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河合病院 宮城県宮城郡

ベッド数120床の河合病院は、2次救急病院に指定されている地域の中核病院。入院患者や急患の受け入れも考慮しながら、1台しかないエレベーターのリニューアルという難題に取り組んだ。

  • エレベーター

  • 医療福祉

  • ロープ式

  • 寝台用

  • 制御

河合病院

仕様

物件名

医療法人厚和会河合病院

住所

埼玉県川口市領家3-6-7

概要

1988年に医療法人として開業。内科、胃腸科、外科、形成外科、肛門科、放射線科、リウマチ科、リハビリテーション科があるベッド数120床の総合病院。地域の中核病院として、2次救急病院に指定されている。

地震への安全性を高めるためにリニューアル

 1988年以来、河合病院は地域の中核病院として医療活動を続けています。5階建ての院内は1階に診察室や検査室があり、2階が手術室、3階が一般病棟、4~5階が療養病棟。車いすで移動する患者も多く、1台だけあるエレベーターは移動手段として不可欠な存在でした。
 20年以上にわたって、エレベーターは患者、見舞客、入院患者用の配膳車などを運んできました。特に大きなトラブルや閉じ込め事故はなかったものの、2004年の新潟県中越地震で管制装置が作動して最寄り階に止まったことがありました。そこで地震に対して安全性を高めるためにリニューアルを決断しました。
 初期微動であるP波を感知し、最寄り階に自動着床できれば安全性は高まります。さらに車いすの患者のために低い位置にボタンを設置する必要性も認識していました。
 工事日程は、統計的に年間で最も救急入院が少ない11月に決定。標準的な制御リニューアルには10日前後かかるとのことですが、中核病院として10日間もエレベーターを止めるわけにはいきません。急患の可能性もあり、車いすの入院患者が他の階へ移動できなくなるからです。容態が急変して、2階の手術室に運び込まれる患者さんも想定されます。工期の短縮が、リニューアルの大きなテーマでした。

平石 守氏

■平石 守氏
医療法人厚和会 河合病院 院長

入院患者への配膳が大きな問題

 工事中の問題のひとつが、100人以上いる入院患者への食事の配膳でした。普段は院内の厨房で委託業者が調理した食事を250kgある保温保冷配膳車で病室まで運びます。エレベーターが使えない間は、調理した食事を弁当容器に詰めてトレイで階段を使って運ぶ予行練習もしました。
 また、容態が急変した患者を担架で運ぶ訓練も行いました。エレベーターが止まる間は、救急患者を他の病院に引き受けてもらうようにお願いしました。東芝エレベータ側も病院特有の事情に対応し、完全停止は5日間、工事終了7日間という短工期で完了してくれました。
 P波感知装置や停電時の自動着床機能も導入できました。安全性が高まった上に、明るくなって病院の雰囲気もよくなりました。動きもスムーズで静かです。前向きにエレベーターに乗る車いすの患者のため、新しい操作ボタンや着床階を案内するアナウンスも導入して好評をいただいています。

小野田 政美氏

■小野田 政美氏
医療法人厚和会 河合病院 事務長

エレベーター・5階のりば

■エレベーター・5階のりば
エレベーターは大型の配膳車も運搬できる大容量のタイプ。
今回のリニューアルにより、かご室内に車いす用の操作盤が左右2カ所に追加された。

エレベーター・かご室

■エレベーター・かご室
病院にふさわしい清潔で落ち着いたデザイン。車いす用操作盤はかご室内で車いすを移動しなくても操作できるよう左右に取り付けられている。

エレベーター・かご室内操作盤

■エレベーター・かご室内操作盤
リニューアルにより、3カ所の操作盤がバリアフリーになった。また、階数表示も大きく見やすくなっている。

ここがポイント
建物にふさわしい機能を厳選した安心できるリニューアル

 病院のエレベーターに求められるのは、まず清潔感と安心感です。落ち着いた明るい色彩はもちろん、かご室内手すり、ステンレスの腰板、背面の鏡、車いす対応の操作盤などの機能も必要です。特に大型のエレベーターでは、車いす対応の操作盤が両側についていることで、片手が不自由な方でも車椅子を回転させることなく操作できます。
 リニューアルによって快適さを向上させることも、病院への安心感を高めます。P波感知器付きの地震時管制運転装置と停電時自動着床装置を導入することで、患者には見えない病院側の安心感も高められます。

メーカーの立場から

人の命を預かる病院のエレベーターは、リニューアルの際に入念な準備と迅速な工事が必要となる。

リニューアルに病院スタッフは戸惑い

 地震のP波感知機能と、車いすの患者用の操作ボタンをすぐにでも付けたいということで、エレベーターのリニューアルはすぐに決まりました。しかしその後、病院スタッフのみなさんから入院患者さんへの配膳の問題が持ち上がりました。
 そこで工事中に食事を宅配してくれる業者を探したりしながら対応を模索。院内の委託業者が弁当容器に詰めて運ぶ方法を提案したことで、当面の障害は消えました。しかしなお病院側としてはエレベーターの停止期間を短くしたいという要望があり、細かい工程を工夫して7日で完了できました。
 配膳や患者を担架で運ぶ訓練など、できる限りの努力をしてくれた病院スタッフの皆様の努力を目の当たりして、病院のリニューアルに求められる責任の大きさを実感しました。

高齢者の多い病院にリニューアルは不可欠

 入院患者への配慮から、工事は朝から始めて夜6時には終了。音やほこりを出さないように気を遣いました。
 かご室内の奥に、車いすの患者が後ろを見られるミラーを貼り、側面には手すりを配置しました。リニューアル後、特に車いすの患者に好評であるとうかがいました。オートアナウンスは、入院患者さんに配慮して夜6時で終了するように設定しています。
 天井と床も新調して、壁面パネルも交換しました。エレベーターが明るくなり、院長からは「雰囲気がよくなった」と喜んでいただきました。

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