映画は人生の生きるヒントが詰まった娯楽

適した映画を観ると、気持ちの整理やリフレッシュにつながるのでしょうか。

そうですね。元気になりたい時、自分を変えたい時、あるいはお酒を飲みたい時とか、その時の感情やなりたい自分に合う映画って探せばきっと見つかります。それから私は「ついで泣き」って呼んでいるんですが、自分の人生のつらい部分を作品にのせて大号泣すると、次の日ケロッと何事もなかったかのように復活できる映画もあります。観た後は、考え方や生活をもうちょっときちんとしようと思ったり、インテリアやファッションを変えてみたくなったりもします。ちなみに私の今の髪型は、映画『デスペラード』のサルマ・ハエックが素敵すぎて真似ています。

他にも“映画を観るとこんなにいいことがあるよ”ということはありますか?

私、映画は人生の生きるヒントが詰まった娯楽だと思っています。娯楽だからこそ、何気なく観ていても知らず知らずのうちに、生きるヒントや強くなるためのヒントをもらえると思うんです。これはあくまで主観ですが、人と話したり相談を受けたりしたときに、決断力や思考力が乏しくて「大丈夫かな?」って心配になる人って、聞くと大体は映画を観ていないんです。あと、人生のありがたみを感じない人、感謝の気持ちが薄い人も映画を観ていないことが多い。なので、映画を観ると人生のありがたみがどれだけ分かるかを伝えたいです。映画『ロッキー』でお馴染みのシルヴェスター・スタローンは、出生時の事故で顔の左側の麻痺や言語障害があるんですが、一生懸命努力してアカデミー賞を受賞しています。映画そのものへの感動もさることながら、俳優も製作陣も命懸けで挑んでいたりする。そのバックストーリーを知ると、もっとありがたみを感じるはずです。しかも、それが大体2,000円ぐらいで観られるんですから。

映画を観ると、人生のありがたみが分かる

LiLiCoさんの好きな映画を教えてください。

人生ベストは『歓びを歌にのせて』なんですが、『アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生』というニューヨークで生きる年配の女性たちのドキュメンタリー作品があって、登場人物の怯まない生き方やファッション哲学がいいなと思っています。私もそんなおばあちゃんになりたいですし、いつかちゃんとおばあちゃん役ができる女優になるのが目標なんです。「海外もの」はデンマークやスウェーデンの映画も好きです。ヨーロッパ映画はハリウッド映画ほど作り込みが少なくて自然光で撮るのが多いんです。ハリウッド映画では朝の目覚めのシーンでも女優さんがメイクをしていたり、汚れた部屋でも綺麗に汚れている。ヨーロッパ映画は割と素顔に近く、年齢を重ねた自然美が感じられるんです。言ってみればブスになるのを恐れないというか、綺麗じゃなくてもいい。セットも全てが完璧なアメリカと比べて食器の置き方とか細かなところに生活感が溢れているんです。LAとロンドンの田舎で家をエクスチェンジする『ホリデイ』という映画を観るとそれがよく分かると思います。

おすすめの映画鑑賞の方法を教えてください。

私は映画館でも配信でも集中して観たいので、友だちと一緒でも、とにかく「絶対に話しかけないで」って言っています。スウェーデンでは子どものうちから「それをやったらどうなるか自分でちゃんと考えてください」というふうに育てられるんですね。ストックホルムでは街のコミュニティセンターとかで映画の『ロッタちゃん』とかがずっと放映されていて、子どもながらに人がいるから静かにしなきゃとか自然と学ぶわけです。でも、日本の映画館では子どもが静かにできない、大人も携帯の電源を切ってないとか隣の人と喋るとか、平気でトイレに立つ人だっていて、「さっきの人、もう死んじゃったよ!」って、もったいないと思っちゃいます(笑)
作品としては小規模な映画会社のものが好きなんです。なのでミニシアターが好きで、特に秋がいいんです。小さな映画館で『ブラック・スワン』のような作品を観るのってすごく素敵だなと思います。そしてやっぱりおすすめは、何と言っても映画館のスクリーン。あの臨場感が心の中に響くんです。だから、皆さんにもぜひ映画館で観ることをおすすめします!

趣のあるミニシアターでの鑑賞もおすすめです!

現在、いわゆるミニシアターと呼ばれる単館系映画館は、全国に200軒もないと言われています。こちらは、「映画の効能」(前編)で登場していただいた熊本大学の伊藤先生おすすめの、熊本市内にある「Denkikan」。開館100年を超える歴史ある映画館で、スクリーンは計3つ、受付フロアの2階にはカウンター席のあるカフェが併設され、映画好きな常連客の憩いの場になっています。

熊本市中央区新市街8番2号

私、よくエレベーターの夢を見るんですよ。それで夢を見た後、めちゃくちゃデカい仕事が舞い込んでくる。それもあって、今回、東芝エレベータから声をかけてもらって、なんか嬉しかったんです。もしかして夢に出てくるエレベーターが、私を違う世界に連れて行ってくれるかなぁなんて勝手に解釈してるんですけれど(笑)。スウェーデンの家のエレベーターって手動で、しかもよく壊れるんです。そこへ来て、日本のエレベーターって機能も管理も“天才”だなと思います!

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