile●国立天文台科学研究部教授。天文学者。専門は理論天文学、惑星系形成論。宮城県仙台市生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修了、博士(学術)。『情熱大陸』『ガリレオX』、『又吉直樹のヘウレーカ!』などのテレビ出演をはじめ、多くにメディアに登場。著書や監修書として、中学校3年生向け国語の教科書(光村図書)の「月の起源を探る」や、『1億個の地球』(岩波書店 1999年 共著)、『宇宙と生命の起源-ビッグバンから人類誕生まで』(岩波ジュニア新書 2004年 共編著)などがある。
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
国立天文台
三鷹キャンパス(本部)
〒181-0015 東京都三鷹市大沢2-21-1
0422-34-3600(代表)
●天文学の教授にこんなことをお聞きするのは恐縮ですが、星の種類や特長など基本的なことを教えていただけますか?
はい。僕たちが夜空で普段見ている星はそれ自体が発光している「恒星」です。一方、自らは光らずに恒星の周りを回っているのが「惑星」です。地球は太陽の周りを回る惑星の一つです。夜空では太陽系の惑星である、水星、金星、火星、木星、土星を肉眼で見ることができます。惑星の周りを回っているのが「衛星」で、例えば、地球には月、木星にはガリレオ衛星などがあります。夜空に見える衛星は月だけです。全天で肉眼で見える恒星の数はおよそ8,600個と言われ、水平線より上に見える星は全天の半分ということになりますね。ご存知の通り、太陽から近い順に水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8個が太陽系の惑星です。以前は冥王星も入っていましたが、2006年に決められた太陽系の惑星の条件を満たさないので外されました。太陽系以外にも惑星は存在しますが、実はそれが分かったのは、つい最近のことなんです。観測技術の進歩にともない、1995年あたりからようやく見つかり始め、現在では約6,000個の惑星が発見されています。1つの恒星の周りに複数の惑星があることも珍しくなく、最大で8個の惑星が見つかっている惑星系もあります。また、衛星は太陽系以外ではまだ見つかっていません。それから、ハレー彗星や昨年話題になったアトラス彗星など数年から数十年に一度話題に登る「彗星」ですが、これは氷と固体微粒子などからなる天体で、太陽に近づく際に表面が蒸発して広がるため、地球に近づくと見え始めます。彗星から放出された固体微粒子が輝いてほうきの尾のように見えることから、ほうき星とも言われます。この他、肉眼で見ることができる天体としては、「天の川」や「星団」や「銀河」がありますが、このくらいが分かれば夜空を眺めることを十分楽しむことができると思います。
太陽を取り巻く太陽系惑星とさまざまな天体。 [提供:NASA]
●天の川は年中見えるのですね。
そうですね。天の川と言われるものは、「天の川銀河」、もしくは「銀河系」と呼ばれる太陽が属している数千億個の恒星の集団を地球から見た姿です。地球のある太陽系は銀河系の中にあり、銀河系は円盤の形をしているので、それを横から見ると川のように見えるわけです。織姫と彦星の伝説は夏の話ですが、天の川は年中見えていて、地球が太陽の周りを公転する中で、天の川の見え方も変わります。特に夏の頃に銀河系の中心方向を見ることになるので、星が多く立派な天の川が見られます。それで天の川というと夏のイメージが強いのかもしれません。冬の天の川は夏に比べてはっきりしませんが、明るい恒星は多いです。よく寒い季節に星空観測会が多いのは、空気が澄んで星が綺麗に見えるからという側面もあるかもしれませんが、冬は明るい星が多いからなんですね。ぜひ銀河系全体の構造を図鑑やインターネットで調べてみてから、天の川を見てみてください。
国立天文台三鷹キャンパスから見える天の川銀河。 [提供:国立天文台]
●昨年は日本でもよくオーロラが見られたようですが、あれはどういうメカニズムなのでしょうか。
太陽は高エネルギー粒子を放出しています。この粒子が地球の磁場に捕まって、北極と南極に落ちてきます。それが大気中の分子などとぶつかり、エネルギー状態を高くします。この状態から元に戻るときに光を放ちますが、これがオーロラです。太陽の活動が活発なときは、日本でも見られることがあります。昨年はけっこう見られたようですね。ただ、アラスカとか北極圏に近いところで見られるカーテンのひだのような壮大なものではなく、空が綺麗に色付く程度のようです。
2024年8月14日に撮影された低緯度オーロラとペルセウス座流星群。 [提供:なよろ市立天文台]

