FUTURE DESIGN and NAVI
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横河設計工房 横河健
 
 
私の基本的な設計思想…それは建築とは「モノづくりではなくコトづくりだ」ということ。その建築空間の中での人のつながり、シチュエーションやシーンをイメージすることから私の建築は始まります。
 ここで紹介する横浜市都筑区の『ザ・テラス』は実は自分の事務所のために建てたものです。それまで私のオフィスは東京のド真中にありましたが、それを捨てさせるだけの緑豊かなロケーションがありました。大胆な決断をした根底にはフランク・ロイド・ライトのタリアセン(季節に応じて住み分けた拠点)への憧れがあったことも確かです。
 ところで、『ザ・テラス』のコトづくりとしては建築と家具と料理を一つのコンセプトでつなぐ、つまり、この場所にアトリエを構えたいと発想したとき、ほぼ同時に、この緑の空間で美味しいものを食べたいと思ったのです。そこでカフェ・レストランを計画しました。そもそも建築と料理は、素材をどう加工してどんな組み合わせにするかなど、イメージに近づいてゆくそのプロセスもよく似通っていると思いますね。また、私は家具はもちろん、照明器具などのプロダクトも前々からやっていたので、インテリア・ショップを組み入れたいと考えました。
 そこで、全体のゾーニングとして、地階に家具等の工房、グランド・フロアにカフェ・レストラン、2階にインテリア・ショップ、上階が私たちの設計事務所となります。建築にとって、この三つはつながっています。ですから、うちの設計事務所に勤める新人には、「まずカフェで社会性を学び、2階のインテリア・ショップで商品知識を得、生活支援をしてから、3階の設計室に上がってこい」と冗談半分に言うんですよ。

THE TERRACE
(神奈川県横浜市都筑区)
敷地はひな壇造成の法面に位置し、1階がカフェ・レストラン、2階がインテリア・ショップ、3階以上がアトリエになっている。奥に見えるのが設計事務所、階段上が横河氏のオフィス
©T.Sakai
 私は緑と共存するオフィスを選びましたが、その一方で都市の機能性に魅力を感じ、都市で暮らす人々もいます。「N3ユニテ」は都心の建て替え事例です。木造住宅を高層集合住宅に建て替えて、オーナー住戸3戸と賃貸住戸23戸に。設計の特徴はフラットありメゾネットあり。多様な空間を、複雑な連立方程式を解くように、地道な努力の末に実現した新しい都市の住まいです。オーナーが長く住み続けて愛着のある土地に、独立して離れ離れで暮らしている二人の息子家族を呼び寄せて、再びこの土地で一緒に暮らすことを願っていたこと。ここでのコトづくりとは、いわば家族の絆の再構築をお手伝いすることに他なりません。
 ところで、私はエレベーターにも関心があります。できればもっと使い手の心地良さや美しさを考えたデザインや意匠性が欲しいと…。これからは、家具や照明器具、ドアノブと同じように、建築家やプロダクトの視線から考えたエレベーターをデザインさせていただければうれしいですね。

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