天望シャトルで地上350mまでわずか50秒
永久磁石を用いた高出力巻上機を採用しています。また、高精度のモーター制御も行えるので、上昇時の加速や停止時の滑らかな減速も制御できます。
ここで分かること
2012年5月22日に自立式電波塔として世界一の高さを持つ東京スカイツリーが開業しました。そこを訪れるだれもが利用するのがエレベーターです。当社はタワーの主要動線として地上から天望デッキ(第一展望台・高さ350m)を約50秒で結ぶ大容量・超高速エレベーター4基と、 昇降行程が日本で最長となる2台の業務用エレベーターを納入しました。 高い安全性や快適な乗り心地を支える様々な技術をご紹介いたします。
物件情報
POINT 01
天望シャトルで地上350mまでわずか50秒
永久磁石を用いた高出力巻上機を採用しています。また、高精度のモーター制御も行えるので、上昇時の加速や停止時の滑らかな減速も制御できます。
制作秘話
新しいランドマークであり、日本のシンボルにもなる。 当社の技術力や品質を広くPRするのに最適な物件です。 ものすごい情熱で受注を目指しました。
倉光 昌裕
ビルソリューション技術部 技術担当グループ長
(当時:事務局)
POINT 02
流動型のかご室で
空気抵抗や風切り音を制御
かごを覆う流線型の「整風カプセル」が、昇降路内を移動する際にかご周りの空気の流れを整流化することで空気抵抗や風切り音を抑制し、乗り心地を改善します。
制作秘話
かごの位置など、様々な条件下での建物の揺れとロープの振れの関係を分析し、その結果をたくさん用意しておきます。建物の揺れを検知したら、その結果から同じ条件のものを選び、今ロープがどう振れているかをリアルタイムで推定する。それに基づいて自動的に運転を制御するのです。
高砂 学
建築統括部 部長附(当時:工事担当)
POINT 03
繋ぎ目の段差を極限までなくしたレール
高層構造物では、建物の揺れと共振してロープが動き、建物に接触するリスクがありました。レールの継ぎ目の段差を極限まで減らす据付を行い、揺れを抑えた快適な乗り心地を実現しています。
制作秘話
夜はエレベーターが動くたびに外装照明が点いてきれいですよね。昇降路がガラス張りなんです。そこに日中は日が差す。すると熱でレールや鉄骨が伸びるので、伸びてもレールがスライドする固定方法を採用しました。日差しと物の体積変化、上や下の温度や気圧変化の関係を把握するのは大変でした。
藤本 伸二
建築統括部 エンジニアリングセンター センター長
(当時:工務担当)
POINT 04
春夏秋冬を表現した
4種類のエレベーター
東京スカイツリー天望デッキに向かう4台のエレベーターにはそれぞれ春夏秋冬を表現したアートパネルが設置されています。墨田区のデザイナー高橋正実氏がデザインし、地域に受け継がれた職人技が駆使されています。
東芝エレベータ株式会社は、世界最高速クラスとなる分速1,010m(時速60.6km ※2004年当時世界最高速)のエレベーターを開発し、台湾・台北市の世界最高層ビル「TAIPEI101」に2004年12月に納入しました。このエレベーターはギネス社により「世界最高速(2004年当時)のエレベーター」として認定されました。世界最高速クラスのエレベーターは多くの課題への挑戦でした。ここで確立された技術と経験は、東京スカイツリーをはじめ、のちのプロジェクトの大きな礎となりました。
物件情報
POINT 01
分速1,010mを実現する緻密な制御機能を持つ駆動システム
分速1,010mを実現するために二重巻線形の永久磁石同期電動機を使用した高速巻上機(定格出力168kw)を開発しました。高速でありながら、振動を建屋に伝えないために設置部に板状のゴムをはさむなど、高出力でありながら、静かな巻上機を実現しました。
制作秘話
速いだけでなく、安全・快適でなければいけません。それにはどんな課題があり、どう解決するのか。そこからの出発でした。でも胸躍る思いでしたよ。
藤田 義昭
常務 統括技師長(当時:要素技術開発責任者)
POINT 02
急激な気圧変化に対応する気圧制御システム※世界初
地上1階と89階/高低差382.2mの気圧差は約48hPa。高速走行時の急激な気圧変化は「耳づまり」などの不快な現象を起こす場合があります。気密性の保持とともに、当社で開発した気圧制御システムでは給気と排気の二つのブロアにより、かご室内の気圧の変化率が一定に上昇するように制御することが可能となりました。
制作秘話
かご室内の気圧変化を再現する減圧室をつくり、医師立ち会いのもと大勢の被験者で実験を繰り返しました。正解は最初から最後まで気圧変化の割合を一定にすること。また、気圧制御に室内の気密化が不可欠なので、新機構の扉も開発しました。
藤田 義昭
常務 統括技師長(当時:要素技術開発責任者)
POINT 03
振動を低減するアクティブ制振装置アクティブマスダンパー
