青山堂ビル 東京都練馬区
西武池袋線江古田駅前のテナントビル「青山堂ビル」は、築30年と思えないモダンな外観と手入れの行き届いた内装が印象的。リニューアルはテナントの来客に好評で、防犯効果も絶大だった。
エレベーター
オフィス
ロープ式
乗用
制御
仕様
物件名 | 青山堂ビル |
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住所 | 東京都練馬区栄町29-1 |
概要 | 西武池袋線江古田駅のすぐそば、商店街の入口にある4階建ての青山堂ビルは地の利に恵まれており、ドラッグストア、英会話学校、歯科医院、美容院などが入居している。 |
エレベーターが2〜3階の需要を生む
複数の大学が集まる西武池袋線江古田駅は、東京を代表する学生街のひとつ。「青山堂ビル」は江古田駅の踏切に面し、螺旋階段がガラス越しに透けて見える4階建てのテナントビルです。1932年に古書店として開業し、戦後は新書店として営業を続けたものの2003年に廃業。 現在は1階がドラッグストア、2階が歯科医院と英会話学校、3階が整形外科医院と美容院で、4階がオーナーの住居です。
4階建てのビルに6人乗りエレベーターを設置するのは珍しい時代でしたが、「エレベーターがあれば2〜3階に需要が生まれる」という弟の意見で導入。高齢の患者も多い整形外科や歯科医院が入店したことで、狙いが的中した形になりました。
設置当初より東芝エレベータにフルメンテナンスを依頼して使用状態は良好でした。しかし30年近く経って騒音や段差も気になってきたのでリニューアルを決断。 2005年に必要最小限の交換をする「制御リニューアル」を行いました。
■伊藤 與嗣男氏
株式会社青山堂 代表取締役
テナントにもオーナーにも大きなメリット
機械室はモーターと制御盤、かご室は操作盤をリニューアル。オプションでかご室に手すりを取り付け、壁面に化粧シートを張りました。天井の照明も明るいタイプに取り替え、防犯カメラも設置しました。
段差がなくなったことで、整形外科の患者さんに喜ばれています。機械室が住居に近いので、モーター音が静かになったのも嬉しいところ。遠隔監視で異状がサービス情報センターに通報されるので安心です。従来はかご内からの通話が1階と自宅限定だったので家を留守にできず、家族旅行も諦めていました。防犯カメラの効果は予想以上で、いたずら書きなどの被害がなくなりました。
■エレベーター・かご室天井
天井、操作盤、かご室壁面シートをリニューアルした。天井にカーブを持たせることで、かご室内を広く見せることができる。
■エレベーター・かご室内部
テナントに医院があることから、手すりを追加した。手すりは木目調で、かご室内に暖かさが演出できる。
■エレベーター・2階ホール
三方枠や扉は、メンテナンス状態が非常に良かったため、建設当時のものをそのまま使用している。
ここがポイント
大切に使うことでコストパフォーマンスがアップ
かご室の天井の照明を取り替えたことで、全体がとても明るくなりました。かご室をきれいにするだけで、ビル全体の印象が変わります。またユニバーサルデザインを取り入れた操作盤のデザインで階数表示も見やすくなりました。かご室全体が白っぽいので、操作盤をダークグレーにすることで色味が引き締まっています。
階数案内表示や非常ボタンも見やすくなり、整形外科に通う高齢の患者さんにも親切です。また制御リニューアルによって段差が生じにくくなったことで、お年寄りをはじめとする利用者の事故防止にも役立ちます。
築30年のビルですが、大切に使われてきたことでコストパフォーマンスの高いリニューアルができました。
メーカーの立場から
青山堂ビルを長らく担当し、エレベーターのリニューアルを手がけたのは東芝エレベータ東京支社。今回の制御リニューアルの保守面におけるメリットや、工事を円滑に行うためのポイントなどについて考える。
許された工期は1週間
フルメンテナンスをご利用いただいていたおかげで使用状態がよく、かご部分もきれいだったので必要最小限の「制御リニューアル」を行いました。
テナントビルなので、準撤去で2週間もかかると営業保証などの問題も発生します。制御リニューアルならば1週間で済み、3階の整形外科が休業するゴールデンウィークを狙って工事を行いました。
リニューアルすると消費電力量がほぼ半減するので、オーナーが希望した省エネ効果も加わっています。
防犯カメラでトラブル解消も
遠隔監視を採用したことで、サービス情報センターが絶えず運転状態をモニターし、非常通話もできることからオーナーの負担が大幅に軽減されました。メンテナンスの出動回数も3カ月に1回と減って効率化されました(以前は月に1~2回) 。
リニューアルで導入した防犯カメラは、ハードディスクに1週間分の映像を記録できるタイプ。設置後はいたずらもなくなり、記録した映像はトラブルの解消にも役立ちました。