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三井不動産ビルマネジメント株式会社
■三井不動産ビルマネジメント
株式会社
オフィスビルのエレベーターを中心としたメンテナンスとリスク対策はどのようなものか。今回は、全国で約600棟のビルを管理しているビル運営管理会社・三井不動産ビルマネジメント株式会社にお話を伺ってきた。中小ビルから大型商業施設まで、幅広い物件を管理・運営している三井不動産ビルマネジメントでは、豊富な事例に基づいたノウハウが蓄積されていた。またそこでは、地震はもちろん、昨今特に注目されている都市型水害についても、計画的な対策が取られていることがわかった。
■平山 高司氏
ビルアーム運営事業部
運営課長
■坂本 正氏
ビルアーム運営事業部
フイールドサービス課長
三井不動産ビルマネジメント株式会社の設立は1982年8月。ビル管理の豊富なノウハウを活かし、全国で約600棟の建物の主にオフィスビルなどの運営管理を代行する業務を行っている。
各事業本部は、取り扱うビルの業務および規模に応じて「プロパティマネジメント事業部」、「ビルマネジメント事業本部」、「ビルアーム事業本部」と大きく3つに分かれている。ビルマネジメント事業本部では、主に大規模なビルで社員がそのビルに常駐して運営管理を行う。ビルアーム事業本部はそれ以外の中小型ビルを扱う部署で、現地にスタッフを置かない無人管理のビルが主となる。
「ビルアーム事業本部所管の建物は首都圏を中心に約360棟、そのうち半分に当たる154棟は三井不動産がサブリース(不動産管理会社が1棟を一括で借り上げて転貸すること)しているビルの運営管理です。あとの半分は、一般オーナーさんからお預かりした物件になります」(ビルアーム運営事業部フイールドサービス課 坂本 正氏)
「テナント交渉や家賃の入金管理など運営面および警備や設備などの建物の管理面は、オーナー様に代わって当社が行い、また一部業務は再委託を行っているので、当社はそうした各委託先を統括する役割も持っています」(ビルアーム運営事業部運営課 平山 高司氏)
■1階・サービスセンター。各種警報や気象情報などの24時間監視を行う
「われわれのビルアーム事業本部で扱っているエレベーターの基数は、全体で約660基、エスカレーターが20基あります。それをエレベーター保守会社に委託をして、メンテナンスや年1回の定期検査を行っていただきます。万が一閉じ込め事故や停電になった場合には、警報がサービスセンターに発報しますので、必要があれば現地にエンジニアが急行する仕組みです」(平山氏)
受託ビルの中にはショッピングセンターなど商業的な施設も含まれるが、そのほとんどはオフィスビル。店舗とオフィスが一体化した複合施設もあるという。
「店舗物件は全体的に神経を使いますね。例えば飲食店のような施設では、特に断水と停電が禁物です」(坂本氏)
エレベーターのメンテナンスは、利用者の多い時間帯を避けて行う。エレベーターが複数あれば、1台のメンテナンス中にもう1台を動かすこともできるが、中小ビルではなかなかそうもいかない。
「オフィスビルであれば朝の出勤時と昼休み、夕方の退勤時をメンテナンスの時間帯から外すことがポイントです。時間で言えば10時から11時が中心で、あとは、13時半から16時半くらいまでがいちばんメンテナンスしやすい時間帯です」(平山氏)
人の流れを止めないこと、また故障で閉じ込めなどを起こさないことが重要だと平山氏は言う。
■1階・エレベーターホール。各階テナント表示以外は装飾を控えた
非常時にはどんな連携体制がとられるのか。
「あるビルで故障や閉じ込めがあった場合、基本的には、当社のサービスセンターとエレベータ保守会社に同時に警報が発報するようになっています。特に、閉じ込めの場合には早急に現地到着しなければいけませんので、速応性には気を遣っています」(坂本氏)
またビルアーム事業本部で担当する中小型ビルの場合は、遠隔点検での対応も多い。着床状態など数値でわかるものは遠隔点検し、規定値外の数値が出た場合にはすぐに技術者を派遣する体制だ。従来型であれば月に1〜2回の目視点検が必要だったものが、現在では3カ月に1回、オイルや清掃など、人の手でやらなければならないものだけを定期点検でチェックするだけですむという。
一方、監視カメラなどの設備は、マンションなどの住居に比べると少ないという。これはオフィスビルの場合は、ビルに入る場所である程度セキュリティチェックがなされているということが前提になっているためだ。
