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石巻グランドホテル 宮城県石巻市

震災から立ち直り、「人の和を創る」ホテルへ

石巻市初の本格的な都市型ホテルとして開業し、街のステータスシンボルとして地元市民に親しまれる石巻グランドホテル。2011年の東日本大震災では地震と津波で建物が被災したが、従業員の努力で同年8月には営業を再開。建物を一新するとともに、今年に入って4台のエレベーターもリニューアルした。

  • エレベーター

  • ホテル

  • ロープ式

  • 乗用

  • 制御

石巻グランドホテル

仕様

物件名

石巻グランドホテル

住所

宮城県石巻市千石町2-10

概要

1983年10月、石巻初の本格的な都市型ホテルとして開業(1991年3月に増築開業)。全135室を擁し、300人まで着席できる大宴会場や小宴会場は結婚式やイベント会場としても広く利用されている。

地震と津波がホテルに襲来

 ホテルが開業以来の危機に瀕したのは、2011年3月11日の東日本大震災でした。大きな揺れが収まると、お客さまや従業員の安否と建物の被災状況を確認。幸いチェックアウト後だったので客室に宿泊客はおらず、けが人も出ませんでした。しかし給水管の破断で館内に漏水が発生し、ロビーの壁や柱の大理石も崩落。大宴会場ではシャンデリアが粉々に壊れ、絨毯の上に破片が突き刺さっていました。
 すぐに防災無線から大津波警報が発令されました。旧北上川までは直線距離でわずか300m弱。河口部から約2kmに渡って堤防もありません。川の方面からヒタヒタと黒い水が押し寄せ、ついに玄関から泥水が入って1階は50~60cmほど浸水。この日は津波が4回ほど押し寄せました。
 その後、被災した人々がホテルに避難してきました。すべての避難者を受け入れ、3日目には300人まで増加。ホテルは1カ月間避難所になりました。ホテルの運営が不能になったため、やむを得ず約100人いた従業員の9割に3月分の給与を支払って解雇。しかし解雇した従業員のうち20~30人は毎日ボランティアでホテルに通ってくれました。やがて改修資金の融資先も見つかり、石巻の一大イベント「川開き祭り」が始まる2011年8月1日にリニューアルオープンが決定。現在はかつての従業員の約6割を再雇用し、稼働率も震災前の水準に戻っています。

後藤 宗德氏

■後藤 宗德氏
株式会社ソーワダイレクト 代表取締役社長

小野寺 夢津子氏

■小野寺 夢津子氏
株式会社ソーワダイレクト 常務取締役

エレベーターも一新して快適な空間に

 ホテルの改修で、最後に残ったのがエレベーターでした。震災後も問題なく稼働していましたが、一番古いエレベーターで導入後30年が経っていました。そこで2013年9月に4台のエレベーターのリニューアルを決断。段階的にリニューアル工事が始まりました。
 震災後ということもあり、リニューアルでは明るさのなかに落ち着きのある意匠を求めました。車いすや高齢者に配慮して押しボタンは低い位置に設置し、安全性を高めるセンサーもドアに設置しています。
  エレベーターのドアは金色で、華やかなのに落ち着いた色調。かご室内は木目調の茶系統色で目に優しいデザインです。動きはスムーズで、揺れもほとんどなく、移動スピードも速く感じます。地震発生時に自動着床・復旧するので安心です。

エレベーター乗り場(1階)

■エレベーター乗り場(1階)
フロント・ロビーの床面に合わせた色を選択。ホテルを訪れた顧客が寛ぎと安らぎを感じられる空間をつくった。

かご室天井

■かご室天井
LEDライトを採用し、直接照明から間接照明にすることで、あたたかみのあるかご室を演出した。

かご室操作盤

■かご室操作盤
かご室の側面壁には、手すりと副操作盤を新しく設置。高齢者や車いすの方 でもエレベーターを安心して利用できるようにした。

1階ロビー

■1階ロビー
ホテルの顔となるロビーには、小野寺氏の発案で、薬師寺の大谷徹てつじょう奘執事による書と季節を感じさせるオブジェが飾られている。

ロビーに飾られたオブジェ

■ロビーに飾られたオブジェ
12月には華やかなクリスマスツリー、3月には春の香りを感じさせる桃の花と菜の花でロビーは彩られた。

ウェディング会場につながるエレベーターの乗り場(1階)

■ウェディング会場につながるエレベーターの乗り場(1階)
「お客さまをあたたかくお迎えしたい」という思いが伝わるよう、エレベーターのドアの色に妥協はない。

メーカーの立場から

被災して一時撤退し、石巻営業所として再開

 石巻グランドホテルは街のシンボルであり、市民の思い入れも強い施設。軽微な地震が発生した場合でも、必ずエレベーターの状況を確認するようにしてきました。
 石巻にはもともと東芝エレベータのサービスステーションがありましたが、東日本大震災でその建物が被災したため一時撤退。担当者は仙台支店から片道3時間かけて石巻に通いながら保守業務を継続しました。早く石巻に戻ってほしいという顧客からの声に後押しされ、3人体制の営業所を開設して再出発しました。

かご室内とドアの意匠に時間をかける

 リニューアルでは、かご室とドアの意匠にこだわりました。最終的にかご室内は木目調の茶色になりましたが、木目だけでもデザイン見本を10種類ほど用意しました。
宿泊客だけでなく結婚式やパーティの参加者なども行き来するため、工事は細心の注意を払って進められ、無事完了しました。

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