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よくわかるエレベーターと建物のこと

リニューアル

マンション管理組合編 Vol.4

エレベーターの新しい安全基準って何?

会計理事

Q.以前、エレベーターの安全基準の改正について聞いたことがあるのですが…。なぜ改正になったのでしょうか?

プロフェッショナル

2006年6月に東京都港区で起きた事故や、2005年7月の千葉県北西部地震において多くのエレベーターの利用者が閉じ込められたことなど、過去の事故や災害の教訓をもとにエレベーターの安全に係る技術基準が見直され、法改正がおこなわれました。それらの事故や災害を教訓にして、同じ悲劇が二度と起こらないための、とっても大切な改正なのです。
『法律がちょっと変わっただけなんだな…』などと、決して思わないでくださいね。

「建築基準法の一部改正」をもっと詳しく知りたい!

「教えて!エレベっち(Q&A)/法令・法規」にてより詳しく紹介しています。

Q.とても大切なことだったんですね。
改正のポイントについて教えてください。

A.ポイントは大きく二つです。一つ目は「戸開走行保護装置」、二つ目は「予備電源を設置した地震時等管制運転装置」、この二つの設置が義務づけられます。
戸開走行保護装置から説明しましょう。戸開走行保護装置とは、従来からの安全装置に追加される、エレベーターの扉が開いたまま走行してしまうことを防止する装置です。
エレベーターには、エレベーターを動かしたり止めたりする「駆動装置」と、エレベーターの各種機能を制御する「制御器」があるのですが、今回の新しい戸開走行保護装置では、駆動装置、制御器のどちらも、より安全になるように装置が追加されたのです。

上図を見てください。
駆動装置にも制御器にも戸開走行を防止する安全装置が追加されているのが分かりますよね。
制御器には、安全性向上のため、戸開走行を検出してエレベーターを制止する安全回路などが追加され、駆動装置では、ブレーキの二重化などがおこなわれ、万全を期しているのです。

Q.素朴な質問ですが…、今までは安全ではなかったのですか?

A.現状では、エレベーターのドアなどがすべて閉じたあとでなければ、運行を開始できない仕組みが導入されています。
今回の改正では、今までのものがさらに安全になったとお考えください。また万全を期すために、国土交通省大臣の認定も必要とされているんですよ。

Q.地震時等管制運転装置の義務化についてですが・・・、これは以前教えていただいた、最新の地震対策のことでしょうか?

A.そうです! Vol.2の疑問でお伝えした、最新の地震時対応機能を思い出してください。
地震には、初期微動のP波と本震のS波があること。
地震はなるべく早く検知した方がそのあとの対応もとれるので、初期微動を感知するP波感知器付地震時管制運転装置の方がより安心ですよ…という、お話をしましたよね。 そうです、あのP波感知器付地震時管制運転装置が義務化されるということなのです。
下図を見てください。今回のポイントは、P波感知器付地震時管制運転装置に加えて、「予備電源」を設けた「地震時等管制運転装置」であることが必要、とハッキリと規定されていることです。
なぜ予備電源が必要かというと、地震と同時に停電など電源供給に問題が生じた場合も、予備電源があることで、エレベーターの中への閉じ込めを防止することができるからなんですね。 東芝エレベータでは、この予備電源として『停電時自動着床装置(トスランダー)』が対応しています。

「停電時自動着床装置(トスランダー)」をもっと詳しく知りたい!

ここが重要

当改正は2009年9月28日に施行されました。新設のエレベーターおよび既存のエレベーターの更新に関するもので、既存物件は含みませんが、国土交通省では、既存物件の当改正への適合も促進していく考えです。なお、既存物件で当改正に対応していない場合は、法定検査の際に既存不適格となります。