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連載●安全・安心を科学する
 
 
夏ともなれば、家族づれで海水浴に出かけるという家も多いに違いない。
だが一歩間違うと楽しいバカンスが一転、大変な事態に陥らないとも限らない。
安全に海を楽しむためにはどんな点に
気をつければいいのだろうか。

 日ごろ、家に閉じこもってゲームに夢中の子どもたちも、海水浴場では照りつける太陽の下で、思いっきり身体を動かして楽しむことができる。そんな季節がまたやってきた。だが毎年、海での事故が多発していることも忘れてはならない。海を存分に楽しむためには、どんな注意が必要だろうか。日本ライフセービング協会事業部長の川地政夫氏に聞いてみた。
 「海も自然の一部ですから、プールと違って、離岸流が発生することがあるというのを知っておいてください。海では浜辺に波が寄せ引いていきますが、そのときに引きだまりのような場所ができることがあります。これが離岸流と呼ばれるものです。離岸流に巻き込まれると、あっという間に沖の方に流されてしまいますので、泳げる人でもあわててパニックになり、溺れてしまうことがあります」
 離岸流は、速いもので秒速2m(水泳のトップ選手と同程度の速さ)、場所によって発生したりしなかったりするが、発生した場合は、必ずしも1カ所だけとは限らない。離岸流には絶対近づかないようにしたい。管理された海水浴場であれば、離岸流の発生する場所に、旗などを立てて危険区域を表示してあるので、安全とされている場所で海を楽しむことが必要である。
 「海で遊ぶ場合に私たちが提唱しているのは、まずセルフレスキュー、つまり事前に事故が起らないように、自分で自分の身を守るということです。たとえば、小さいお子さんであれば、ライフジャケットを着用するのも有効です」
 子どもはよく動きまわるので、ちょっと眼を離したすきに、波にのまれないとも限らない。丸い浮き輪だと、するっと抜けてしまうこともあるが、ライフジャケットを着ていれば、その心配はない。
 「大人でしたら、溺れる原因のひとつに飲酒が入っています」
 海外の海水浴場では、禁酒・禁煙というところが多いが、日本の場合、海の家などでもアルコールが飲めるようになっている。ちょっと酔いをさまそうとして、海に入って溺れてしまうという場合もある。もし、お酒を飲んだのであれば、決して海には入らないことだ。
 セルフレスキューについては、コラムにも簡単にまとめておいたので、併せて読んでおいて欲しい。
 
  ▲ライフセーバーのユニフォーム
ライフセーバーの目印になるのは、赤と黄色を4分割した2色のパトロールキャップだ。
(写真提供:日本ライフセービング協会)
 
 もし眼の前で溺れている人を見つけたらどうすればいいのか。訓練を受けていない人が1人で助けに行くことは極めて危険である。二次災害を起こしかねないからだ。助けにいって、溺れている人につかまられ、助けにいった人が亡くなるということも多い。こうした場合は、すぐにライフセーバーに知らせる。ライフセーバーとは、事故を未然に防ごうとしている海の監視員のことである。
 「日本ライフセービング協会では、このライフセーバーを養成しています。海岸で協会のロゴマークの入った黄色と赤のユニフォームを着ている人がいたら、その人が有資格のライフセーバーです。彼らに伝えてくだされば、すぐに適切な救助を行います」
 もし、ライフセーバーがいなければ、周りの人に応援を頼むこと。また、海上保安庁(tel118、局番なしで携帯電話からでも通話可能)に連絡し、救助を要請する。同時に、浮き輪やペットボトルなど救助に使えるものを探して、溺れている人の近くに投げるなどする。
 事故が起こる前に未然に防ぐこと、そして起こってしまったときは適切に対処すること。そのためにも、この夏、海辺で楽しい時を過ごそうと考えているなら、最低限これらのことは忘れないでおいて欲しい。
 
コラム
 
ここにある10カ条を参考に、マナーを守り準備をしっかりして、安全に海水浴を楽しみたい。
 
 
1 泳ぐ際には、ライフセーバーが監視している範囲内で泳ぐようにする。ライフセーバーがいない場合でも、何か事故があったときのために、必ず誰かが監視している場所で泳ぐようにする。
1 遊泳禁止区域には絶対近づかないようにし、遊泳が許可されている区域内で泳ぐようにする。
1 海では沖に引き込まれる離岸流だけでなく、海底が急に深くなっているインショアホールと呼ばれる場所もあるのでので気をつけよう。また、毒性の強いくらげなど危険な生き物がいる海もある。事前にライフセーバーに危険な場所や生き物について聞いておくとよい。
1 夜通し車を運転してきて、睡眠も取らず、さあ泳ごうなどというのもありがちなケースだ。まずは仮眠をとってから泳ごう。
1 お酒を飲んで海に入るのも危険だ。本人は酔って判断力が低下しているので、一緒にいる人は注意しよう。
1 溺れたり、足がつったり、沖で戻れない状況になったりしたときなどは、片手をあげて振る。これは海での「助けてサイン」だ。ライフセーバーがこれを見たらすぐに救助にきてくれる。また、本人が溺れてサインが出せない場合は、周りの人が代わりに出してもよい。
1 夏の海岸は日差しが強い。水分を十分取り、日焼けに注意する。日焼け対策には、クリームをしっかりと塗っておく。また、日焼け防止のラッシュガードを着用するのもよい。
1 海は、刻々と変化している。潮の満ち引きで少し前に見えていた岩が水のなかに隠れていたりすることもあるので、走って海に飛び込まないようにする。
1 夏には雷が多い。落雷の危険があるので、雷が鳴り出したら海から出て近くの建物などに避難する。
1 海は自分たちのためだけにあるのではない。自分たちが出したゴミは自分たちで持ち帰ることが大切だ。
 
 

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