ニューオータニイン東京 東京都品川区
安全性と機能性の向上だけでなく、ホテルのデザインコンセプトに沿うエレベーターにリニューアル!
JR大崎駅直結の複合施設「大崎ニューシティ」の一角にあるビジネスホテル、ニューオータニイン東京。竣工から30年を越えた今般、エレベーターのリニューアルを実施し、安全性・快適性・デザイン性と、 多角的な進化を遂げました。その経緯やご感想について、ニューオータニイン東京の支配人の遠藤さんにお話を伺いました。
エレベーター
ホテル
ロープ式
乗用
制御
全てのお客様に寄り添う、理想のエレベーターを実現
HRTニューオータニ株式会社
ニューオータニイン東京 支配人 遠藤 充さん
――駅直結の利便性の高いホテルですね。
ニューオータニイン東京は、1987年にJR大崎駅一帯の再開発で誕生した複合施設「大崎ニューシティ」の1施設として開業しました。地上13階、地下2階、延べ床面積4750坪、427部屋の客室を持つ大型のビジネスホテルです。
開業当初、ビジネスホテルといえばこぢんまりとした部屋が多い中で、当ホテルではご宿泊者様にゆったりとお過ごしいただけるようにと15平米のシングルルームを配置しました。また、ビジネス用途だけではなく、観光などでもご利用いただけるようなツインルーム、そして最上階にはニューオータニ仕様の46平米のセミスイートルームもご用意しています。さらに、地域の方々にご利用いただけるようなレストランやバー、宴会場を併設し、ニューオータニブランドをより身近に、カジュアルに感じていただくことを目指したホテルとなっています。
――リニューアルをされてみていかがでしたか?
建物が竣工から33年目を迎え、エレベーターにも経年劣化が見られるようになっていました。東芝エレベータから、このまま使っていくと部品供給が難しくなり、安全運行に支障をきたす恐れがあるという話もあり、リニューアルを決めました。リニューアルにあたっては、かご本体と駆動部更新を軸に、ホテルにお越しになるお客様が安全に、快適に感じていただける機能や内装を考えていきました。
ご高齢の方からお子様、ハンディキャップを抱えていらっしゃる方など多様なお客様に寄り添うホテルとして、エレベーターには安全性はもちろんのこと、乗り心地やバリアフリーなどの機能を重視しました。東芝エレベータには細部まで根気強く打ち合わせをしていただき、安全への知見も活かしながら、経験に基づいた現実的な提案をしていただきました。
今回のリニューアルによって、法令で定められる最新の安全性能や耐震クラスが適用され、リニューアル後は以前よりも安心感が増しています。また、乗り降りの際にお客様がエレベーターのドアに挟まれる不安も減りました(2D多光軸ドアセフティ)。お客様にご迷惑をおかけすることなく、全ての方に安心して利用していただけるエレベーターであることが何より大事なことだと思っています。リニューアル後はエレベーターの走行がとてもなめらかですし、チャイムやアナウンスは耳に優しい音質で、全体的に快適な乗り心地だと感じています。
ホテル営業に支障がないよう、作業スケジュールを早期に共有いただけました
――随所にこだわりが見られる素敵なデザインですね。
「ニューヨークのマンハッタンにあるレトロなビルのエレベーターを現代に再現する」というデザインコンセプトで、東京赤坂にあるホテルニューオータニの顧問デザイナー柴田嘉夫先生に監修をお願いしました。世界16か国以上のホテルを泊まり歩いて蓄積されたノウハウを元に構想に構想を重ねていただき、結果的にリニューアル時期を1年変更してデザイン性を追求しました。
やや小さめのかごサイズなので、圧迫感を感じないように光を効果的に使っています。天井照明としては、ニューヨークの夜空をイメージしたブルーのLEDを配置して空への広がりを表現するとともに、実際よりもかご室高さが高く見えるように工夫しています。また、床は白と黒の大理石を使い、壁には摩天楼をイメージしたグラフィックデザインを映して、奥行き感を演出しています。
