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防火・防災訓練というと以前は火災に対するものが主であったが、近年は阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などの被害であきらかなように、大規模な地震などの災害にも備える必要が出てきている。防災訓練の現状を東京消防庁の瀬尾弘孝消防司令に話を聞いた。
 自衛消防訓練と呼ばれる現在のような防火管理者を中心とした消防の訓練が始まったのは、消防法の制定された1948年からである。当時は戦後の復興期にあたり、あちこちにビルが建ち始め、火事への警戒から、自衛消防の必要性が問われ出した時期であった。一方、人々の頭のなかには戦時下での空襲の記憶もなまなましく、火事に対する意識も敏感であったことは想像に難くない。
  現在、病院や事業所など、大きな建物には必ず防火管理者が置かれている。東京消防庁予防部防火管理課・瀬尾弘孝消防司令は次のように語る。
  「消防法8条では、一定規模の建物には、必ず管理権原者から選任された防火管理者を置くことを義務づけています。いまは1つの建物に多くのテナントが入っているケースも多く、その場合はテナント各社に防火管理者を置いていただき、お互いに意志の疎通を図るため、管理権原者同士で共同防火管理協議会を設置してもらっています」
  防火管理者の資格を取得するためには、建物の規模に応じて、1日(乙種)か2日(甲種)の防火管理講習を受けなくてはならない。各建物の実情に合わせた消防計画と呼ばれる防火管理マニュアルを作り、訓練を積極的に行うのも、この防火管理者の仕事である。
 最近では地震などの災害に対する対策を盛り込むなど、自衛消防訓練に対する考え方が変わってきていると瀬尾氏は言う。
  「現在の建物は不燃性の建材を使用し、構造そのものがしっかりしているので、火災発生率という点ではこれまでと較べて減少傾向にあります。最近の訓練では、震災をはじめとする大規模な災害を想定して行ってもらうことも必要になってきています。規模が大きくなればなるほど、人命の危険も増えますし、救急事象も多くなります。また、最近はテロによる災害などを視野に入れた訓練も行われるようになりました」
  こうした新しい形の災害に備えて、それぞれの病院や社会福祉施設、あるいは事業所などが応援協定を結んでいるところもあり、お互いが助け合うという仕組みづくりも進んでいる。
  難しいのは、共同住宅・集合住宅の訓練である。学校や会社組織とは異なり、個々人の集まりであるマンションなどは、なかなか住民の協力が得られないのが実情である。しかし、一定規模の集合住宅であれば、やはり防火管理者の存在が義務づけられていると瀬尾氏は述べる。
  「最寄りの消防署にご連絡いただければ、地震体験車や訓練用の消火器などを用いた訓練のお手伝いを行っています。実施日は皆さんができるだけいらっしゃる土曜日、日曜日に行われる場合が多いようです。特に集合住宅ですと、お年を召された寝たきりの方がいらっしゃることがあるので、その辺をよく把握してもらうことも重要と考えています」
  災害は一度起きてしまえば、物心両面にさまざまな形で大きな爪痕を残すことになる。残念ながら「備えあればうれいなし」とまで言い切ることはできないが、そのときに起こるであろう被害をできるだけ最小限にくい止めるためにも、訓練によるトレーニングは欠かせないものであろう。

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▲図1 自衛消防訓練の種類(提供:東京消防庁)



いつ起こるか分からない災害に対しては、普段からの準備が大切である。ここでは日常のなかでできる心構えといざ災害が起きた際の対応のいくつかを紹介する。

まず火災であるが、その原因となるタバコは必ず灰皿のある喫煙場所で吸うこと、吸い殻は水につけてから消す。電気のコードについては、タコ足配線をしない。建物の周囲は整理整頓を心がけ、放火されやすいものを放置しない。消防用設備の位置とその使い方を確認しておくこと。避難経路、避難器具、防火戸、防火シャッターの障害になる場所には物を置かないようにする。自衛消防隊の組織と自分の任務および自分のなすべき行動を把握しておくこと。火災が起きてしまったら、まず大きな声で周りに知らせ、次いで119番、防災センターへ通報する。そして近くの消火器で消火を行うが、火災が拡大しているなど危険を感じた場合は無理をせずに避難する。避難については、普段から複数の避難経路を把握しておき、炎や煙の状況などから判断して、安全な経路を選ぶ。
地震については、ロッカー、オフィス家具類は普段から固定しておくこと。備蓄品、救助用資器材はその保管場所と使い方を確認しておく。そして、地震が起ったら、まず第一に身の安全を確保し、その後火の始末を行う。慌てて飛び出すとかえって危険なので、自衛消防隊長の指示、あるいはあらかじめ決められた任務に従って行動するなどである。帰宅に関しては、テレビ、ラジオ、インターネットなどで交通機関の情報を集めることなどが重要になる。

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▲携帯電話を活用した昇降機保守支援システムによるメンテナンス風景
 

東芝エレベータでは、万が一地震が起こった場合に備え、あらゆる状況を想定したエレベーター・エスカレーターに関する総合的な地震対策を構築した。
震度6以上の大規模な地震の発生も想定し、これまでは震度4以上で設置されていた「フィールド災害対策本部」に加え、震度5以上の地震をより細かく想定し、2段階の全社災害対策本部を設置した。また、「携帯電話を活用した昇降機保守支援システム」を新開発し、復旧作業の開始および終了時間をQRコードにより携帯電話に記録することで、地震発生時の復旧状況をリアルタイムに把握できるようになった。携帯電話を活用することでフィールドエンジニアの位置情報をより詳細に把握できるようになった。メールを活用した出動指示により災害時でも効率的な復旧ができるようになることが予想される。
これらのシステムについては、今年の5月12日に、東芝エレベータ社およびグループ会社の社員約4600名による全社一斉訓練を実施している。今回の訓練は、出動に時間を要する休日に震度6強の首都直下地震ならびに全国各地で震度6弱の地震が同時に発生するという想定で行われており、新システムの検証や安否確認などの実践的な訓練を行った。
また、製品面においても、地震発生時に気象庁から配信される緊急地震速報を利用して地震波が到達する前に最寄階への停止させる機能や、「リスタート運転機能」「緊急救出運転機能」、早期復旧に対応する「自動復旧運転機能」など、閉じ込め防止に対応する機能を適用拡大している。
特に、「リスタート運転機能」については、2008年までには同社保守台数のうち約50%に対応することができるようになり、リニューアルや改修工事などで従来からあるエレベーターも耐震性能が向上できる。

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