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積村ビル管理株式会社
多くの人が住み、日常生活を営むマンションやアパートなど集合住宅では、エレベーターはどのように使われているか。また、オフィスビルなどと比べて、そのメンテナンスにはどのような特徴があるのか。今回は集合住宅のエレベーターの管理について、その独自のきめ細かな管理体制によって、中部地区で厚い信頼を受けているビル管理会社、積村ビル管理株式会社に話を聞いた。
■二村伝治氏
代表取締役社長
中部地区の中枢として、近年ますます活発に栄える名古屋市。積村ビル管理株式会社は、その名古屋を中心に事業を展開するビル管理会社だ。事業は、主にマンションを対象とする賃貸管理事業部と分譲管理事業部、さらに商業施設・オフィスビルを対象としたBM事業部(ビル・メンテナンス、ビル・マネジメントの頭文字)の大きく3つに分けられる。その他、ビルの資産価値を高める事業の一環として、シアトル系のコーヒーショップチェーン「タリーズコーヒー」の中部地区代理店なども務めている。
代表取締役社長の二村伝治氏にお話を伺った。
「ビル管理会社といえば24時間対応が基本ですが、当社の場合は、社員が直接泊まり込みで待機しております。お客さまが管理会社に望まれるのは、何かが起きたときに何をしてくれるかが第一ですから」
大手の管理会社にはなかなか難しい、人手を惜しまぬ24時間の緊急対応体制。22年前に二村社長が一人で創業して以来のポリシーだ。2005年10月にはこの緊急対応体制でISO9001も取得した。これはビル管理会社としては異例で、全国でも2社しかないのだという。
現在の管理棟数は、中高層物件が1200棟、1〜2階程度の低層物件が2200棟。このうち直接エレベーター管理を行っているものは、全体で402基とのことだ
■エレベーター・1階ホール。
掲示板やポストなど必要な機能がコンパクトにまとめられている
管理会社の立場から見て、集合住宅のエレベーターに求められるものを伺った。
「基本的には、閉じ込め事故の際に自動通報装置があればいいという感じですね。分譲マンションと賃貸マンションでは求めるものが違いますが、基本的には分譲のほうが求められるレベルは高いです」
エレベーターの保守・点検に関しては、基本的にはメーカーを信頼して任せているという。「価格破壊で独立系のメンテナンス会社が登場した時も、やはり人命に関わるということと、災害時の緊急対応を考えて、メーカーさんにはかなわないだろうと判断しました。基本的にはメーカーさんに依頼しています」
エレベーターの保守点検は、月1回の遠隔点検と、3カ月に1回の実機点検が中心。他にビル管理会社としては、どんなメンテナンスをしているのか。
「エレベーターに関しては、定期的な清掃が中心になります。ただし名古屋市中心部の賃貸マンションなどでは、夜中に帰られた方が嘔吐をしてしまったり、という例が多いですね。これはエレベーターの遠隔監視システムでは入ってこない情報で、当社に直接電話がかかってきます。こうした場合も、夜中でも1時間以内に出動して、汚物の処理や臭い消しなどをやっております」
■エレベーター・2階ホール。
居住階のエレベーターには防犯窓付きドアが設けられている
適切な管理のためには、エレベーターメーカーとの連携も重要だ。
「分譲マンションの場合、エレベーターの保守点検をメーカー、それ以外の管理をビル管理会社、と管理組合がそれぞれ別に直接契約をしている場合が多いのですが、これではビルのメンテナンスに必要な情報が共有できません。そこで当社ではなるべくエレベーターも含めて当社が一括契約をし、当社からメーカーに発注する形を取ることで、当社がエレベーターの不具合も把握できるような体制にしています」
例えば集中豪雨の際などは、エレベーターの異常が遠隔監視で感知されると、エレベーター会社と管理会社の両方からサービス員が派遣されて一緒に作業をすることもあるという。
「水害では、エレベーターホールやピットに水が入ったりして大変ですからね。当社は土のうを積んだり、その他エレベーター会社さんが気づかないような部分の気遣いなどで対応させていただくようにしています」
防犯意識の高まりを受け、最近では賃貸マンションでも分譲マンションに近いセキュリティーシステムを持つものが増えつつある。特に、玄関のオートロックシステムや、エレベーターホールやエレベーター内の監視カメラ設置は、オーナーからの要望も多く、管理会社としても積極的に提案しているという。
