守口市庁舎[空調/防災他建物設備]
ESCO事業補助金活用 大阪府守口市
避難施設等への自立・分散型のエネルギー設備を導入し、省エネ。CO2削減。防災面も強化し、地域レジリエンスと脱炭素化を同時に実現。
未来に向かって発展する大都市。
守口市は、大阪平野のほぼ中央部に位置し、人口14万人を超す都市です。
早くから大手家電メーカーの企業城下町として発展を遂げるとともに各種行政サービスを充実させ、公共施設や都市基盤の整備を進めてきた結果、現在では日常生活を支える基本的な施設整備は一定の到達点に達し、成熟した都市としての機能を備えるに至っています。
自治体
仕様
対象施設 |
守口市庁舎 |
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延床面積 |
地下1階地上10階 /延べ面積29,600m2 |
工事期間 |
2021年9月~2022年5月 |
背景
守口市は、2016年10月に某大手電機メーカーの本社ビル(竣工1999年)を取得し、現市庁舎として利用していた。地下1階地上10階(延床面積約29,600m2)の施設は竣工より20年を経過し、設備機器の劣化、突発故障、光熱水費高騰の問題に直面していた。
これら問題を包括的に解決するために「庁舎省エネルギー化調査等業務委託」を実施。将来に向けて市庁舎機能を有する改修事業化を行う為には、ESCO事業化が最適であるとの結果となった。
課題
元々、電機メーカー本社ビルであったために、設備機能上、多大で豪華なシステム構成となっていた。特に2台のコージェネレーションシステム(400kW)を有しており、発電と廃熱を有効利用できるが、最適な運転制御が実施されておらず、故障時の契約電力超過や故障修理費等が兼ねてからの問題となっていた。ESCO事業化を通じて、防災面の強化、光熱水費削減、脱炭素への貢献、長寿命化、リスクヘッジ強化の同時実現する事業とさせることが、未来の守口市庁舎の姿であり、これらの課題を解決する提案を実施した。
ご提案
事業化の必須項目であった「補助金」の活用
この事業に最適にマッチする環境省の『地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する避難施設等への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業』を申請し無事に採択となる。特に、地域レジリエンスと脱炭素が主目的の補助金であり、環境省からも高い評価を受ける。補助金414百万円。
省エネルギー化
メインはガス中心の熱源空調システムを電気中心のシステムに更新した。
その他LED照明化や高効率個別ビルマルチエアコン化等の実施により約50%の省エネルギー実現出来る設備システムを構築することが出来た。
重要なポイントの一つである「運用面」
今回のESCO事業化では、導入機器の細部にまでリアルタイムに計測計量できるシステム導入。これら収集されたデータを中央監視盤経由のBEMS装置で分析・解析が可能となった。ESCO事業の成功するポイントは、省エネルギー機器への更新を行う『ハード面』だけでなく、更新後想定した通りの運転が出来ているのか、性能は問題無いか?を各部計測計量データを用いて分析・解析を行い、より最適な省エネチューニングを実施する『ソフト面』が重要である。守口市庁舎のESCO事業化成功はこの「運用面」が最大のポイントでもあると言えます。
ご提案内容 ここがポイント
本ESCO事業では、『省エネルギー効果、二酸化炭素削減効果、設備機器の長寿命化、リスクヘッジ構成、万が一も安心・安全』を念頭に置いた更新内容を実現しております。
ポイント1ガス式空調から電気メインの空調方式で省エネを実現
■空調熱源機器の更新
従来の燃焼式(吸収式冷温水機)から高効率な電気式空調(空冷ヒートポンプチラー)に。
生成熱量と投入エネルギーの関係性
空冷ヒートポンプチラー
竣工当時からの大型ガス吸収式のセントラル空調システムを現状の使用環境にあった7台の複数台モジュール化された、電気式のセントラル空調システムに更新することで必要負荷に応じた台数を自動制御で判断し、必要台数で冷水・温水供給を行います。省エネ効果は勿論ですが、万が一の故障時もバックアップ運転が即時可能に。
ポイント2防災面を強化
本市庁舎は、守口市地域防災計画において防災拠点として位置づけられ、市内における司令塔の機能を果たすなど、災害時に重要な役割を担います。災害時に電力供給が途絶えた場合に備え、ガスで発電するコージェネレーションシステムを更新し、引込ガス管の補強なども行いました。また、浸水対策として被害を軽減するため、止水板を設置しました。
コージェネレーションシステム
中圧ガス管化
地下スロープ止水板
正面玄関止水板
ポイント3環境省「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」の活用
環境省令和2年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金を活用。この補助金は「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する避難施設等への自立・分散型エネルギー設備等導入推進」を目的とした事業であり、災害時のコージェネレーションシステム独立運転による電源確立、空調設備への電源供給が条件となっている。補助金額は414(百万円)。
ポイント4他にも様々な設備を導入し、省エネや防犯に貢献
本ESCO事業では、電気空調化による省エネルギー、防災面強化以外にも様々な設備機器の更新や導入を行う事で、更なる省エネルギー化・最適化・長寿命化・防犯面の強化等の実現に貢献しております。
LED照明 約7,500台
中央監視盤装置
エアコン集中コントローラー 屋
屋上防水
照明制御盤
導入効果
ESCO事業実施後の年間削減効果(令和4年10月~令和5年9月)
コージェネレーションシステムの最適な運転方法(排熱利用時)の検討とメイン熱源システムのガス式から電気式への更新、施設内のファンコイル空調(セントラル系統)から個別空調エアコン化、施設内照明約7,500台のLED照明化、空調ファン・熱源ポンプのインバータ化による搬送動力の高効率化により省エネルギーを図る。
■【一般財団法人 省エネセンター】セルフ診断ツール
電気ガス等の年間エネルギー使用量と延床面積を入力することでエネルギー評価を行い、他の建物との比較が可能。
エネルギーフロー図 /更新設備仕様とエネルギーの流れ
計装1 /熱源設備
熱源制御
・熱源機台数制御 負荷熱量により熱源機の台数制御を行う。監視装置にて先発運転機の変更を行う。
・CGS廃熱制御 CGS運転により冷水時はジェネリンク廃熱取込運転、温水時は暖房熱交運転を行う。
・ポンプ台数制御 負荷流量により2次ポンプ台数制御を行う。ベースポンプは自動ローテーションを行う。
・送水圧力制御 冷温水往ヘッダー間差圧によりインバータ比例制御及びバイパス弁比例制御を行う。
計装2 /コージェネレーション
コージェネレーション(CGS)制御
・建物受電電力が設定電力以上でCGSを1台運転、設定電力以下でCGSを停止。
・廃熱温度が設定温度以上にてジェネリンクまたは暖房用熱交換器へ廃熱供給が可能。
・災害時による館内停電時はCGSを2台運転を行う。