FUTURE DESIGN and NAVI
FUTURE DESIGN 最新号 ELEVATOR NAVI 最新号 NAVI-Library Back Number
 
 
文/写真 淵上 正幸
 
“めんそ〜れ沖縄!(沖縄へようこそ!)”美しいサンゴの海に囲まれた沖縄。本土復帰後最大の都市開発であった「沖縄国際海洋博覧会1975」からほぼ30年。伝統を重んじつつ利便性を増してきた現在、沖縄は大きく変貌した。都市建築も機能性に富み、デザイン的に優れた作品が数多く登場してきた。2000年には九州・沖縄サミットも開催されて、国際的なステータスも高まってきた。一方、海をもたない岐阜県には、やはり伝統的な鵜飼で知られた名川、長良川がある。その岸辺には、これまた伝統的な面影を今に伝える「川原町」がある。だが岐阜県はIT技術に大きく肩入れもしているのだ。伝統に裏打ちされつつも、時代の先端を疾走するふたつの地域を、現代建築を通して追ってみた。
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海洋博公園の「熱帯ドリームセンター」内の遠見台頂上から見晴らした伊江島の美影。
 
 
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那覇の街並に未来的なイメージを付与した“ゆいレール”
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那覇にモノレールが完成し、空港から市内へのアプローチが便利になった。沖縄には鉄道がないから市民の足として重宝この上ない。揺れが少なく静かでソフトな乗り心地。しかも開口部が大きく、那覇市街を高みからじっくり見学できるのだ。”ゆいレール“は那覇の新しい顔だ。
那覇近郊の浦添市に今年初頭開場したもうひとつの新しい顔が「国立劇場おきなわ」だ。国の重要文化財「組踊」を中心とする沖縄伝統芸能の保存・振興を意図した施設である。建物はプレキャスト・コンクリート製の斜格子が、足元から上に向けて末広がりに伸び上がってファサード全体を覆っている。上部では6mほど突出した屋根庇が深い陰影をつくっている。
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沖縄の伝統的民家の固有の雨端(あまはじ)と呼ばれる長い庇は、強い日差しをカットして建物に彫りの深い表情を与える。また日差しを避けつつ風を通す穴あきブロックも沖縄独特の建材だ。建築家高松伸はこれらふたつの特徴を取り入れて、「国立劇場おきなわ」の伸びやかな美を感じさせる外壁をデザインした。
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「那覇市立城西小学校」(1987/原広司+アトリエ・ファイ)首里城趾の一角に位置し、守礼の門に近い。そのため環境に配慮して、沖縄民家と同じ赤瓦葺きの屋根にしている
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「那覇市立小禄南公民館・図書館」(1983/設計同人GAN+グループ24・赤嶺和雄)中庭を囲んだ段状の建物。古い民家のナー(庭)と家との関係を参照してデザインされた建物。屋上の植栽は断熱効果に優れている
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同じように沖縄の伝統性を重んじたのが「那覇市立城西小学校」だ。赤瓦葺きの屋根は沖縄の集落を想起させる。「那覇市立小禄南公民館・図書館」も屋根を段状の屋上庭園として、強い日差しから内部を守っている。また中庭は古い民家のナー(庭)の概念を取り入れている。
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「那覇市民会館」(1970/現代建築設計事務所/金城信吉)赤瓦のようなタイルの大きな庇が特徴だ。所々に開口部を穿って光を内側へ導入している
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「沖縄キリスト教短期大学」(1989/真喜志好一+新キャンパス設計室)エキゾチックなアーチの日除けが連続する。丘の端部に立ち近隣のランドマークでもある
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「与那原聖クララ修道院」(1958/片岡献)与那原の小高い丘に立つバタフライ屋根をもつ修道院。街を見下ろすチャペルの側面に、美しいステンドグラスが入って空間のアクセントになっている
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「那覇市民会館」は赤瓦を思わせるタイル張りの大きな庇を長く垂らして深い日影をつくり、暑い太陽光をシャットアウト。しかもあまりに大きな日影をつくるために、2階レベルに一部開口部を設けて、軒裏の暗さを半減させている。「沖縄キリスト教短期大学」は、中庭を囲む校舎の足元に、アーチ形の日除け通路を設けてエキゾチックな雰囲気だ。
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「浦添市民体育館」(1987/第一工房+ARG)浦添運動公園内の傾斜地に一部埋め込まれた形をとっている。外観は沖縄古来の民家形式
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「中村家住宅」重要文化財。沖縄の伝統的な住居形式が完璧な形で残っている素晴らしい遺構だ
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沖縄の伝統的な住居建築の特色をすべて備えたのが、重要文化財の「中村家住宅」である。18世紀中頃に建てられたこの遺構は、士族屋敷の形式に農家の形式である高倉、納屋、畜舎などが付随している。シーサー(魔除け)、ヒンプン(顔隠し塀)、アシャギ(離れ座敷)、高倉、メーヌヤー(家畜小屋兼納屋)、フール(豚小屋)など、沖縄住宅の真髄が楽しめる訪沖必見の文化的スポットだ。

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