ただし、と二村社長は語る。
「設備面で高級化すると、その分のランニングコストは賃貸料に反映されますが、私個人としては、どこでも必要なものではないのかと考えています。名古屋では中心部であっても家賃収入の上限は限られますから。その点、当社の場合は 電話一本10円でいつでも駆けつける というのが売りです。お客さまに安心を提供する意味でも、24時間体制にはこだわっています」
積村ビル管理株式会社の出動体制は徹底している。例えば「2000年問題」の際には、社員を総動員して、2000年に日付が変わる時間帯の前後にすべての管理物件に張り付き、短時間の間にエレベーターなどの電気機器の異常を点検して回ったのだという。
最後に現場の担当者の立場からの意見も伺った。エレベーター会社との連携体制において、今後はどんな課題があるだろうか。
「遠隔監視がついていると、エレベーター会社さんだけが把握していて、当社に連絡がこない場合があります。そういう場合は一報いただきたいですね。入居者の方から当社のセンターに電話があったときにも 手配中です とお答えできますので」
2006年にはエレベーター事故の報道が相次いだこともあり、マンション管理組合などから、エレベーターの安全性について、機能面に踏み込んだ詳しい説明を求められる機会も増えた。
「エレベーター会社さんからいただく点検レポートは、内容の正確さもありますが、専門用語ではなく、砕いて表現できるところは砕いてほしいと思います。こちらがわからないのに、大家さんにご説明はできませんからね(笑)」
積村ビル管理株式会社に寄せられる厚い信頼は、きめ細かなサービスに支えられている。
積村ビル管理株式会社
名古屋を中心に事業を展開するビル管理会社。マンションやオフィスビルに関する賃貸管理事業と分譲管理事業を手がける。創業以来、「24時間365日対応」を前面に打ち出し、顧客の立場に立ったサービスを常に心がけている。
■ 住所:愛知県名古屋市中村区横前町 66番地
■ 設立:1986年
集合住宅の場合、どんな設置パターンがあるのか。また、オフィスビルの場合などと比べて、どのような機能が求められているのか。設計の専門家の立場から、集合住宅のエレベーターについて「集住施設」設計のスペシャリストである宍戸氏にお話を伺った。
集合住宅が高層化するにつれ、エレベーターは日常の動線になり、設計の上でも非常に重要な要素になっています。団地などではエレベーターを1カ所に2、3台まとめ一緒に階段も作り、各階では廊下で各戸までつなげていくというパターンが主流でした。
最近では、廊下を作らず2戸で1台、など少ない住戸ごとにエレベーターが分散配置された形式も出てきました。歩かなくて済むので居住性は高いのですが、分散配置は稼働数も増えますし、設置コストもかかるため、都心の分譲マンションなど、高級志向に適した形式ですね。
集合住宅のエレベーターは、オフィスビルと違って乗客があまり集中しないため、輸送能力やスピードよりもむしろエレベーターから各戸のドアまでの距離が近いかどうかなどが使いやすさに直結しています。一方、2000年前後から増えてきた40〜50階建ての超高層住宅では、オフィスビルに近いエレベーターコアのバンク分けなどが要求されることになります。
ただ、以前に比べれば、エレベーターの平均的な快適性はものすごく上がってきています。集合住宅の設計でも、たとえばエレベーターを何台も設置する場合は機械室の日陰の問題がネックだったのですが、マシンルームレスのタイプのものが登場して非常に楽になりました。また、騒音の問題でエレベーターシャフトと住居は隣接させられなかったものですが、リニアエレベーターなど静音化が進んでくれば、これも変わってくるでしょう。
集合住宅のエレベーターは、日常的に使うものですから、あまり機能を追加する必要はないと思うんです。密閉された空間の息苦しさを精神的にやわらげるような仕組みができるといいのではないでしょうか。
■宍戸照二さん
1972年、東京工業大学工学部建築学科卒。株式会社日建ハウジングシステム理事・設計部長。同社に入社以来、30年以上にわたり一貫してマンションの設計を手がける。おもな設計物件に、幕張ベイタウンパティオス12番街、ヴィルヌーブタワー駒沢などがある。
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