新設される総合病院の横には、大きな河川が…
万が一の洪水でも、
エレベーターの復旧期間を短縮できる!
その浸水被害を受けにくくした構造とは?
ゼネコンZ社設計部

ゼネコンZ社は、新たに郊外で建設予定の総合病院を受注した。
課題
病院予定地の一部はハザードマップ対象区域 対策検討が必要!
Z社の設計部は早速、病院のそばを流れる河川について、近年起きた氾濫による水害の影響を調べることにしました。すると、河川からの浸水被害が起こる可能性があることが判明。過去に病院予定地の一部が水につかっているケースもあり、十分な事前対策を早急に検討する必要が出てきたのでした。
病院の早期復旧にはエレベーターの稼働が必須!しかし、復旧に時間がかかりそうで…
この河川で大きな氾濫があった場合の被害について様々なシミュレーションを繰り返し行った設計部は、数あるチェックポイントの中でもエレベーターの稼働状況に着目しました。ここで焦点となったのは、浸水時の稼働がどのようになるかもさることながら、浸水被害を受けて停止したエレベーターが復旧するまで、どれくらいの期間がかかるかということでした。このプロジェクトにあたった、エンジニアのS氏は次のように語りました。
「全国で起きた浸水被害を調べていたら、水が引いてもエレベーターが元通りに復旧するまで、長いもので数ヶ月を要したというケースがあり、想定外でとても驚きました」(エンジニアS氏)
このような状況から、「浸水被害に強いエレベーター」という観点で対策を練ることにしました。
課題のポイント
新設予定地に、河川からの浸水被害が起こる可能性があることが判明した
災害時のエレベーターの稼働状況について調べたところ、復旧に想定以上の日数がかかる
解決
解決のポイント
巻上機、制御盤などが昇降路上部に設置されており、浸水時もエレベーターの被害を最小限にとどめることが可能
浸水時、水に浸かる部品が少ないため、復旧までにかかる期間を短くできる
「浸水被害に強いエレベーター」は、ピット浸水に強いエレベーターだった!
情報収集を重ねたS氏は、東芝エレベータの機械室レスエレベーターの情報に行きつきました。東芝エレベータは国内で初めて機械室レスエレベーターを開発しており、開発当初から巻上機、制御盤が建物の上部に設置されている方式を取っていました。ここに解決の糸口を見つけたS氏は、早速東芝エレベータに問い合わせて、詳しく話を聞くことにしました。
説明に訪れた担当者によると、東芝エレベータの機械室レスエレベーターの巻上機と制御盤は昇降路上部に設置するため、仮に病院が浸水しピット内の機器が水没した場合でも主要機器への被害は少なく、交換対象となる部品が少ないことがポイントでした。そのため、復旧にかかる期間・費用の両方を抑えられるという効果があることがわかりました。
「海沿い、河川沿いのいくつかの病院でも既に導入されており、浸水被害があった際に周りの建物に比べてエレベーターの復旧が早かったという事例を聞き、我々が探し求めていたエレベーターはコレだ!と思いました」(エンジニアS氏)
このエレベーターなら、災害後の復旧においても患者の移動への影響を最小限に抑えられると確信したS氏は、関係部署にも掛け合い、検討を重ねました。その結果、この病院のすべてのエレベーターで、東芝エレベータの機械室レスエレベーターを採用する事が決まりました。
この病院は「危機管理、災害対策に長けた病院」として、注目を集めています。