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ニュースリリース

2006-07-20

地震対策機能を強化した標準形エレベーターの発売開始について
既設エレベーターについても追加工事が可能

エレベーター 安全 安心 新商品/新機能 新設

 当社(社長:下野政之、本社:東京都品川区)は、国土交通省のエレベーター地震防災対策(新方針案)に対応する「緊急救出運転」「自動復旧運転」「リスタート運転」などの機能を新たに商品化して、標準形エレベーター「SPACEL−EX(スペーセルEX)」に搭載し、本日から販売活動を開始します。
なお、新たに商品化した地震対策機能は、1998年以降発売の「SPACEL」「NEW−SPACEL」「SPACEL−EX」の3機種の既設エレベーターについても追加工事が可能です。また、それ以外の機種については、順次適用拡大を計画しています。
あわせて、当社は過去の耐震指針(※1)のエレベーターにおける耐震対策および地震時管制運転装置の設置を推奨していきます。
※1:1972年制定の「昇降機防災対策標準(旧耐震指針)」および1981年制定の「エレベーター耐震設計・ 施工指針(新耐震指針)」

<当社の地震対応商品(概要)>

施策 対応商品
1.閉じ込め防止 ◆ P波感知器付地震時管制運転装置(標準装備)
◆ 緊急救出運転機能(有償付加仕様)
◆ リスタート運転機能(標準装備)
2.運転の早期復旧 ◆ 自動復旧運転機能(保守メニュー)
3.利用者への情報提供 ◆ 運転状況表示機能(標準装備)
4.機器損傷の防止 ◆ 長周期地震対策(有償付加仕様)
◆ P波感知器付地震時管制運転装置(標準装備)

【背 景】
 2005年7月、千葉県北西部を震源とする地震が発生し、首都圏を中心に約64,000台のエレベーターが安全確保のため運転休止し、このうち78台において閉じ込めが発生しました。これらのエレベーターの7割以上は市町村震度4以下の地域に存していたものであり、比較的震度が小さかったにも関わらず、多くの閉じ込めや運転休止を生じたことが、大きな社会問題となりました。こうした中で、国土交通省の諮問機関である社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会において、エレベーターの地震防災対策の推進について議論が行われ、「閉じ込めの発生」「閉じ込めからの救出の遅れ」「運転休止からの復旧の遅れ」「適時適切な情報の不足」などの課題抽出やエレベーターにおける地震防災対策が検討されてきました。 当社は日頃より安全・安心・快適にエレベーターを利用いただくことが重要だと考えており、この度の最終報告された「エレベーターの地震防災対策の推進について」(国土交通省が2006年4月18日公表)を踏まえ、新方針案に対応する地震対策機能を新商品化し、本日から販売活動を開始します。

<参考>エレベーター地震防災対策(新方針案)の施策とそれを受けた当社の対応

早急に講ずべき施策(おおむね1年以内) 当社の対応
◆P波感知型地震時管制運転装置の義務化 ◆P波感知器付地震時管制運転装置の標準装備
◆ドア開放検知による安全装置等の改良等
◆「閉じ込め時リスタート運転機能」の開発
◆緊急救出運転機能の商品化
◆リスタート運転機能の商品化
◆適時適切な情報提供・情報共有 ◆運転状況表示機能の商品化
引き続き技術的検討等が必要な施策 当社の対応
◆「自動診断・仮復旧システム(仮称)」の開発 ◆自動復旧運転機能の商品化

【新商品の特長(地震対応商品)】
1.「P波感知器付地震時管制運転装置」を義務化に先駆けて新設エレベーターに標準装備
 「P波感知器付地震時管制運転装置」は、地震の初期微動(P波)を感知することで、地震の本震(S波)が到達する前に地震時管制運転を開始し、乗りかごを最寄階に退避させる機能です。一般的なS波感知器付地震時管制運転に比べ、より早い退避運転を行うことができます。
社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会では、この機能の義務化について提言されており、「SPACEL−EX」ではこのP波感知器付地震時管制運転を標準仕様とすることで、今まで以上に安全・安心なエレベーターを提供します。

2.「緊急救出運転機能」・「リスタート運転機能」により閉じ込めを防止
 地震時管制運転中に、地震の揺れ等によりエレベーターの安全スイッチが動作すると、運転を停止する場合があります。「リスタート運転機能(標準装備)」付地震時管制運転は震度4〜5弱程度の中規模な地震(低ガル※2)を感知した場合、安全スイッチの復帰を確認し、自動的に地震時管制運転を再開します。また、震度5弱を超える比較的大きな地震(高ガル※2)を感知した場合は、管理者が安全確認を行いエレベーターホールや監視室に設置した「緊急救出運転機能(有償付加仕様)」のスイッチを操作し、手動で乗りかごを最寄階に運転することができます。「緊急救出運転機能」「リスタート運転機能」の2つの機能により、地震時の閉じ込め発生を最小限に抑えます。
※2:低ガル:150Gal、高ガル:200Gal(建物高さ60m以下の場合)

