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株式会社トキハ
 
 
  ■トキハ本店
多数のお客がショッピングに訪れるデパートやショッピングセンターは、建築物の中でも、とりわけ常時人の流れが生まれる空間だ。エレベーターやエスカレーターの機能は、その主要な交通手段として大きな比重を占めている。そこで主にデパートにおけるエレベーター、エスカレーター管理の具体的な課題や傾向について、大分県を代表する老舗デパートである株式会社トキハの後藤洋治郎氏にお話を伺った。
 
  ■経営管理本部
 施設管理部
 ゼネラルマネージャー
  部長代理
 後藤 洋治郎 氏
 2005年の合併により、人口約46万人の都市となった大分市。トキハ本店は、そんな大分市で唯一のデパートとして知られる老舗だ。創業は1936年、今年でちょうど70周年を迎える。
 市内の中心地に位置する本店の他に、郊外に「別府店」、ショッピングセンターの「わさだタウン」にも展開。地域に根ざした幅広い客層をターゲットとしている。
 経営管理本部の後藤洋治郎氏にお話を伺った。
 「本店は高級品の取り扱いも多く、客層は30代以上、高齢者の方も多いですね。一方、郊外店はよりカジュアルな品揃え。広い駐車場があるので、一日中若い方がいらっしゃいます」
 本店の規模は地上8階・地下2階建て。宴会場などを収容するトキハ会館と合わせると、延べ床面積は9万3356m2あまりになる。2005年度の入店者数では、本店は726万人、わさだタウンはそれを上回る838万人という。

 
■1階・エスカレーター
  仕切りが長めにつくられている
 
 まずは昇降機の利用状況についてお聞きした。
 「お客さまの利用率は、エレベーターが15%、エスカレーターが85%くらいといわれています。エスカレーターは入り口から近いこともあり手軽なのでしょう。また本店は南と北で大きく2系統あるのですが、お客さまの流れを見ていると、駐車場やバス停に近い南側の利用が多いです」
 買い物の目的によっても、エレベーターとエスカレーターの使い分けが出るという。待ち時間のないエスカレーターは、店内を見て回りながら買うものを決めるのに向いている。
 「特にショッピングセンター型のわさだタウンでは、そうしたお客さまが多いと思います」
 トキハ本店では1992年からエレベーターのリニューアルを開始した。高齢者の利用が多いということで、客用エレベーター4基にはいすをつける工夫をした。現在、バックヤードを含めた11基すべてのリニューアルを完了し、一昨年からはエスカレーターに着手している。
 「エスカレーターは本店だけで34基あり、費用もかかるのですが、多少無理をしてもお客さまの安全には代えられません。リニューアルに際しては、手すりの色で南と北の2系統を区別できるようにしたいと考えています」
 しかし思うようにリニューアルできなかった部分もあるという。
 「新しい技術やユニバーサルデザインに配慮した機種を導入したかったのですが、本店の場合は、建物の構造上、新しいタイプのエスカレーターをすぐに導入することが難しく、断念したプランもあります」
 例えば「平行三段型」と呼ばれている、乗り口のところで3段分が平らになるタイプのエスカレーター。すぐに段が上昇するタイプに比べて、乗りやすく、安全面でも優れている。このあたりは、既存の施設をリニューアルする際の難しさであり、老舗ならではの悩みと言えるかもしれない。
 
