MENU

よくわかるエレベーターと建物のこと

ビジネスチャットツール活用による
スピード感のある現場との
コミュニケーション

コミュニケーションにさらなるスピード感が求められる中、ビジネスの現場ではチャットツール導入が加速しています。
Web会議や電子メールとの違いは何か、セキュリティは万全か、ツールの選定方法と適した使い方は何か。ビジネスチャットツールの活用方法に迫ります。

注目を集めるビジネスチャットツール

若年層はテキストコミュニケーションが当たり前に

 コロナ禍による在宅勤務の増加などで働き方改革が進む中、ビジネスコミュニケーションにも変化が求められています。そうした中で、Web会議や電子メールなどと並んで注目を集めているのがビジネスチャットです。

 Zoomなど従来の会議をオンライン化したWeb会議は、参加者のリアルタイムの時間共有が必須です。また、電子メールは素早い情報共有を手軽に行うといった使い方には不向きです。チャットツールは、多人数が参加できるグループチャット機能を基本に、必要に応じて音声やビデオ通話を行うことが可能で、PCやスマホ、タブレットなど複数のプラットフォームで利用できることも特徴です。
 スマートフォンの普及とともに、「LINE」や「Messenger」などのチャットツールが一般的に使われるようになってきました。しかし、社外秘の情報をやりとりすることも多いビジネスシーンで利用するには、無料のチャットツールでは安全性が気になるところです。そこでセキュリティがきちんと担保されたビジネスチャットツールを導入する企業が増えてきています。
 ビジネスチャットツールには、「Microsoft Teams」 や「Slack」などさまざまなサービスが提供されています。現場事務所や作業担当者と本社間のコミュニケーションが不可欠でさらに多くの関連業者も参加する建築・建設業界では、どういった点に留意してビジネスチャットツールが選ばれているのでしょうか。

大手建設会社各社で導入が進むビジネスチャットツール

直感的な操作が可能な「WowTalk」

 大手建設会社各社でもビジネスチャットツールの導入は進んでいます。
 大手建設会社が採用する国産ビジネスチャットツール「WowTalk」(ワウテック株式会社)は、直感的な操作が可能で導入教育が不要なこと、さらにセキュリティ管理機能が充実していて、完全にクローズドな環境が構築できます。従来、印刷資料などを用いて行われていた内勤メンバーと現場メンバーのミーティングも、「WowTalk」を使うことで画像ファイルなどの形で情報共有が可能になります。現場で報告すべき内容が見つかった場合も、トークグループ全員に情報を流すことができるので、誰に報告すべきか迷うことがありません。
 「WowTalk」は個人単位で各種機能の有効範囲を指定できます。企業ポリシーに合わせ、外部の協力会社社員をゲストユーザーとして迎えた場合も「パーティション機能」などを使うことで、自分の所属部門など決められたメンバーのみで情報交換を行うことも可能なため、協力会社社員など外部関係者も含めて運用が行えます。

建設現場に強みがある「direct」

 建設や工事の現場と企業社員を繋ぐことに強みがある「direct」(株式会社L is B)も大手建設会社で複数採用されています。「direct」は現場での注意喚起などに活用できるデジタルサイネージ機能をオプションで搭載することができます。
 iPadなどのタブレット機器を導入して図面の閲覧などを行っている現場でも、業者への指示は電話連絡が必要で、現場写真を送る際もいったん事務所に戻って指示書を作ることがあります。「direct」はiPadを使って現場から直接写真や指示を送ることが可能で、操作もシンプルで誰でもすぐに使いこなせます。トークルームに参加する全員に情報が共有されるため、工事のやり直しなどが発生した場合も、その場で写真に指示を書き込むなどでスピーディな対応が可能です。メンバーごとに既読/未読を確認できるので、必要なメンバーに必要な情報がきちんと伝わっているかも確認できます。
 また、「direct」にはチャットボット機能があり、質問に答えるだけで定型の報告書が作成できるため、パンデミック発生時の作業員体調管理や就労報告などへの活用が期待できます。
 近年プライベートでLINEなどが利用されていることから、チャットツールの便利さは認識されているのですが、業務で使う場合にはセキュリティにも注意が必要です。「direct」はグルーピングがしやすく、メッセージを誰が読んだのか管理できる点が各社で評価されています。
 グループトークに情報を流すことで、報告の際に同じ話を繰り返すことを防ぐことができます。また、昼勤と夜勤の引き継ぎがある現場でも、作業前にタイムラインのやりとりが確認できるので、一箇所に集まって引き継ぎをする必要がありません。チャットによるコミュニケーションは、スタンプなども活用できるのでメールと違って堅苦しさがありません。良い雰囲気で情報共有ができるのもビジネスチャットの利点の一つです。

ビジネスチャット選定のポイント

セキュリティや管理に配慮が必要

 ビジネスチャットを選ぶ際は、価格の他、機能をチャットに絞ったシンプルなものにするか、会社のシステムと連携した高機能な製品を選ぶかといった機能面をまず考えます。また、社内のみで運用するのか、協力会社の関係者など広い範囲で運用するのかなどもポイントになりますが、運用範囲を広げる場合は、セキュリティや管理面についても考える必要があります。

名称 開発元 特長
Wowtalk ワウテック シンプルな操作で直感的に扱える。
管理・セキュリティ機能が充実している。
direct L is B 建設・建築現場で役立つ機能を重視して
作られた国産のビジネスチャット。
InCircle DXcloud AIチャットボットを搭載。
拡張性にも優れている。
Chatwork Chatwork 手軽に使える国産ビジネスチャット。
社内外問わずグループを作ることができる。
Slack Slack Technologies 価格は高めだが機能が充実している。
ビジネスチャット普及の契機となった。
Microsoft Teams Microsoft ExcelやPowerPointなど、Microsoft office製品との連携が容易。

代表的なビジネスチャットツール

 東芝エレベータではビジネスチャットツールに加えて、スピード感のある現場とのコミュニケーションを図るため、2015年から「つぶやきシステム」を開発し、導入しました。音声認識システムを活用し、現場情報や危険予知活動、安全指示などタイムリーな情報共有に効果が出ています。今後は本システムをさらに改良して、地震など災害時に活用することも継続して検討しています。
 東芝エレベータでは、エレベータをより安全・安心にご利用いただけるよう、さらなる保守業務の信頼性とサービス品質の向上を目指していきます。

「つぶやきシステム」は、スマートフォンに音声をつぶやくことで報告事項を文字入力できるシステム。現場でも簡単に報告書が作成できる。

 テレワークの拡大に合わせてビジネスチャットツールを導入する企業も増えていますが、職場環境を向上させるためにはなによりもツールの積極的な活用が必要です。
 使い方や場面をきちんと想定したうえで、自社の業務に最適なツールを選ぶことが重要ではないでしょうか。

次回は「デジタルサイネージでエレベータ内を快適情報空間に」です。
乞うご期待!