3.「自動復旧運転機能」により二次災害の危険性がないエレベーターを仮復旧
  従来の地震時管制運転では地震の本震であるS波(低ガル)を感知した場合、地震時管制運転を完了後、運転中止となり、フィールドエンジニアによる手動の復旧作業が必要でした。「自動復旧運転機能(※3)」は当社の遠隔監視システムの技術を応用し、地震時管制運転完了後、自動診断運転によりエレベーターの安全確認を行い、約30分で仮復旧運転を開始することができます。「自動復旧運転機能」により、エレベーターの早期復旧を実現します。
※3:最大昇降行程30mで、エレベーターに損傷の恐れのある強い地震(高Gal)を感知した場合は二次災害を 防ぐため、自動診断運転機能は作動しません。また、本システムを機能させるには、当社遠隔監視メンテナンス「スーパーTERM」の契約が必要です。

4.「運転状況表示機能(※4)」によりエレベーターの運転状況を把握
 地震時管制運転中や自動診断運転中など、エレベーターの運転状況をホールインジケータ・ボタン(※5)に表示し、エレベーター利用者に地震時における情報提供を行います。また、その他の管制運転中や保守点検中など、さまざまな運転状況の表示機能を備えています。
※4:SPACELは、運転状況表示機能を追加採用いただくことができません
※5:エレベーターののりばまたはその付近の壁面に設けられるかご呼び用のインジケータ付き押しボタン

5.「長周期地震対策」により機器損傷を防止
 長周期地震とは、地震動成分に周期が比較的長い成分を含んだ地震です。この地震の長周期成分と高層建物の共振が発生した場合、大きな揺れによりエレベーター機器へ影響を及ぼすということが新潟県中越地震で顕在化しました。「SPACEL−EX」は、長周期地震対策を盛り込み新たに制定された日本エレベータ協会標準(JEAS−711)「エレベーターの昇降路内機器突出物に対する保護措置標準」に準拠したロープ類の引掛り防止対策を施し、エレベーター機器の損傷を防止します。

【地震対策機能を強化した標準形エレベーターの概要】

販売開始日 販売目標 販売価格
2006年7月20日 約5,000台/年間 住宅用・定員9人・速度90m/分停止階床7箇所の場合で概ね1,500万円

【地震対策機能を強化した標準形エレベーターの仕様】

用途 乗用 住宅用 寝台用
定員と積載 6人(450kg)
9人(600kg)
11人(750kg)
13人(900kg)
15人(1000kg)
6人(450kg)
9人(600kg)
9人トランク付き
(600kg)
13人(850kg)
11人(750kg)
15人(1000kg)
定格速度 45m/分・60m/分・90m/分・105m/分

【地震対策機能を強化した標準形エレベーターの特長(その他機能)】
1.聴覚障害者パッケージプラン
 ユニバーサルデザインをより充実させるため、「聴覚障害者パッケージプラン(有償付加仕様)」を機能追加しました。聴覚障害者パッケージプランは、「降車お知らせボタン」と「満員お知らせ灯」、「大型防犯窓付きドア」、「非常呼びボタン応答灯」、「お知らせドアサイン」という5つの目で見てわかる機能をパッケージ化し、聴覚障害をお持ちの方でも安心してエレベーターをご利用いただけるよう配慮しました。

2.降車お知らせボタン
 エレベーター混雑時、かごの奥側にいる利用者(聴覚障害の方やご高齢の方、小さいお子様、ベビーカー・カートをご利用の方など)が降りやすいよう、かごの奥側に「降車お知らせボタン(有償付加仕様)」を設置しました。このボタンを押すと、降りたい方に代わってかご内へ降りる旨をアナウンス、戸開時間を延長するのでゆとりを持って降車できます。

3.エレベーター専用スポットクーラー「クールフロー」
 利用者に涼風をお届けする「エレベーター専用スポットクーラー「クールフロー(有償付加仕様)」は、昇降路寸法(オーバーヘッド寸法)を変更することなく設置可能なことに加え、蒸散式を採用しているため、排水設備を設ける必要がありません。

本資料についてのお問い合わせ先:

東芝エレベータ株式会社 総務部総務広報担当TEL 044(331)7001

お客様からのお問い合わせ先:

リニューアル事業部TEL 044(331)7031