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平和を祈って造られた美しい石の芸術。殺戮を繰り返す人間の罪業を、朽ち果てながら黙って見守り続けている。
 
 
© PPS  
濠に影をうつすアンコール・ワット遺跡
 

8世紀末、内乱がうち続くカンボジアのアンコール地方。802年、ジャヤヴァルマン2世がそれらを統治し、アンコール王朝を打ち立てた。その後600年余り続く、カンボジア栄光の時代の幕開けであった。

26人の王が在位したが、王たちは数多くの美しい石の彫刻建築を密林深くに遺した。その中でも最も有名なものが「アンコール・ワット」。12世紀前半、スールヤヴァルマン2世がヒンドゥー教の神に捧げるために、30年の歳月をかけて建立したクメール建築の最高傑作だ。濠を大海原に、塔を神々が棲む山々に見立てて造られ、そのシルエットはこの世のものとは思えない神秘さ。

また、「アンコール・トム」は11〜13世紀にかけ、仏教を信仰するジャヤヴァルマン7世によって建造された。一辺3kmの正方形の土地に5つの城門を設けた大都城であった。中心に位置するバイヨン寺院は高さ45m。林立する四面仏顔塔には多数の観世音菩薩の面が彫られた。

世の中の平安を願って造営された遺跡群は、今も殺戮を繰り返す人間の愚行を、黙って見守り続けている。

 

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