建物の印象をよくするために、壁やタイルを貼り替えると費用がかなりかかってしまいます。
しかし、エレベーターのかご室ひとつきれいにするだけでビル全体の印象が変わる。今回の青山堂ビルのリニューアルはまさにそれを証明するような事例です。
かご室の天井の照明を取り替えて、とても明るくなりました。しかも、天井がカーブを描いているので、天井が高く見え、かご室にゆったり感が出る。空間にメリハリの出る効果があります。
操作盤もユニバーサルデザインを考えた分かりやすいデザインで、階数表示も見やすくなっていますね。かご室全体が白っぽいので、操作盤をダークグレーにしたのは正解だと思います。色味が引き締まって効果的です。
そして、階数案内表示の位置がドア上から操作盤の上になったので、見やすくなったのではないでしょうか。非常ボタンも黄色で囲んであって間違いにくい。整形外科がテナントとして入っており、お年寄りの患者さんにも親切でしょう。
実はお年寄りにとって、エレベーターの段差はとても危険です。転んでけがをすることもある。制御リニューアルによって段差が生じにくくなったことで、事故防止にも役立ちます。
築30年とかなり年数が経ったビルですが、オーナーの伊藤氏が建物やエレベーターのメンテナンスに気を遣ってきれいにしていらっしゃったおかげで、かごをそのままにし、技術の進歩が速い制御系や電気系、あるいはユニバーサルデザインの部分だけを直すコストパフォーマンスのいいリニューアルができたのではないでしょうか。やはり、大切に使うということは結果的に持ち主にメリットをもたらすのだと思います。(談)
■隊長 篠ア正彦
東洋大学工学部建築学科助教授。 1968年東京都生まれ。
専門分野は、建築計画と環境行動研究。特に、都市での生活様式と住居、施設の関係を研究している。現在、ベトナムにおける集合住宅の調査研究を進めている。
■隊員 山田花子
篠崎先生の研究室でベトナム建築を学ぶ。趣味はピアノとフルート。 |
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