高速走行や2台のエレベーターがすれちがう際に生じる振動を、かご室のセンサーが感知し、おもりをかご室の揺れと反対方向に移動させることで、振動を吸収する制振装置を開発/搭載しました。この装置により床に硬貨を立てて走行しても倒れないくらい振動が低減されています。
制作秘話
500円玉より少し小さい50元硬貨を2枚、縦横に立てましたが、動き始め、停止して扉が開くまで倒れませんでした。検証時のデータではクリアしていましたが、ホッとしましたよ。
川崎 貴之
据付・ 調整技術センター 調整技術担当 グループ長
(当時:調整担当)
POINT 04
騒音を低減させる
整風カプセル
狭い昇降路内をかご室が高速で走行することから生じる「風切り音」の低減のために、昇降路内の空気とカプセル表面の圧力を解析し最適形状を考察することで、流線型のかご室を採用しました。また、構造上どうしても密閉度が低いかご室ドア側は、カプセルにスポイラ(羽状の構造)をとりつけ、空気の流れを横と背面に逃がすようにして整流化を実現しています。
制作秘話
高速走行時に発生する不快な風切り音を抑えるため、かごの形を流線形にしたが、充分な効果が得られず苦労していた。しかし、気密化したことでかご室内に入る音が大幅に抑えられた。
藤田 義昭
常務 統括技師長(当時:要素技術開発責任者)
国内超高層ビルの草分け、サンシャイン60が竣工したのは1978年。東芝は、分速360mという同社初の超高速機種をはじめとする33台のエレベーターを納入しました。そして21世紀。同ビル開業30年を見すえた改修が始まり、東芝エレベータは同社初の大規模リニューアルを受注しました。かごのデザインをはじめ、制装置や巻上機、群管理システムを一新し、さらに車いす仕様やオートアナウンスなどを新たに追加して省エネルギー化と高効率化を図りました。
物件情報
POINT 01
昇降機事業が
飛躍する契機となった物件
東芝は、サンシャイン60に同社初となる分速360mの超高速エレベーターを含む33台を納入しました。この成功が昇降機事業では最後発だった同社に転機をもたらし、以後、次々と高速・超高速エレベーターを受注し、国内で昇降機メーカーのトップ3に名を連ねるようになりました。
制作秘話
サンシャイン60では、その後約30年、保守を通じてエレベーターを守り続け、それが今回のリニューアルにつながっています。そのプロジェクトに自分が携われるのは光栄でしたが、我々が30年でいかに成長したかも示さなければなりません。身の引き締まる思いでした。
澤田 昌志
リニューアル事業部 リニューアルフィールド支援部
シニアエキスパート(当時:プロジェクトリーダー)
POINT 02
周囲に支えられながら24時間体制で作業を進めたプロジェクト
サンシャイン60は、在勤者約1万2000人を抱える、いわゆる“生きているビル”です。一般的なリニューアル工事と同様、作業は必然的に夜間に行いました。
制作秘話
午前中に帰宅し、『夕方5時に出勤するから』などといって寝床に入るのが、だいたい正午です。でも、なかなか寝られないものですね。当時小学生だった子どもたちは、学校から帰っても私を気遣って静かにしてくれていました。ちょっとかわいそうに思う一方、その優しさがうれしかったですよ。
山田 雅宏
北海道支社 建設グループ 課長(当時:工事担当)
POINT 03
初めて直面する
数々の問題を地道な努力で解決
サンシャイン60のエレベーターは、行き先階床別に5グループ(バンクという)に分かれています。東芝エレベータの担当は第1~4バンクで、工事はバンクごとに1台ずつ4台並行で進められました。工事で最も苦労したのは、古い機種の群管理システムからの切り離しでした。
制作秘話
バンクごとに配線が入り乱れているなか、1台切り離すために何千本もの配線を1本ずつ調べて切っていきます。1本でも間違えばトラブルの原因になるため、慎重に進めなければならない、非常に重要な工事です。
松川 和行
東京支社 建設部 調整技術第一グループ 課長
(当時:プロジェクトリーダー)
POINT 04
プロジェクトから学んだ
多くの技術と経験
プロジェクト完了後、東芝エレベータはサンシャイン60で保守活動に戻り、日本の愛すべき“元祖”超高層ビルとともに再び歩み続けています。また、このプロジェクトで学んだ技術と経験などのノウハウを社内で共有し、次の世代に引き継いでいます。
制作秘話
仕事を進めながら、我々は当然、先のことを考えてきました。プロジェクト完了とともに、次に引き継ぐべきものができていなければ意味がありません。ゼロからつくり上げた工程図は、現在も当社の標準となっています。それには受注前にすべきことから“重要工事”の手法に至るまで、我々が学んだことを事細かくまとめました。後世まで、ブラッシュアップしていってほしいです。
澤田 昌志
リニューアル事業部 リニューアルフィールド支援部
シニアエキスパート(当時:プロジェクトリーダー)