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Wide view of the atrium at the Hyatt Regency, atlanta.
Photo credit:
(c) Rion Rizzo. Courtesy John Portman & Associates
Book credit:
Up down across
Edited by Lisa Goetz
Published by Merrell Publishers
写真はアメリカにあるホテル、ハイアットリージェンシーアトランタ(1967)のロビー兼エレベーターホールである。最上階にまで達する吹き抜けロビー、その中を上下するシースルーのエレベーターなどの建築様式は、斬新なデザインとして一世を風靡した。
「エレベーターでどこか別の場所に移動する」という、緩やかな同一の目的を持つ人々がすれ違い、時を待つこの空間は、エレベーターと人間のかかわりに重要な役割を果たすと同時に、様々な役割を担ってきた。
エレベーターホールの過去の建築事例を振り返りつつ、現在のエレベーターホールのあり方を見て、今後のエレベーターホールがどのようなものになるのか。未来のエレベーターホールが担う新しい役割と機能を提案する。
■藤森 照信 氏
ふだんあまり語られることのないエレベーターの歴史、しかもエレベーターホールの変遷となると難しい。そこでまず、建築史に詳しく、実際に数々の古いビルを訪ね歩いている「建築探偵」こと、東京大学の藤森照信教授にお話を伺うことにした。
■三井貸事務所基準階平面図
「日本のエレベーター付きオフィスビルで一番古いものは、戦前に作られた三井貸事務所です。厳密にはエレベーターホールとしては成立していないものの、各階エレベーターの入り口がガラス窓に面していて、ホール的に見えていると思います」
「三井貸事務所」(1912年)は、アメリカ帰りの建築家、横河民輔氏の設計によるもの。鉄骨を使用し、エレベーターやトイレなど各階の共有部分を中央にまとめたスタイルとなっている。
「僕はまだ建っていた頃に実際に内部を見ていますが、これがとても面白いプランなんです。細いビルなのに、真ん中がなぜかライトウェル(光井戸:採光用の吹き抜け)になっていて、周りにエレベーターが二基。どこかいじけているというか(笑)、普通のセンターコアならエレベーターは全体を支配する幹線道路ですが、これは
“バイパス”みたいな感じですね。他に戦前で印象に残るものというと、やっぱり三信ビルディングです」
「三信ビルディング」(1929年)は、東京・日比谷の映画館街にいまも残る。交差ヴォールトと呼ばれる華麗なアーチ型の曲線が連続する天井と、半円形のエレベーターホールが見事だ。
「三井貸事務所の反省もあるのか、三信ビルディングはもう少しゆったりしています。もちろん他の戦前のビルでもエレベーターホールは作ってはあるけれど、ここまで『演出してある』って感じのものは少ない。早い時期にシカゴやニューヨークの超高層ビルで編み出された「センターコア」と呼ばれる建築手法を日本で採り入れた大ビル(大阪ビル東京分館第一号館)なんかも、エレベーターホールは1階の玄関先にだけあるけど、それも実に合理的で、廊下の回りがモザイクできれいに仕上げてある程度なんです」
戦後ではどうだろう。藤森教授が挙げたのは、毎日新聞社の社屋として有名な「パレスサイドビル」(1966年)だ。両サイドに建てられた二本の円筒形のエレベータータワーがユニークで、中にはそれぞれ8台のエレベーターが円周上にまとめられている。エレベーターホールでは、呼びボタンがホールの中心に設置されている。
「エレベーター機能をコアとして外に出すという、かなりしっかりした思想のもとに作られています。言ってみれば、エレベーターホールだけが建物とは別に存在しているようなものですね」
ところで、エレベーターホールを飾るという習慣はどこからきたのだろうか。
「階段と同じように考えたのかもしれません。昔のビル建築では、階段の登り口・降り口を広くとるということが贅沢だったし、権威を示すために大事なこととされていたんです。あまりちまちま作ってはいけない、堂々とやれ、と。例えば賃料の高さで知られた旧丸の内ビルディングも、エレベーターホールはちょっと広すぎるくらいの広さでした」
時代や建築技術の進歩とともに、エレベーターホールも変わっていく。
「僕の考える理想のエレベーターホールは、エレベーターを出た時に視界が開けるもの。窓に面しているとか、廊下が見渡せるとか、そういう演出が欲しい。エレベーターに乗っているとき、人は閉じた箱の中で、息を殺して“死んだふりをしている”と思うんです。そこから解放され、蘇生する場所がエレベーターホールではないでしょうか」
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