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[特集]DIYという選択肢(後編)

素材やパーツを探し、DIYのアイデアを広げる

安全性や耐久性といった面では自己責任であったり、失敗というリスクもあったりするが、生活空間を豊かにする選択肢の一つでもあるDIY。今回の後編では、前編に引き続き、自身の体験をもとにSNSで支持されている古田浩司さんにもご協力いただき、部屋をおしゃれにするコツやアドバイスを伺った。また、便利なアイテムや実際の体験談も含め、事例や注意点などを紹介する。

早速、古田さんから紹介されたのが、「おしゃれなDIYに欠かせない」という株式会社TOOLBOX(ツールボックス)さん。さまざまなアイテムのオンライン販売を手掛けるとともに、アイデア等の配信も行い、部屋づくりの強い味方としてDIY界隈で支持されている。ヘビーユーザーという古田さんも、DIY講習会の受講者の方々を伴い、イメージを広げてもらうためによく訪れるという。

株式会社TOOLBOX

2013年設立。内装建材やインテリア商品などの企画・開発・販売から、リノベーションなどの企画・設計・施工まで行う。東京と大阪にショールームがあり、部屋づくりのアイデアが広がる素材との出会いが楽しめる。気になった素材でコーディネートを試せる作業スペースもあり、プロから初心者まで親切丁寧にアドバイスが受けられると好評だ。
https://www.r-toolbox.jp/

簡単なことからでいい。「できた!」という実感を大切に

「こんな暮らしがしたい」をイメージしやすくするために揃えられた展示商品はおよそ1,200点。東京・目白と大阪・中津の2か所にショールームがあり、今回伺ったのは大阪ショールーム。一歩足を踏み入れての感想は、“まるで、ワクワクする工作室”。DIYしようと思っても、どんなふうにしたらいいかイメージが浮かばないときは、まずは行って、見て、触れてみると、不思議なくらいアイデアが浮かび、「この手があったか!」とひらめきが生まれる。「これ、あそこに使えるかも!」「このアイテムを使いたいから、イメージは〇〇風にしよう!」など、素材から入るのもありなんだと気付かされる。古田さん曰く、「なかなか一般の既製品では見つけられない、おしゃれで海外っぽいアイテムが見つかる」そうで、たしかに、スイッチカバーや照明など、デザイン性も高く、つい取り入れてみたくなる。

古田さん宅でも使用されていたスイッチカバー。裏側に磁石がついているため(右)、既存カバーを取り外したところにかぶせるだけで糊もネジも不要だ。

和室の「和」の要素を大切に、今あるものを生かしながら生活空間を豊かにする。そんな古田さん流のDIYのコンセプトにも、見事に馴染むスイッチカバーは、アルミと鉄と真鍮の3素材で展開。「ディテール一つで、部屋の雰囲気って変わるんです。そのためツールボックスさんのアイテムは部屋づくりのアクセントとしてとても重宝しています。簡単におしゃれで快適な空間をつくるには細部のデザインがとても大事です。なので、DIY初心者の方でも、部屋のスイッチカバーやドアノブ、壁材や照明などから取り掛かるとやりやすいと思います」。そう古田さんが言うように、イメージを膨らませるために、まずはアイテムから入ってみるのもいい。自身の講習会では材料や道具、方法などは指定せず、工作教室のように「自分で自由に作ったり、変えたりしてみることから始めてください」と伝えるのだそうだ。「何をどうしていいか分からない時は、照明器具やカーペットを変えるなどでもいい。いわゆるDIYでなくとも、やってみて、『できた!』を実感することが大切だと思うんです」と話す。

「和」との相性もいい裸電球のような照明が並ぶツールボックスショールーム(左)。レトロな雰囲気を醸し出す階段室の照明(右)。

好きなデザインやアイデアをストックする

古田さんのDIY講習会で寄せられる悩みの多くは、具体的に何かに困ってるというわけではなく、“何となくしっくりこない”、“何をどうすればいいかが分からない”ということらしい。「困っていないけれど、何かを変えたい。そういう場合は、デザインが気に入っていないことが多いものです。デザインのイメージが浮かばないため、どうしていいか分からないんです。ただ、デザインにはセンスも必要です。要素を足してデザイン性を上げるのはかなりの上級レベル。なので、和室には引き算をする方が簡単です。砂や紙や桟など素材の数を減らしたり、襖や壁の色数を減らしたりするだけでデザイン性が高まります。そして、ツールボックスさんや家具屋さんなどでイメージを膨らませるのもいいですね。私の場合はとにかく雑誌やウェブサイトなどで部屋の事例集をたくさん見ては、好きなデザインや家具、素材やアイデアなどをストックしています。そうやってイメージの引き出しを増やして、その時々に合いそうなものを探すようにしています」。

確かに、デザインのインスピレーションは、海外のインテリアや古民家リノベーション、外国人が暮らす日本家屋などを参考にしているというだけあって、古田さんのご自宅は、そういった要素が醸し出されているように感じた。また、イメージはできても、使っている素材が分からない場合も多いものだ。「この素材じゃないとこういう風にならないな、というときは、実際に家具屋で木の素材などを確かめてみたり、木材を販売するウェブサイトでサンプルを取り寄せたりします。木の材質はいいけれど色が違う、という場合は、自分で好きな色に塗ることもできます。私の場合はよく無垢材を購入して塗装しています。今ある面材に突板シートを貼って、ワトコオイルという塗料で色味を調合して塗ることも多いです」。