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テクノロジーの力で都市の交通がスムーズになった反面、 思わぬ事故になりかねない落とし穴が潜んでいることがある。
子どもを連れて出かけるとき、親はどこに気をつければいいのだろうか。
好奇心おう盛な子どもは、大人ならたやすく回避できる事故や、あるいは決してしないであろうような行動で、全く予期していなかったような事態を招くことがある。子どもを連れて都市を移動する際、親はどんなことに気を配ればいいのだろうか。子どもの危険回避研究所所長の横矢真理氏に聞いてみた。
「子どもの事故が起こる要因は数多くありますが、私たちが注意を促しているのは、特に悪条件が重なる場合には気をつけて欲しいということです」と横矢氏は言う。
大きく分けて5つあるという悪条件の要因について、続けて横矢氏は次のように述べる。
「例を挙げて説明しましょう。遊園地で遊んで帰ってくる親子連れというのは駅でよく見かける光景です。まず、駅のような混雑している場所、急いでいる人の行き交う場所、これが気をつけて欲しい要因の一つです。
親子は遊園地で遊び疲れています。すると、つい子どもへの注意が怠りがちになります。子どもも疲れて眠くなっている。つまり親子の側の注意が散漫になっている状態、これが2番目です。
3番目は子どもが身につけているものです。遊園地で買ったおみやげやポシェットを引きずっていたり、ジャケットが脱げかけている、あるいはネックストラップも気になります。こういうものが、エスカレーターや自動ドアなどに巻き込まれる危険性を秘めています。
4番目は天候や時間です。遅くなった帰りの夕暮れどきや夜間などは視野が狭くなっていますし、雨の日などは、外の階段はもちろんですが、駅のなかでも傘のしずくが落ちて滑りやすくなっているので要注意です。
そして最後は、事故につながりそうな器物です。子どもが触れる部位に指を挟むようなすき間があったり、壊れて危険なものがあったりしないかに気を配る必要があります」
横矢氏はこの危険な要因をカードのように考えていくことが必要だという。
「カードが多くなると危険度が高くなる、ということを皆が認識し、改善していくことで、子どもの事故は減らせるようになると考えています」
エスカレーターでの子どもの事故も多い。なかでも、最近懸念されているのが子どもの履いているサンダルが巻き込まれて起こる事故だ。
2007年、5歳の子どもが東京駅のエスカレーターのステップ側面にあるすき間に巻き込まれ、足の中指骨折、指の爪を3本はがす事故が発生した。
このときの事故調査を行った独立行政法人製品評価技術基盤機構の報告によれば、樹脂製のサンダルの危険性が指摘されている。柔らかく、伸びやすく、滑りにくいという樹脂製サンダルの特徴が、エスカレーターではかえってマイナス要素として働き、巻き込まれる割合が高いという結果が出ているのだ。
エスカレーターに乗った際に見ていただけばわかるように、ステップの周囲には、黄色い線が表示されている。これは線の上に足を乗せると引き込まれる原因になるので危険という表示だ。もし、子どもがこの樹脂製サンダルを履いて乗る場合は、普段以上に黄色い線の内側に乗っているかをチェックして欲しい。
エスカレーターは便利な乗り物である反面、誤った乗り方をすると危険な場所へと変貌する。事故を起こさない乗り方(コラムを参照)をして、快適に移動したい。
子どもを連れてエスカレーターに乗るとき、注意しておくべき主な事項を以下にまとめました。
子どもだけでなく、大人でも役に立つことも多いと思います。
履き物をステップのすき間に押し付けない
本文でも触れたが、ゴムやビニール製など柔らかい材質の履き物のつま先やかかとをスカートガードパネルやステップの隙間に押し付けないこと。足を引き込まれる危険がある。
幼児を一人で乗せない
子どもは一人で乗りたがることがよくある。特に幼児の場合は転びやすいので、親はしっかり手をつないで乗ること。
移動手すりにつかまる
動手すりにつかまって乗るように子どもに教えること。緊急停止したときなど、移動手すりにつかまっていないと転倒してしまう危険がある。
移動手すりから乗り出さない
天井に頭をぶつけたり三角部に頭を挟まれる恐れがあるので、移動手すりから身を乗り出さないよう注意すること。
衣類の裾を踏段に接触させない
ポシェットなど本文のほか、ロングスカートや長いマフラーを身につけている場合は接触しないよう、またひも靴を履いている時はひもがほどけていないかに注意する。
ベビーカーを乗せない
万が一、うっかり手を離してしまうことがないとは言えない。ベビーカーではエスカレーターに乗らないこと。
携帯電話を使わない
エスカレーターで電話をしたり、メールを見たりしていると、携帯電話の方に意識がいってしまい、つい子どもへの注意がそれてしまいがちになる。
くしなどに手を触れない
踏段やくし、スカートガードパネルやインレット(移動手すり入り込み口)に手を触れるとけがの原因となる。
エスカレーター事故のなかでも、特に憂慮されているのが、スカートガード(側面)部分のすき間に履物が巻き込まれて起こるケースだ。本文でも述べたように、樹脂製サンダルによるこの事故が最近多発している。滑りにくいために、ステップにぴたりと付着した柔らかい素材のサンダルは、容易にすき間に巻き込まれてしまうからだ。この事故のうち全体の74%は子どもが占めている。
その予防策として、施設管理者の側でもできることがある。エスカレーターを保守管理する際に、月に1〜2回程度、スカートガードへシリコーンオイルを塗布しておくことだ。
シリコーンオイルは、耐熱耐寒、耐水性などに優れたフッ素オイルの一種で、潤滑剤としてエスカレーターでもよく使われている。
独立行政法人 製品評価技術基盤機構が行ったシリコーンオイルを塗布した場合と、していない場合の再現実験でも、塗布することで挟み込みの減少が確認できている。
経済産業省でも、頻度の高いこの事故の結果を重く見て、潤滑剤の塗布を行うように要請している。
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