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侵入窃盗や性犯罪の多くは集合住宅内で発生している。本来であれば私たちが安心して住めるはずの住宅が、犯罪者たちに絶えず狙われている。階段やエレベーターも性犯罪が発生しやすい。警視庁生活安全部の諏訪彰弘警視に、その状況と防犯対策についてお話を聞いた。
 警視庁の調べによると、2006年の都内の犯罪は1日に670件発生している。約2分おきに1件が起きている割合になる。
 侵入窃盗の場所別発生状況を見ると、4階以上の中高層住宅が約16%、その他の集合住宅が約30%で半数近くが集合住宅で発生している。
 また強制わいせつの発生場所は中高層住宅が16%、その他の集合住宅が8%の計24%。強姦にいたっては中高層住宅約27%、その他の集合住宅が約31%と半数を超える。ホテルなどを加えると76%が屋内で発生している。
 警視庁生活安全部管理官の諏訪彰弘警視はこう語る。
 「性犯罪においてはアパート・マンションでの発生が多くなっています。駐車場、駐輪場、ホール、階段、エレベーターなどが危険です。人目が届かない見えにくい場所、公道と敷地が不明確で容易に敷地内に侵入できる場所という2つの条件が揃うと犯罪が起きやすくなります」
 オートロックなどもなく、誰もが自由に出入りできるマンションだと、不審者と住民の区別がつかない。そういった住宅で奥まった人目のつかない場所にエレベーターがあると、犯罪者が待ち伏せしていて、女性が来ると一緒に駆け込んで乗り、わいせつ行為にいたるケースが多いという。

▲図1 2006年における侵入窃盗の場所別発生状況(提供:警視庁)
中高層住宅(4階建て以上)とその他の集合住宅が4割以上を占める。
 東京都では2003年に「安全・安心まちづくり条例」を公布し、防犯性能の高い住宅のガイドラインを示した。強制力はないが、建築事業者や所有者、管理人などがこの指針を参考にすることを求めている。
 このガイドラインによれば、エレベーターホールでは「共用出入口や廊下などからの見通しのいい位置」「防犯カメラの設置」「照度の確保」が必要とされ、エレベーターでは「かご内の防犯カメラ」「非常通話や外部防犯ベルと連動する装置」「かご内を見通せる窓」などが有用とされている。
 諏訪氏は「最近はエレベーターホールにかご内のカメラ映像を写し出すディスプレイを設置するケースも増えていますが、防犯にはとても有効です」という。
 また、防犯にはこうした装置などのハードウェア面だけでなく、「ソフトウェア面も必要だ」と諏訪氏は指摘する。
 「居住者が防犯意識を高め、不審者には声をかけるなど、自主的な防犯組織をつくって定期的な見回りをするといいでしょう。不審者に関心を持たないような人たちが住んでいる集合住宅ほど犯罪者は狙うのです」
 宅配便を装って侵入強盗をするケースもあり、チャイムが鳴ったら「送り主は誰ですか」とひと言聞くだけで、犯罪の予防になる。ちょっとした注意が防止に役立つと諏訪氏は強調した。
 2004年に、東京防犯協会連合会が防犯性能設計に配慮したマンションおよび駐車場を普及させるために「優良登録制度」をスタートさせたが、まだまだ利用は少ない。また、全国防犯協会連合会ではドアやカギなど防犯性能の高い建物部品を試験し、認証する「CPマーク」を始めた。
 こうした制度がより普及し、人々の防犯意識が高まれば、集合住宅の安全性も高まるだろう。


▲トスミールNEO
 東芝エレベータではエレベーターに関連する防犯対策として「セキュリティオプション」を用意している。
 まず第1に「オートロック・インターホン連動システム」はマンションのオートロック用キーを持った居住者と、居住者の許可した来訪者だけがエレベーターを利用できるシステムである。
 オートロックキーにデータを登録しておけば、帰宅時にドアを開けると、エレベーターも連動して自動的に行き先階まで運んでくれる。
 キーがなければエレベーターを利用できないので防犯性に優れている。
 来訪者のときも室内からオートロックを解除すると、エレベーターを登録階まで移動させることができる。
 第2に「特殊呼び登録」。これは最新の技術を用いた認証システムによってエレベーターの稼動をコントロールする。認証方式は非接触ICカード、指紋認証、顔認証の3種類から選ぶことができる。
 この認証をパスしないと、玄関ホールで呼びボタンを押してもエレベーターは動かず、かご内で行き先階のボタンを押しても動かない。
 第3は「防犯カメラシステム」である。かご室内に専用の防犯カメラを設置し、かご室上のハードディスクレコーダーに映像を記録する。
 レコーダーの再生は液晶モニターとワイヤレスリモコン機能のついた特殊な小型のハンドヘルドターミナルを使う。かご内からレコーダーを操作し、設定の変更、記録映像の確認、コピーなどができる。また、かご室内やエレベーターホールに液晶モニターを設置し、リアルタイムに映像を流すことも可能だ。
 防犯カメラシステムで近々発売を予定する最新タイプがハードディスクではなく、業界初のメモリーカードに記録する「トスミールNEO」だ。
 防犯カメラにメモリーカードを内蔵しているので使い勝手がよく、国内初のダイナミックレンジ補正技術を採用。暗いところでも逆光でもくっきりと映像を記録できる。

防犯は大がかりな装置や仕組みだけではなく、一人ひとりのちょっとした心がけや注意で危険を回避することができる。 あなたもすぐにできる防犯対策とは何か?

 エレベーター内の犯罪は、女性を対象とした性犯罪が大半となっている。典型的な手口は、女性をエレベーターホールなどで待ち伏せして扉が閉まる寸前に飛び乗り、ナイフなどで脅迫してかご内や階段・屋上などに連れ出したのち、わいせつ行為を行う。そこで、1人でエレベーターに乗るときはホールを見回して不審者が周囲にいないか確認しよう。
 また、途中から不審者が乗ってくることも考えられるので、エレベーターに乗るときは操作盤の前で壁を背に立つこと。
 もし、不審者が手を出そうとしたら、まず非常ベルを押し、非常ベルがついていなければ全ての行き先階数ボタンを押し、止まったところで逃げて助けを求める。
 ひったくり被害者の大半も女性だ。後ろからバイクなどでひったくられることが多いので、カバンや荷物は建物側の手で持つこと。さらにハンドバックは胸にしっかりと抱える。こうしたちょっとした注意で犯罪にあう率は大幅に減る。
 各都道府県ごとの警察や自治体が防犯情報をメールで流したり、不審者や犯罪情報マップをインターネットで公開しているので、犯罪の発生する確率の高い地域を事前に確認しておくのも有効だろう。

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