■エレベーター・かご室内部
  いすが設けられている
 
 トラブルについてはどうだろう。
 「幸い大きな事故などはありません。ただ本店は高齢者の利用率が多いため、エスカレーターでの転倒事故がありますね」
 2005年に起きた転倒事故は、本館南側の地下1階から地上1階へ上るエスカレーターに集中している。
 「地下が食品売り場ですので、両手いっぱいに荷物を持ってしまい、手すりを持たれないお客さまが多いのです。そこで、去年からは係の者を常駐させ、何かあったらすぐに手助けができるように対応をはじめました。またリモデルに際して、周りを売り場にせず、なるべく通路を広くゆったり感を出すように努めました」
 利用の激しいフロアでは、動線を整理することも重要だ。
 「エスカレーターの乗り降りのところに設けてある仕切りも、通常よりも長くとってあります。乗り換えの折り返しが短いと、どうしても人の流れがぶつかってしまうので、ゆとりを持たせるようにしました」
 保守管理を担当する東芝エレベータとも緊密な連携を取っている。
 「ほとんど東芝エレベータさんにおまかせです。何かあってもすぐに来ていただける距離なので、助かっています」
 本店の場合は5分圏内、わさだタウンは敷地内に東芝のサービスステーションがある。
 「現在エレベーター、エスカレーターの案内係が5、6名おりますが、東芝エレベータさんから取り扱いに関する講習を受けております。停止してしまった場合の対処方法や、非常脱出訓練のほか、機械の構造自体にもかなり詳しくなりました」
 トキハ側も協力しながら細かいメンテナンスを実施しているとのことだ。毎朝開店前には、案内係がエスカレーターの掃除をする。手すりの横を掃除して、一台ずつ動かしながら点検確認するのだ。
 「ふだんから、社員が乗って何か異常に気づいた場合は必ず報告させています。私自身も気にして乗っていますね。特に音は気になります。エスカレーターは何かあるとすぐに異常な音が出ますから」
 防災意識が高まる近年であるが、特に温泉地のある別府には活断層が走っていることもあり、地震への対策も気になるところだ。
 「エレベーターはもちろんすべて地震計付きで、停止時には退避できるようになっています。地震は年に1〜2回ありますが、幸い、リセットをかけても動かないような故障はこれまではありませんでした」
 避難訓練は、年に3〜4回行っているという。
 「開店前ですからエスカレーターは動かせませんが、エレベーターは動かして、お客さまを全員外に避難させたというところで、防災センターに連絡を入れるという訓練をしています。地震は防げないものですから、起こった時にどう対応するかを常に想定しています」


株式会社トキハ
「お客さま一人ひとりと生涯のおつきあい」を大切にしてきた大分市の老舗百貨店。創業70周年を迎え、常に変化するお客さまのニーズを先取りし、提案する創造型百貨店を目指す。
■住所:大分県大分市府内町2-1-4
■設立:1935年




ファッションやコスメに詳しい滝田ひとみさんは、大のデパート通。普段から足繁く通って店ごとの特質を熟知しており、目的に応じて店舗も使い分けるという。実用ばかりを重視するのではなく、エレベーター空間にもこだわれば、デパートはもっと居心地の良い場所になるだろう、と語る。

デパートでは、状況に合わせてエレベーターとエスカレーターを使い分けます。各フロアをくまなく見たい時はエスカレーター。逆にエレベーターを使うのは、目的階が決まっていて比較的急いでいる時です。目的がはっきりしている時に乗るのがエレベーターなので、各階の情報や催事のお知らせなどがわかりやすく書いてあるといいですね。エレベーター内のポスターは、つい見てしまいます。探し物がある時はすぐ確認できるので、案内係の人がいるところも嬉しいですね。
 子連れで行くことも多いので、安全性は気になります。エスカレーターに2人並んで乗ると、少し動いただけでも危ないと感じることがあります。ゆっくり買い物を楽しむデパートでは、もう少しステップ幅を拡げてもいいと思います。それから滑りやすいのも怖いですね。革底の靴で両手に荷物を持って乗った時、転びそうになったこともありました。また、エレベーターには窓がついてると外の様子がわかって安心です。
 デパートには、品揃えなど店舗ごとにこだわりの特色がありますが、エレベーターやエスカレーターに特徴のあるところは少ないように思います。海外のショッピングセンターなどは、そういう空間にまで気を配っていて、デザイン的にも優れているところが多いですよね。そういうデパートは一日いても飽きません。
 エレベーターも、みんな黙って、一点だけ見つめているような雰囲気ではなくて、人々がリラックスできる場所になるといいですね。特にデパートの場合、単に移動手段としてだけではなく、乗っている間にも楽しみがあるような遊びの要素があると、より長居できるのに、と思います。それ以外はどこもおしゃれなのに、エレベーターだけ実用的過ぎるイメージでは寂しいですよね。
■テレビ・ラジオパーソナリティー・ヘアメイク
 滝田 ひとみ 氏

1966年9月26日生まれ。広島県出身。(株)ワイエムオフィス所属。多くのテレビ、ラジオ、イベントなどでMCを務める。現在、ラジオ日本のショッピングキャスターレギュラー。職業柄、デパートめぐりが大好き。また、嶋田ちあきメイクアップアカデミーを卒業後、イベントやスチール撮影のヘアメイクとしても活躍している。

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