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超高層ビルの代名詞として親しまれている「サンシャイン60」が来年で30年目の節目を迎える。この超高層ビルを中核とした複合施設「サンシャインシティ」は現在、エレベーターをはじめ、空調、設備関係など全館にわたる大規模リニューアル工事が進んでいる。私たちリニューアル探検隊は、超高層ビルの大規模リニューアルに挑戦する人たちの話を聞くため池袋に向かった。
 
 

■石原 頼仁氏
株式会社サンシャインシティ
取締役管理部長

 

 
 

遠藤 正実氏
株式会社サンシャインシティ
管理部次長

 

 池袋にそびえるサンシャイン60は高さ約240m、竣工した1978年当時は東洋一の高さを誇った。この超高層ビルを中核としたサンシャインシティはオフィス、商業施設、ホテル、コンベンションセンター、公共施設などが一体となった大規模複合施設で、年間来場者数は2700万人を越える。
 サンシャインシティ取締役管理部長の石原頼仁氏はこう語る。
 「お客さまの安心、安全に対する要求水準は年々、高まっています。来年は施工から30年目の節目を迎えるということもあり、昨年からエレベーター、エスカレーター、空調、設備など全体的にリニューアル工事を開始しました」
 リニューアル工事はオフィスや展望台のあるサンシャイン60から始まった。この超高層ビルに設置されているエレベーターは41台あり、うち33台が東芝エレベータ製だ。これだけの台数のリニューアルを、これほどの超高層大規模ビルで行うのは同社にとっても初めての経験である。
 サンシャインシティ管理部次長の遠藤正実氏は「ここには常時2万人がいます。お客さまに不便をかけないように配慮しつつ、安心・安全な工事を何より心がけています」という。
 
■エレベーター・1階ホール
写真奥がリニューアル前、手前がリニューアル後。
段階的に進むリニューアル工事中でも新旧の違和感が感じられないようにデザインのテイストを揃えつつ、のりば戸やランタン、呼びボタンを新しくし、ダウンライトなどを追加している。
 
 サンシャイン60のエレベーターは行き先階床別に5グループ(バンクと呼ぶ)に分かれており、利用客に迷惑をかけないよう、東芝エレベータが担当する第1〜4バンクでは1台ずつ工事が行われている。
 計4台が同時並行で施工されるが、完了には4カ月程度必要だ。作業が主に夜10時から早朝6時に限られ、その他設備のリニューアル工事を行う複数事業者と連携し、工程を確認しながら進めなければならないからだ。
 さらに、中低層ビルのリニューアルでは巻上機(モーター)などの機材類はクレーンで搬入するが、超高層ビルのサンシャイン60ではそうはいかない。機材の搬出と搬入には非常用エレベーターを使う必要があるなど、超高層ビルならではの手間がかかる。
 現在、8台がリニューアル済みで、「横揺れがなくなり、音も静かになるなど乗り心地がよくなりました。隣のエレベーターのアナウンスが聞こえてくるほどですよ」と遠藤氏はその成果を指摘する。
 また、乗り心地だけでなく、消費電力量も従来より3〜4割削減するなどの省エネ効果がある。
 今回、制御系リニューアルのほかオプションで車いす用の呼びボタンや操作パネル、手すり、あるいはオートアナウンス、防犯カメラも設置した。
 「私たちにとっては建物の環境こそ売り物なのですから、使いやすさと安全性を絶えず改善していかなければなりません。今回のリニューアル工事に当たってはテナントのお客さま200社全社の了解が必要で、そのご説明に半年以上もかかりましたが、きっとご満足いただけるはずです。また、お客さまにできるだけご迷惑をおかけしないよう、停止するエレベーターの数は最低限にとどめ、余裕を持ってリニューアルを進めています」と石原氏は語る。
 今後、新宿副都心をはじめ、日本の超高層ビルのエレベーターリニューアルが本格化する時期を迎える。今回のサンシャインシティでの経験が大いに活かされることだろう。
■エレベーター・上層階ホールとかご室内部
かご室は、原則として前回リニューアル工事した部分をそのまま活用し、車いす対応をはじめとするバリアフリー対策や監視カメラの追加など、利便性を向上させた。


  ■エレベーター・かご室内操作盤
操作盤は、車いす対応などバリアフリー対応に合わせて、今回のリニューアルで新しくなった。
 
サンシャインシティ
展望台の高さ都内一のサンシャイン60を中心に池袋に建設されたサンシャインシティは、1978年に開業、東京を代表するランドマークとなった。水族館、プラネタリウムなどのアミューズメントも人気。

■住所:東京都豊島区東池袋3-1
■TEL:03-3989-3321(代表)



 
 サンシャインシティのようにエレベーターの台数が多い大規模施設におけるリニューアルの難しさは、入居しているテナントや来場者の目につきにくいように、少しずつ変えていく必要があることです。変えすぎるとリニューアル部分が目立って、リニューアルを終えていないエレベーターや設備とのギャップが生じるからです。

 今回のリニューアルではその点に気を遣っていることがよく分かりました。エレベーターホールのドアはあまり雰囲気が変わらないように配慮しつつ、ストライプを基調とした現代的なデザインになっており、かご室内の操作パネルもそれに合わせています。

 ホールのドア上部に取り付けた間接照明もモダンなセンスを演出するしゃれた小技といえます。
 車いす対応に変えたところもサンシャインシティ側の意識の高さを感じさせます。かご室内に車いす用の手すりをつけると、狭く感じることがあるのですが、材質や設置の角度などに気を遣っているせいか、あまり気になりませんでした。
 また、セキュリティの向上も目指し、防犯カメラをかご室内に設置し、防災センターで録画できるようになっているそうです。そのカメラが入ってすぐ目に付く、かご室の奥に設置してあるのは防犯効果を狙ってのことでしょう。

 目に付くところに設置することによって、不審者は下手な動きをすることができません。サンシャインシティのように自由に出入りできる施設はどんな人物が入り込むか分からないので、テナントも来場者も安心できるでしょう。
 外観を大きく変えて、リニューアルをアピールするのも1つの方法ですが、今回のように「気付かれないリニューアル」も1つの技だと感心しました。(談)

■隊長 篠ア正彦
東洋大学工学部建築学科准教授。 1968年東京都生まれ。
専門分野は、建築計画と環境行動研究。特に、都市での生活様式と住居、施設の関係を研究している。現在、ベトナムにおける集合住宅の調査研究を進めている。
■隊員 山田花子
篠崎先生の研究室でベトナム建築を学ぶ。趣味はピアノとフルート。

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