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エレベーターをリニューアルされた施主の方々を訪ね、リニューアル前後でどう変わったのかを探る「リニューアル探検隊が行く!」の2回目は西武池袋線江古田駅前にあるテナントビル「青山堂ビル」を訪ねた。築30年と思えないモダンな外観と手入れの行き届いたビル内に探検隊も驚いた。青山堂ビルをこよなく愛するオーナーの伊藤與嗣男社長にその思いを聞いた。
 
 

■伊藤 與嗣男氏
株式会社青山堂
代表取締役

 

 西武池袋線の江古田駅は大学がいくつも集まる東京を代表する学生街である。今回、探検隊が訪ねたのは江古田駅の踏み切り前で、商店街の入口に店を構える青山堂ビル。4階建てのテナントビルで、螺旋階段がガラス越しに透けて見える外観がとてもモダンだ。実はそれこそがビルオーナーで株式会社青山堂の代表取締役である伊藤與嗣男氏のこだわりだった。
 1階のテナントはドラッグストア、2階には歯科医院と英会話学校、3階が整形外科医院と美容院、そして4階がオーナーである伊藤家の住居になっている。2005年にリニューアルされた6人乗りエレベーターに乗って4階まで上がる。
 青山堂という屋号がいかにも本屋さんらしい。「1932年に古書店として開業し、私は二代目にあたります。戦後、新書店に衣替えして営業を続けたののですが、2003年に残念ながら廃業しました」と伊藤氏は語った。
 
■エレベーター・かご室天井
天井、操作盤、かご室壁面シートをリニューアルした。天井にカーブを持たせることで、かご室内を広く見せることができる。
 
 青山堂ビルは1977年竣工で、すでに築30年を経過しているが外観も内部も時間の経過を感じさせない。それもそのはず伊藤氏が情熱を傾けて建設し守ってきたビルだからだ。設計士とも徹夜で論争し、施工会社選びでも建設会社の社長に会いに行ったという。
 「しゃれたデザインのいいビルを作りたかったのです。おかげで入居してくれたテナントも外観を見て出店意欲がわいたといってくれましたよ」
 当時としては4階建てのビルにエレベーターを入れるのも珍しかったが、「エレベーターがあれば2、3階に需要が生まれるという弟の意見もあって導入しました」と伊藤氏。高齢の患者も多い整形外科や歯科医院が入店したことで、その狙いはまさに的中した。
 伊藤氏はテナントを大切にすることを信念とし、ビルのメンテナンスにも力を入れてきた。配水管交換や外壁修理などに気を配り、エレベーターも設置当初より東芝エレベータにフルメンテナンスを依頼していた。そのため使用状態は非常によかったという。
 とはいえ30年近く経って騒音や段差が気になってきた。伊藤氏はリニューアルを決断。必要最小限の交換をする制御リニューアルを行った。
 機械室はモーターと制御盤、かご室は操作盤をリニューアル。また、オプションでかご室に手すりを取り付け、壁面に化粧シートを張り、天井も明るい照明に取り替えた。防犯カメラも設置した。その結果はテナントにも好評だと伊藤氏は顔をほころばせる。
 「段差がなくなって整形外科などの患者さんも喜んでいます。機械室が住居に近いので、モーター音が静かになったのもうれしいし、何かあっても遠隔監視でサービス情報センターに通報されるので気が楽になりました」
 従来はかご内からの通話は1階と自宅だけだったので家を留守にすることはできなかった。遠隔監視はオーナーの強い援軍だ。また、防犯カメラは予想以上の効果で、いたずら書きなどはなくなったという。
 「リニューアルしてよかったですよ」と満足げだった。
■エレベーター・かご室内部
テナントに医院があることから、手すりを追加した。手すりは木目調で、かご室内に暖かさが演出できる。

  ■エレベーター・2階ホール
三方枠や扉は、メンテナンス状態が非常に良かったため、建設当時のものをそのまま使用している。

 

青山堂ビル
西武池袋線江古田駅のすぐそば、商店街の入口にある4階建ての青山堂ビルは地の利に恵まれており、ドラッグストア、英会話学校、歯科医院、美容院などが入居している。
■住所: 東京都練馬区栄町29-1
■TEL: 03-3991-4571


 
  建物の印象をよくするために、壁やタイルを貼り替えると費用がかなりかかってしまいます。
しかし、エレベーターのかご室ひとつきれいにするだけでビル全体の印象が変わる。今回の青山堂ビルのリニューアルはまさにそれを証明するような事例です。
かご室の天井の照明を取り替えて、とても明るくなりました。しかも、天井がカーブを描いているので、天井が高く見え、かご室にゆったり感が出る。空間にメリハリの出る効果があります。
操作盤もユニバーサルデザインを考えた分かりやすいデザインで、階数表示も見やすくなっていますね。かご室全体が白っぽいので、操作盤をダークグレーにしたのは正解だと思います。色味が引き締まって効果的です。
そして、階数案内表示の位置がドア上から操作盤の上になったので、見やすくなったのではないでしょうか。非常ボタンも黄色で囲んであって間違いにくい。整形外科がテナントとして入っており、お年寄りの患者さんにも親切でしょう。
実はお年寄りにとって、エレベーターの段差はとても危険です。転んでけがをすることもある。制御リニューアルによって段差が生じにくくなったことで、事故防止にも役立ちます。
築30年とかなり年数が経ったビルですが、オーナーの伊藤氏が建物やエレベーターのメンテナンスに気を遣ってきれいにしていらっしゃったおかげで、かごをそのままにし、技術の進歩が速い制御系や電気系、あるいはユニバーサルデザインの部分だけを直すコストパフォーマンスのいいリニューアルができたのではないでしょうか。やはり、大切に使うということは結果的に持ち主にメリットをもたらすのだと思います。(談)

■隊長 篠ア正彦
東洋大学工学部建築学科助教授。 1968年東京都生まれ。
専門分野は、建築計画と環境行動研究。特に、都市での生活様式と住居、施設の関係を研究している。現在、ベトナムにおける集合住宅の調査研究を進めている。
■隊員 山田花子
篠崎先生の研究室でベトナム建築を学ぶ。趣味はピアノとフルート。

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