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2006年8月に東京都心部を襲った突然の大規模停電に、都市機能はマヒ状態に陥った。信号機、交通、コンピューターなど停電が私たちの生活にもたらす影響は大きい。クレーン船や飛行機などによる架線切断事故や、地震・台風・雷などの自然災害にいたるまで停電のリスクは多い。私たちはどのように備えればいいだろうか。
 2006年8月14日早朝、東京都心部から横浜、川崎、市川、浦安に及ぶ広範囲な停電が発生した。
 停電戸数は139万件、信号停止は約1500カ所、鉄道の一時運行停止は18路線、エレベーターへの閉じ込めは71件など大きな被害が出て、都市機能はマヒした。原因は旧江戸川を航行中のクレーン船が東京電力の特別高圧送電線に接触したことだった。
 政府はこの事態を重く見て、大規模停電対策に関する関係省庁連絡会議を設け、大規模停電の再発防止策として河川での船舶航行ルールの検討や標識の設置などを決めた。また、電力供給側の対策として事故の影響を極小化し、迅速な復旧を可能とする系統運用や復旧作業手順・訓練の整備・充実のほか、きめ細かな情報提供を求めた。
 東京電力もこうした事態を想定して、さまざまな予防策を採用している。
 昭和40年代前半では利用奢1軒当たりの年間停電時間数は90分を超えるような時代もあったが、現在は5分程度にまで下がっている。海外では2003年でアメリカ80分、イギリス70分と、東京電力の停電時間数は顕著に低い。

▲図1 阪神・淡路大震災における配電設備の被害(提供:関西電力)
阪神・淡路大震災で倒壊家屋などが電柱に接触し、電柱が倒壊、折損、傾斜などの被害を受けた例。
 東京電力総務部防災グループマネージャーの大橋裕寿氏はこう語る。
「8月14日の首都圏大停電の際、99%は1時間以内に復旧しましたが、それでも各方面より色々なご意見をいただきました。復旧時間をさらに短くし、的確な情報を出すことが重要だと痛感しました」
 東京電力の系統構成は、送電線を網の目状につなぎ、どこかで事故が発生しても迂回して電気を送るようになっている。
 大橋氏によれば、東京電力の防災対策は3本柱から成っている。「被災しにくい設備」(耐震設計など)、「被災時の影響軽減」(設備構成の多重化など)、「被災設備の早期復旧」だ。
 停電を引き起こすリスクはクレーン船など外的要因による停電は稀で、台風や雷などの自然災害が最大の要因となる。特に地震対策は首都直下型の切迫性が指摘されており、急務となっている。
 東京電力では、発電所の耐震設計は地震に対しては十分な強度を持たせているだけでなく、変電所でも機器が被災を受けにくい構造にするとともに、万が一壊れてもバックアップに切り替わるようになっている。
 問題は町中の電柱・電線の損傷だ。特に木造密集地域では、木造家屋の倒壊などに巻き込まれて被害が大きくなると見ており、首都直下地震が起きるとエリア内で200万軒が停電すると国の中央防災会議では予想している。復旧までは発災日を入れず6日間が目標だ。
 「この目標はハードルが高いが、社会的影響を考えると、1日でも早く復旧しなければなりません」と大橋氏。
 復旧のためのマニュアルや情報システムの整備、資材や機材の備蓄、シミュレーションや訓練には注力しているが、やはり課題は「社内での危機意識の強化だ」と大橋氏はいう。そのため日々、訓練を繰り返して防災対策の仕組みの中にある落とし穴を見つけ手を打ち続けている。
 防災と停電対策は一体化しているといえよう。
▲図2 電気供給支障事故の推移(提供: 原子力安全・保安院) 年間需用電力量は年ごとに増加傾向にあるが、供給支障事故件数は横ばい傾向にある。2004年は新潟県中越地震の被害により、事故件数が増加した。
(備考) 供給支障事故率は、年間需要電力量当たり(億kWh)の事故件数を示す。

 東芝エレベータでは停電対策として、「停電時自動着床装置」を用意している。専用バッテリーにより停電が起きても、停電灯が点灯し、最寄階に着床し、ドアが開くので安心だ。従来、病院など緊急性の高い施設では導入されていたが、最近では一般の建物でも導入されている。
 停電時や地震時の自動着床機能を追加工事で導入を検討されている方には、これらの機能が体験できる移動型ショールームである「キャラバンカー」を出動させている。

地震や原因不明の停電には誰もがあわてるもの。 しかし、焦りは事故の元です。停電の原因を冷静に見極めて、電気の復旧後も考えながら対処しましょう。

 電気が消えたら、まず窓から隣近所を見ること。周囲の電気も消えていたら地域的な停電だ。
 もし、近所が消えていないときは家の問題だ。家中の電気が消えていれば、ブレーカーが切れた可能性が高い。ブレーカーは、電気器具を一度に大量に使うと安全のために電気を遮断する装置だ。
 使用器具のスイッチを消して、分電盤のブレーカーを戻す。分電盤がどこにあるかは日頃から確認しておくべきだろう。また、懐中電灯も部屋ごとに身近なところに置いておく。
 ブレーカーと一緒に漏電遮断機のスイッチも戻すが、すぐ切れてしまうようなら漏電の恐れがあるので電力会社に連絡する。
 地震が起きて、家から避難するときには必ずブレーカーを切った方がいい。倒れた電気ストーブなどをそのままにして電気が復旧すると、火事になる恐れもあるからだ。
 また、マンションなどの管理者には、大型停電の復旧時には住民が部屋にいるかどうか確認すると作業がスムーズに進行する。留守中に復旧すると火災の可能性もあるからだ。
 もし、電気器具から火が出たら、むやみに水をかけず、まずブレーカーを切って消火器で消す。一度、水に浸かった器具は漏電の原因となるので決して使わないようにしよう。

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