FUTURE DESIGN

FUTURE DESIGN 2014 vol.39

2014 vol.39ユーザー訪問●安心・安全への備え、いかがですか?

ユーザー訪問●安心・安全への備え、いかがですか?

導入事例 vol.7 ライオンズ市川妙典

停電時もエレベーターを通常速度で運行できるリチウムイオン蓄電システムを導入

2014年1月、株式会社大京が手がけるライオンズ市川妙典が千葉県市川市で竣工し、業界初(※)となる、停電時でもエレベーターを通常速度で運行でき、さらにエレベーター運行時には、各階のエレベーターホールに設置された蓄電池の残量計で残量を確認できるリチウムイオン蓄電システムが同マンションで稼働を開始した。東芝エレベータと共同開発したシステムで、停電時でもエレベーターを10時間程度通常速度で運行させることが可能だ。
今回は、このシステムを開発した経緯、特長などについてレポートする。

※ エレベーター業界初(東芝エレベータ調べ)

北宿 仁嗣氏きたじゅく・ひとし株式会社大京建設統括部 商品企画室担当副部長 兼 企画推進課長 中山 雄生氏なかやま・かづお株式会社大京建設統括部 商品企画室担当副部長 兼 商品企画課長

マンション1階のエレベーター乗り場。ニーズに合うよう一から設計し、各階に設置された蓄電池残量計により、蓄電状況がリアルタイムでわかる。 リチウムイオン蓄電システムの本体。平常時は夜間でも、停電時に備えて蓄電残量が50%を切らないようにする等、様々な制御が可能。蓄電量はモニターで一目瞭然。 

東日本大震災後、防災対策を全面見直し

 東日本大震災では、地震直後だけでなく、その後の計画停電によっても電力の供給が不安定になった。その結果、電力の供給がない停電時、エレベーターは停止し、利用できなくなる不便さを多くの方が実感した。
 「ライオンズ」のブランド名で、マンションの供給実績6877棟37万戸を誇る株式会社大京は、震災後にマンション住人へのアンケートや被災地支援を通じて、防災サイクルプログラム「ライオンズセーフティアクション」と、省エネや環境保全のための「ライオンズプラスエコ」という2つのプロジェクトを始動させた。同社の建設統括部 商品企画室 担当副部長である北宿仁嗣氏はこう語る。
 「大震災後、マンションが防災拠点になることを改めて痛感しました。そこで、震災後、以前から備えていた防災備蓄庫の中身を刷新するとともに、エントランスホールに無線LANの基地局を設置し、停電時でも発電機を使って外部と通信できるようにしました。また、従来は管理人室内に設置していた管理人用トイレをマンション共用部に設置し、非常用として居住者どなたでも使えるようにしました」

DATA

住所:
千葉県市川市塩焼4-2-4
施設:
鉄筋コンクリート造、地上7階建て、全57戸、敷地面積2,060.17m2
専有床面積63.09~80.39m2、竣工2014年1月
概要:
リチウムイオン蓄電システムを採用した新築マンション。平常時の昼間は、太陽光発電を 用いて優先的にシステムに蓄電し、一定以上の電力蓄電時にはエレベーターに使われる。停電時の備えと平常時の省エネを両立した、安全・安心設計のマンションだ。
ライオンズ市川妙典

10階建て、50戸以上の新築物件に非常用発電装置を導入

 2012年には、各部屋に備える防災備蓄品パッケージ「ライフティキット」を開発。安否確認の情報などを玄関ドアに貼れるマグネットやダイナモライト、携帯用トイレなどをコンパクトに収められるようにした。同社建設統括部 商品企画室 担当副部長の中山雄生氏は、被災地の支援のなかから学んでこうした取り組みを始めたという。
 「当社の社員が実際に現地で支援し、その体験をもとに備品を見直しました。また、停電時もエレベーターを動かせるようにすることの重要性を感じました」
 同社は2011年7月以降に着工する10階建て、50戸以上の新築マンションに、重油や軽油を燃料とする非常用発電装置を導入することにした。これにより停電時にも10時間、エレベーターを稼働させることが可能になった。
 「しかし、発電機は、半年に1回作動させてチェックするなど、メンテナンスの手間と費用がかかりますし、非常時しか使えません。ふだんから使えて、非常時にも役立つ発電装置を模索しました。その点、共同開発するリチウムイオン蓄電システムに搭載される東芝製二次電池「SCiBTM」は、長寿命で10年間使い続けられる点と、定期点検がいらない点に魅力を感じた」と中山氏はいう。
 当初はガスを使ったコジェネレーションシステムを検討した。しかし、非常時しか使えず、同社は最終的に蓄電池にたどり着いたのだ。
 「平常時にも使えることを重要視したため、充電しながら使用できる蓄電池に着目したのです。探したところ、要望に合致する電池は東芝製しかありませんでした」と北宿氏は語る。
 同社は東芝エレベータに相談し、東芝製二次電池「SCiBTM」を利用した蓄電システムをカスタマイズすることになった。こうしてエレベーターの稼働と連動したマンション用リチウムイオン蓄電システムが完成。2012年11月に発表にこぎ着けた。


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