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トキハ本店 大分県大分市

デパートやショッピングセンターのエスカレーターにも、バリアフリーの重要性が高まっている。だが大規模商業施設で店を営業しながらのリニューアルには様々な苦労もつきまとう。

  • エレベーター

  • エスカレーター

  • 商業施設

  • ロープ式

  • 油圧式

  • 乗用

  • 全撤去

  • 準撤去

トキハ

仕様

物件名

トキハ

住所

大分県大分市府内町2-1-4

概要

1985年には本店の隣に情報発信基地「トキハ会館」をオープン。88年には別府店、2000年には大分市郊外に大型ショッピングセンター「トキハわさだタウン」を独力で開店させた。わさだタウンの入店者数は年間900万人に達する。

お年寄りの転倒防止に注力

 大分市の中心部で70年以上の歴史があるトキハは、県内唯一の百貨店。本店は地上8階地下2階で、年間入店者数は800万人にのぼります。子供から高齢者まで幅広い年代の来客がありますが、特に近年では1人で来店する高齢者が増えており、エスカレーターでの転倒防止には神経を使っていました。
 トキハ本店にはエスカレーターが34台、エレベーターがバックヤードを含めて11台あります。来店客の85%がエスカレーターを使い、エレベーターは15%という使用状況でした。
 トキハ本店全体で東芝製エスカレーターを採用したのが1970年のこと。93年頃には老朽化による動作中の停止が見られるようになりました。高齢者の転倒があったことをきっかけいに調査したら、徐々に停止トラブルが増えていることがわかりました。創業時から「お客さま第一」で営業してきた当社では、エレベーターも含めた全台リニューアルが全会一致で決まりました。

岡 公治氏

■岡 公治氏
株式会社トキハ 取締役常務執行役員 経営管理本部長

エレベーターの電気消費量は3分の1に

 県内唯一の百貨店である以上、店を閉めてリニューアル工事をするわけにもいきません。そこでまずは95年からエレベーターのリニューアルを開始し、かご室内に椅子を設置してバリアフリー対応として音声案内も導入しました。
 2001年からはエスカレーターの準撤去リニューアルにも着手しました。通常は少なくとも2台で3週間が必要となるところ、営業時間中も音の出ない工事を行うなどの工夫をしながら、上り下り合わせて平均20日という短工期で完了しました。来店客の上り動線を切らないようにするため、下りエスカレーターを上りに変えるなどして工夫しました。
 エスカレーターがきれいになると、フロアの印象が明るくなります。リニューアルによる省エネ効果も大きく、エレベーターでは電気消費量が従来の3分の1に。大型商業施設では温暖化ガス削減の義務化もあり、お客さまの関心も高くなっているので環境対策としても有効でした。

エレベーター・1階ホール

■エレベーター・1階ホール
一部のエレベーターにはエレベーターガールが配置されている。エレベーターガールの制服は、創業70周年を記念して開店当時と同じデザインを復刻した。

エスカレーター・2階のりば

■エスカレーター・2階のりば
リニューアルにより全体が明るくなったほか、大幅な省エネを実現した。

エスカレーター・運転モニター「ESNAVI」

■エスカレーター・運転モニター「ESNAVI」
一部のエスカレーターには運転方向がひと目でわかるよう、運転方向を表示するモニターが設置されている。

ここがポイント
主要動線をリニューアルしてイメージアップ

 デパートのフロア中央に位置し、商品を見ながら移動できるエスカレーター。一度に利用できる人数が多く、営業時間中は常時稼働しているのでエレベーターよりも多くの人を運べます。その反面、電気代などのランニングコストも高くなり、実際に設置されているのは駅、大規模商業施設、大学などに限られています。
 利用できる人数が多い設備は、それだけリニューアルも大変。建物内の主要動線が一時的に使えなくなるので、綿密な計画に基づくリニューアルが必要になります。1台平均10日間という短期で完了できたのは、ノウハウの蓄積や協力関係の賜物です。
 エスカレーターは稼働時間が長いため、省エネによるランニングコストの低減効果も顕著に表れます。工事は大変ですが、それに見合ったイメージアップとコストダウンでデパートに貢献できることは間違いありません。

メーカーの立場から

大規模商業施設におけるエスカレーターやエレベーターのリニューアルにはさまざまな制約がある。多様なノウハウを持った東芝エレベータならではの柔軟性が適切な解決策を導き出した。

短⼯期でのリニューアルが求められる商業施設

 不特定多数の来店客が集まる大規模商業施設のエスカレーターやエレベーターのリニューアルには困難が伴います。全館閉館してリニューアル工事を行うのが効率的ですが、店舗側としては極力営業を続けながら工事したい事情があり、イベント開催に合わせて短工期で完了させてほしいという要望も珍しくありません。
 エレベーターなら数台を動かしながら順番にリニューアルできますが、エスカレーターを1台止めると全体の動線に大きな影響を与えます。バンク全体を一気にリニューアルできれば効率的ですが、動線が止まってしまうのでフロアごとのリニューアルも視野に入れます。
 例えば、3~4階の4台をまずリニューアルして、3階まではエスカレーターを動かし、そこから上は階段を使ってもらいます。あるいは下り専用や上り専用ごとに片方ずつ工事し、必ず上りの動線を確保する手法もあります。東芝エレベータでは機材をユニット化して現地での加工を少なくしたり、夜中も工事するなど工期を短縮する工夫を行っています。

意匠⾯のイメージアップを重視

 エスカレーターのリニューアルは、法定償却年数も考慮してほぼ20年を目安としています。リニューアルのメリットとしては、意匠面のイメージアップが重視されています。最新のエスカレーターでは、欄干、手すりベルト、欄干の土台となるデッキ部分がスリムになりました。欄干のガラス板もふくらみのないストレートタイプで、乗ったときに広く感じられます。ベルトも薄型でカラーバリエーションが増えました。デッキはビスが隠れてスマートになり、デッキレスの機種もあります。
 また消費電力の低減や、踏み台とベルトの動きに異常が生じたときに自動停止する安全装置なども完備されています。運転方向や進入禁止をモニターで表示する「ESNAVI」という機能もおすすめです。

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