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桃園学園 東京都千代田区

東京・四ツ谷駅のそばで、社会人対象の美術教室を運営する桃園学園。26年働き続けた油圧式のエレベーターをロープ式にリニューアルし、省エネにも貢献した。

  • エレベーター

  • 学校

  • 油圧式

  • 乗用

  • 全撤去

桃園学園

仕様

物件名

桃園学園

住所

東京都千代田区六番町13-2

概要

1943年に設立、1978年に四谷に移転。社会人対象の四谷美術研究所はデッサン、静物、人体などを教える本科とクロッキー部などがある。所長は日本芸術院会員であり日展理事の塗師祥一郎氏。

3階建ての建物で油圧式エレベーターを使用

 1943年に設立された桃園学園は、社会人を対象とした美術教室(四谷美術研究所)を運営しています。生徒は120人ほどで中高年の利用者が多く、最高齢は83歳です。
 桃園学園のエレベーターは稼働後26年も経つ油圧式で、振動、段差、騒音などの問題が利用者を悩ませており、電気代もかかっていました。
 油圧でかごを上げ下げする油圧式エレベーターは、巻上機や制御盤などを収納する機械室のスペースが確保できない中低層住宅や工場などに設置されることが多い方式のようです。油圧で直接かごを動かす大きなモーターが電力を多く消費することもあり、リニューアルの必要性を強く感じていました。

小瀬 尚子氏

■小瀬 尚子氏
財団法人桃園学園 理事長

木村 信子様

■木村 信子様
財団法人桃園学園 事務

お年寄りに優しいエレベーターに変身

 リニューアルには難題がありました。制御盤を取り付けるには、最上階である3階のエレベーターのりばの三方枠としきいを撤去しなければならないこと。大がかりな建物工事が必要ですが、1階から3階のテナントが予備校であるため、騒音を出す訳にはいきません。
 東芝エレベータが、シャフト内に制御盤も巻上機も収納する新技術を提案してくれました。こうすることで、壁を壊すことなく三方枠もそのまま利用できます。
 シャフトにつり合いおもりが入るスペースを確保するため、かごのサイズは9人乗りから6人乗りに縮小されました。台車なども乗せるため若干の心配はありましたが、結果的には使用上の不都合はありませんでした。
 工事は他のテナントの都合を考慮し、2月中旬から約1カ月かけて行いました。リニューアル後は振動もなくなり、音も静かになりました。お年寄りの生徒さんもいるので、大きく見やすい階数表示も採用しています。かごの照明やドアの色も落ち着いた印象になり、電気代も年間で数十万円もの節約になりました。環境保護にも貢献したリニューアルだと満足しています。

エレベーター・1階ホール

■エレベーター・1階ホール
のりば戸は落ち着いたモスグリーン。階数表示は以前は地下1階から3階までランプが点く各階表示方式だったが、今回のリニューアルで大きいデジタル表示に変えられた。

エレベーター・フットライト

■エレベーター・フットライト
かご室内にはフットライトが取り付けられており、かご室内のアクセントになっている。

エレベーター・かご室操作盤

■エレベーター・かご室操作盤
操作盤がバリアフリー対応になり、表示が大きく見やすくなった。

ここがポイント
ロープ式へのリニューアルで省電力を実現

 油圧式エレベーターは、大きくて重いものを乗せる工場などに設置されてきた方式。重い機械室を屋上に設置しなくてもいいので、建物への負荷は小さくなります。しかしロープ式エレベーターに比べて大容量のモーターが必要なため、消費電力や作動音が大きくなります。メンテナンス面でも大量の作動油を必要とするなどのデメリットがあります。
 今回は油圧式エレベーターをロープ式に変えるだけでなく、機械室のないタイプにリニューアルする大工事でした。制御盤と巻上機をシャフト内に収めることで、屋上に機械室を設置する必要がなくなり、従来機械室だったスペースも不要になります。今回のようにかごのサイズ変更が問題としならない場合には理想的なリニューアルです。
 3階建てで上層階が予備校なのでエレベーターの利用頻度はさほど高くなかったにも関わらず、消費電力を70%以上削減できました。作動油も不要になり、環境にもやさしいエレベーターになりました。

メーカーの立場から

前例のない油圧エレベーターの準撤去リニューアルを導入するために、営業と技術スタッフが一体となって取り組んだ。

環境にも配慮した新技術

 桃園学園の油圧式エレベーターは、地中に埋められた10mほどのジャッキが直接かごの床を上げ下げする方式。積載量は増えるものの、振動も直に伝わる仕組みです。作動油の温度を一定に保たないと流動量が変化し、冬場は段差が生じやすくなって、夏場はオーバーヒートで止まることもあります。
 ロープ式に替えたいのに、エレベーター上部に機械室用のスペースはなし。テナントが予備校のため、工事期間は受験終了後の2月中旬から3月まで。厳しい条件を満たしたのが、まだリニューアルでは適用事例のなかった「ロープ式のマシンルームレスエレベーター」でした。

エコ部門の大臣賞を受賞

 マシンルームレスエレベーターのリニューアル工法を短期間で確立し、壁も壊さずに三方枠としきいを残す準撤去リニューアルが可能になりました。
 問題はかごのサイズが小さくなること。9人乗りから6人乗りになることを理解していただき、工事を実行に移しました。午後1時以降は美術研究所の生徒が、夕方からは予備校の生徒がやってくるため、午前中と日曜日をフルに使って作業しました。
 多量の作動油を購入して廃棄せずに済むようになり、消費電力を70%以上も減らすことができました。環境負荷低減の効果で、東芝エレベータの「エレベーターのリニューアル」は「第4回エコプロダクツ大賞(エコサービス部門)経済産業大臣賞」を受賞しています。

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