最上階のラグジュアリーな雰囲気ともマッチする仕上がりとなり、お客様からは早速「変わったね」「かっこいいね」といった声をかけていただきました。私たちの理想を実現するために、東芝エレベータにも協力いただき、感謝しています。
最上階のプレミアムエグゼクティブセミスイートルーム
――リニューアル中の東芝エレベータの対応や今後期待することをお聞かせください。
ホテルという特性上、24時間館内にお客様がいらっしゃるため、エレベーターを長時間停止する必要がある場合などに、遅くとも1か月前に作業スケジュールを教えてもらえたことは大変助かりました。こちらとしてもお客様への事前周知や各種調整がゆとりを持ってでき、工事に関してホテル営業に支障があったことは皆無です。コロナ禍で大変な状況でしたが、無事にリニューアルを実現でき、このような時期にスピーディーに対応していただけたことに感謝しています。
引き続き、意匠面のクオリティー維持や今後予定しているリニューアル工事について綿密な打ち合わせを重ね、スムーズに進めていただきたいと思います。
※顧問デザイナー柴田嘉夫先生:国内外の一流ホテルのインテリアデザインを手掛ける株式会社スタジオ・エム代表取締役。千代田区紀尾井町のホテルニューオータニをはじめとするニューオータニホテルズのインテリアデザインを多く監修。


1.側面の摩天楼はNEW YORKの文字を用いたグラフィックデザイン。行先階ボタンは1・3・4階と5階以上で点灯色を変えるなど細部までデザイン性を追求。 2.圧迫感を感じさせないようLED照明で演出。 3.床の奥行き感は黒と白の大理石で演出。 4.天井照明はブルーを採用して夜空の広がりを表現。
最新の建築基準法施行令に対応し、安全性・安心感を向上
建築基準法施行令の改正により、エレベーターの安全基準も見直されてきました。重大事故を未然に防ぐための装置や地震の初期微動を感知して管制運転をする装置など、多くのエレベーターリニューアルプランでは、最新の建築基準法施行令に基づいた仕様となります※。
※ご採用いただくリニューアルプランや、既設エレベーターの仕様、機器状態によって適用可否が異なります。詳細は弊社までお問い合わせください。
戸開走行保護装置
今までの安全装置では防ぎ切れない重大故障により、エレベーターのドアが開いたまま走行してしまう「戸開走行」。
戸開走行によるはさまれ事故など重大事故を防止するために法改正が行われました。駆動装置故障対応としてブレーキの二重化、また制御器故障対応として戸開走行を検出してエレベーターを制止する安全回路を別回路とした「戸開走行保護装置」の設置が義務づけられています。
P波感知器付地震時管制運転(リスタート機能付)
地震には初期微動(P波)と本震(S波)があります。2009年の法改正により、P波の段階で感知し、自動的に最寄階へ救出運転を行う装置を設置することが義務づけられました。また、予備電源を設けることも必須となり、地震により停電した場合にも、最寄階に着床して避難できる仕様となります。
メーカーの立場から
お客様のこだわりが詰まった豪華な独自デザインです
お客様のご要望である斬新なライティングが取り入れられたエレベーターデザインをどう表現できるのか、関係各所と検討を重ねました。デザイン面はもちろんのこと、時代とともに進化している安全性能や耐震性能、竣工当時は存在しなかった機能などが適用されたことで、お客様に満足いただける仕上がりとなっていると知り、安堵しています。デザイナーの方の監修のもとでエレベーターリニューアルを遂行した今回の大きな経験を若手社員にも共有し、部門全体で今後もお客様のご希望に沿えるような提案を心掛けていきたいです。
お客様に工事工程をお伝えしました
以前にもホテルのエレベーターリニューアルに携わった経験を活かし、定例会議では先々の工程をお客様にお伝えし、ホテル側のスケジュールを反映した工程を組み立てました。音や臭い、粉塵などが発生する作業や搬入時間には特に注意し、早期に詳細までお伝えするよう心掛けました。デザイン性の高い意匠を施工する際に注意すべき点やポイント、施工関係者が一丸となっての新型コロナウイルス感染防止対策など、今回の経験を社内のさまざまな部門と共有し、会社として今後もお客様に向き合っていきたいです。