建築の視点から見ると、エレベーターホールの表情が1階と2階、そして5階で違うのは面白いですね。2階の大広間に面したエレベーターホールも興味深いです。また、かご室に目を移すと、今回のリニューアルで張り替えた化粧シートがシャープでシンプルな印象を与えます。各階の案内などはエレベーターホールに掲示し、かご内部はすっきりとまとめています。天井はリニューアル前のものをそのまま使用しているとのことですが、照明部分が大きいため、かご全体が明るく見えます。かご内部ですが、リニューアルに際して、操作盤はバリアフリー対応になっていますが、手すりなどの設備は追加されていません。これは、お客さまの状況を細かく把握し、仲居さんによる手厚いサポートが期待できる旅館ならではです。設備ではなく人の手でケアすることで、お客さまに対する細やかな心遣いを見せられるとともに、手すりなどでかご室内を狭くすることなく、すっきりとしたかご室を十分に生かすことができます。こちらのエレベーターは6人乗りということもあり、最近は、旅行にキャリーバッグを利用する人も多いので、かご室を広く活用できることは大切なことだと考えます。
今回のリニューアルの中心は地震時における安全対策が中心だったとのことですが、このような制御関係のリニューアルは目に見える効果が少ないため後まわしにされがちです。安全を第一に考える女将さんらしいリニューアルだと感じました。
また、永芳閣では、アートイベント「Himming」などをはじめ、積極的に社会性を持つイベントに参加しているとのこと。全国から集まるお客さまに、細やかな心遣いと氷見のおいしい魚、そして温かみのある旅館で、これからも癒しのひとときを提供してもらえたらと思います。(談)
■隊長 篠ア正彦
東洋大学工学部建築学科准教授。 1968年東京都生まれ。
専門分野は、建築計画と環境行動研究。特に、都市での生活様式と住居、施設の関係を研究している。現在、ベトナムにおける集合住宅の調査研究を進めている。
■隊員 山田花子
篠崎先生の研究室でベトナム建築を学ぶ。趣味はピアノとフルート。 |
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