編集:有限会社バース
前編で話題に上がった「笑いヨガ」。今回は実際に笑いヨガを指導されている上田梨花子さんにお話を伺い、ご自身の体験や、誰でも簡単にできるコツなどをご紹介します。また、インドから来日されたラフターヨガ創始者、Dr.マダン・カタリアに伺った「幸せになる秘訣」もお届けします。
上田梨花子さん
Rikako Ueda
profile●1954年大阪生まれ。大阪城公園笑いヨガクラブ・笑いヨガクラブ塚本神社主催者。笑いヨガティーチャーの資格をはじめ、シニアヨガインストラクター、心理カウンセラー、表情筋セラピスト、NLPプラクティショナーなどとしても活躍。数々の企業、施設などでの研修や講演をはじめ、テレビ、ラジオ、新聞などで「笑いコンシェルジュ」として取り上げられ、大阪を中心に活動中。
●「笑いヨガ」とはどんなものですか。
1995年にインドのムンバイで、笑いに健康効果があることを知っていた内科医のマダン・カタリア氏とヨガの熟練者である妻マドゥリさんが、「誰もが笑いで健康になる方法」として考案しました。笑いながら簡単な動きを加えた体操のようなもので、ヨガの腹式呼吸法を取り入れながら行うことで、ラフターヨガと呼ばれました。当初、仲間も入れてたった5人で始めたラフターヨガは、今では世界120か国ほどに広まり、日本には2007年に伝わり、笑いヨガとして全国各地に広がっています。
●笑いヨガクラブの活動内容を教えてください。
2010年から「大阪城公園笑いヨガクラブ」を主宰し、毎週大阪城公園でクラブを開催していましたが、現在は大阪城公園近くにある難波宮跡公園と塚本神社で月に数回開催しています。その他、お声がかかれば企業や施設などで講習会を行い、最近では笑いヨガを教えたい方の資格取得サポートや、スキルアップ講座などで教え方の相談に乗ることが増えています。笑いヨガは、国家資格や難しい試験があるわけではなく、2日間の講習で、人に教える「リーダー」という資格を取得できます。ただ、いざ教えるとなると、やり方やアプローチに悩む方も多いんです。リーダーには簡単になれても、教えられるリーダーになることはそう簡単ではありません。実際、笑いヨガに来ても笑えない人もいます。ですから、教える側の工夫がとても大切なんです。
●笑いヨガでも笑えない人がいるのでしょうか?
そうですね。実は私自身も最初は笑えなかったんです。教室で、「笑いましょう、笑いましょう」と言われれば言われるほど、笑いを強要されているように感じてしまい、笑うことにつまずいてしまったんですね。その経験を元に、自分が伝える側になってからはアプローチを試行錯誤しました。2011年にはラフターヨガ創始者のDr.カタリアから、教えることを目的とした「ティーチャー」という資格を直接取得し、テレビや新聞などで取り上げられたこともあります。私のクラブには多いときで50人もの参加者がいらして、約8割が男性。普段、あまり笑わないという方でも自然に笑えるようになるようなアプローチを考え、工夫しています。
●笑いヨガと出合ったきっかけは?
実は、私は36歳から20年ほどパニック障害を患っていました。パニック障害は、心臓がドキドキして生活に支障をきたすなど、人によって症状はさまざまですが、私の場合は急行電車に乗れない、人混みに出られないことが大きな症状でした。育ち盛りの子どもを遊びに連れて行くことも家族旅行に行くこともできず、それがつらくて二次的にうつ病も併発し、心療内科に通って薬を飲む生活が5年ほど続きました。あるとき、テレビの情報番組で、「口角を上げて笑顔を作ると気分が晴れる」と紹介されていて、その教室のある奈良まで各駅停車の電車で何回か通いました。すると少しずつ気分が変わってきて、そんなとき、またまたテレビを観ていたら、画面に大笑いしている人たちが映って、それが「笑いヨガ」でした。近くでやっていたので行ってみたところ、皆さん、楽しそうに笑っているんですね。私はというと、笑いたくて参加したのに笑えない。でも、とにかく笑いたい一心で何度か通って、奈良で習ったやり方で口角を上げて笑顔を作り、「ハッハッハッ!」と声を出してみたんですね。すると、相手からは笑って見えますよね。周りの人も私を見て笑ってきますし、それを見てまた「ハッハッハー」と声を出す。すると、少しずつ恥ずかしさや気後れがなくなり、自然と笑えるようになりました。それを毎日続けていたら、少しずつ気分も調子も良くなっていったんです。
●それでパニック障害やうつ病が治ったのですか?
私の場合はそうです。笑うこともできない状況から、口角を上げて腹式呼吸で声や息を出し切るということを毎日続けたことで、気持ちが前向きになりました。そして、急行電車に乗車することをトライしてみました。1駅乗れたらもう1駅、次は特急電車という具合に。そして、いよいよ新幹線に挑戦し、大阪から東京まで行けたときは、「私、新幹線に乗れた!」と本当に嬉しくて信じられませんでした。薬の量も徐々に減り、笑いヨガを始めて1年ほどで治療が終わりました。
●アプローチの仕方って大切なのですね。
はい。笑いヨガをやってみようと思う人の状況はさまざまです。特に年配の男性や、普段からあまり笑わない方は、いくら教室に行って「さあ、笑いましょう!」と言われてもなかなか笑えません。それで、何も感じられずに諦める人もいると思います。ですから私は、どんな気分のときも、どういう気質の人でも行えるように、口角を上げる表情を作って、ヨガの基本の腹式呼吸で、酸素を吸って二酸化炭素を出し切る。つまり、顔の筋肉運動と「ハッハッハー」と声を出しながらヨガの複式呼吸という有酸素運動で、笑いヨガをお伝えしています。これならば、笑う理由がなくても、笑う気分ではなくても、普段笑わない人でも、必ずできます。