「最近ではICカードの社員証で入室管理ができます。カードの管理番号によって、入室ゾーンを制限したり、何月何日何時何分に入室したといった履歴が残るのが利点ですね。紛失した場合にも、カードであればセンター側のデータを抹消して使用停止にできるので、鍵の場合のようにシリンダーを交換する必要もありません」(坂本氏)
ここ数年の集中豪雨の傾向を受けて、水害対策にも注目が集まっている。三井不動産ビルマネジメントの場合は、立地や構造上雨に弱いビルに関しては、過去の履歴を追って、あらかじめ対策案を考えてあるという。
「通常は浸水や水漏れの通報があってから点検に行くのですが、それらの物件は通報がなくても行きます。また浸水を防ぐ方法としては、土のうや防潮板など事前対応を行います」(坂本氏)
システム面では、予測雨量が1時間あたり50mmを超えると気象予報会社より情報が提供されて、サービスセンター内に災害対策本部を設置する仕組みだという。これにより、防潮板や土のうの準備もなるべく事前に進めることができるようになった。
また地震の場合にも、速やかな復旧のために、被害状況や危険度に基づいて巡回点検の優先順位を決めている。
「第一順位が、エレベーター閉じ込め警報、エレベーター故障警報発報中のビル。第二は、サービスセンター内に何らかの通報があったビル。第三が、過去にトラブル発生率が高いビルや、警報の発報されないビル。以上の優先順位でリストアップし、非常時にはこの順番に巡回していくことになります」(平山氏)
震度3以下の地震と震度4以上の地震でも、巡回リストが分かれている。限られたエンジニアを効率よく派遣するためのアイデアだ。
しかし、それでも大きな地震の際には管理スタッフだけでは足りなくなってしまう。そんなときは、営業マンまで総出で対応にあたるのだそうだ。
三井不動産ビルマネジメント 株式会社
「警備や工事、清掃といった運営から管理まで、ビル経営に関わる業務全般を行うビル管理会社。快適性や情報対応性などを備えた利用者の使いやすさを考えたビルのトータルプロデュースを目指す。
■ 住所‥東京都港区西新橋2-38-5 西新橋MFビル
■ 設立‥1982年
オフィスビルのエレベーターは、もしエレベーターが動かなくなるような事態が起きると、ビジネス活動ができなくなってしまうほど重要なビル内の垂直交通を担っている。またビル内交通としてだけではなく、ビルの外とオフィスが違う空間であることを意識させる場としても機能している。
「例えば会議に臨む時、エレベーターホールでは同伴者と話す内容を最終確認し、エレベーターに乗っている間は会議で話すポイントを頭の中で整理し直し、オフィスフロアに出たらすでに会議に臨む精神状態になっている。このようにエレベーターは、利用している時間は短いのですが、日常生活とビジネスシーンの気分のスイッチを切り替える境界領域であり、自己と向き合うための空間でもある」と語る萩原さん。一方、浦出さんは「エレベーターに乗っていて外の状況がわからないと不安になります。シースルータイプのエレベーターだと、外の状況や働いている人の姿が見えて安心ですし、短い時間でも自分の好奇心を満たすことができます。」と語る。
モバイル・コミュニケーションの社会・文化的な影響を追究しているモバイル社会研究所に勤務するお二人に、コミュニケーションの場としてのエレベーターについて聞いてみた。
「エレベーターの中で乗り合わせた人とコミュニケーションをとろうとはあまり思わない。オフィスビルのエレベーターに乗り込むのは、茶室に入る前の感覚に似て、気分を切り替えるための空間なので、シンプルで機能的、そして過剰な情報を抑えた密室感を演出してくれるようなものがいいですね」(萩原さん)。
「上司と一緒にエレベーターに乗り合わせたりすると、話題に困ることってありますよね。そんな時には心理的な逃げ場が欲しい。例えば、『今日は○人がこのエレベーターを利用しました』というような、エレベーターという場の空気を共有できるような情報があると嬉しいですね」(浦出さん)。
■株式会社 エヌ・ティ・ティ・ドコモ
モバイル社会研究所 企画担当
萩原 徹太郎 さん
■株式会社 エヌ・ティ・ティ・ドコモ
モバイル社会研究所 企画担当
浦出 直子 さん
NTTドコモは、携帯電話のもたらす光と影を広く深く解明することを目的に2004年にモバイル社会研究所を設立。そこで働く萩原さん(写真左)、浦出さん(写真右)は季刊ジャーナル『Mobile Society Review 未来心理』の企画・編集などに従事。日々、原稿依頼や取材などで多くのビルを訪れ、エレベーターやエスカレーターを利用している。
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